岩田剛典の初主演ドラマ『崖っぷちホテル!』。借金とダメ社員だらけの名門ホテルが“崖っぷち”からの大逆転を目指す人情コメディーだ。

岩田剛典「崖っぷちホテル!」視聴率低下…渡辺いっけいVS宮川大輔VSでんでんのバトルは濃すぎたか6話
イラスト/Morimori no moRi

先週放送された第6話の視聴率は微減の7.1%。岩田剛典や川栄李奈を見ようとしたら、渡辺いっけいとでんでんのこってりした芝居を見せられ続けたから……? おしゃれなサバサンドを頼んだのに、味付けの濃いサバの塩焼きやサバ味噌が出てきちゃったような。

困ったデマゴーグ、川栄李奈


副支配人の宇海(岩田剛典)の施策が次々と当たり、雰囲気もよくなってきたホテル「グランデ インヴルサ」(ポルトガル語で「大逆転」という意味)。ところが、そこへ冷や水を浴びせるような出来事が起こる。かつての副支配人で、傲岸な態度を崩さない時貞(渡辺いっけい)に対する差出人不明の告発状が届いたのだ。

告発状によると、時貞は「重大な暴力事件」を起こしており、ホテル側が厳罰に処さなければ訴えを起こす準備できているという。宇海と総支配人の佐那(戸田恵梨香)の前で完全に否定する時貞だが……。

そんな折、自治会長の後藤(でんでん)がホテルに現れた。後藤の額には大きなバンソウコウが。「時貞だよ、時貞! さっさと呼んでこい!」とダミ声でシャウトしまくるでんでんに、目をひん剥いてわかりやすく怯える渡辺いっけい。こ、濃い……。

ちなみに宇海、佐那、時貞の間の秘密の話をホテルじゅうに広めたのは、清掃係の裕子(川栄李奈)。なぜか告発状も読んでおり、「気になったら止まれない性分なもので」と言って仕事を放り出して、メモ帳片手に従業員たちの間を飛び回る。
後藤が現れると「(暴力事件の)被害者の方ですね、間違いないです」とさりげなく断言し、他の従業員から後藤の評判を聞くと「クレーマーということですか?」と一刀両断。真実を知りたいと言いつつ、結果的にデマを振りまくのはネットによくいる困った人たちと一緒だぞ。それでいてトラブルの解決には一ミリも関与しないのだから、まったくタチの悪い子だ(可愛いけど)。

宮川大輔、ブチ切れ!


後藤はあらためて態度の悪い娘(『仮面ライダーゴースト』のヒロイン、大沢ひかる)を連れてホテルにやってくる。2人連れになっていたり、急に屋根裏部屋の用意を要求されたりしてうろたえる時貞たちだが、宿泊人数や部屋のことぐらい事前に聞いておかないの?(聞かれても後藤が言わなかった可能性もある)

清掃部の長吉(宮川大輔)、尚美(西尾まり)、裕子に宇海も加わって、使っていなかった屋根裏部屋の大清掃とセッティングを行うが、後藤はまったく満足せず、怒鳴り散らしてばかり。時貞は清掃部の面々をなじって再清掃を指示するが、納得しない長吉はついに時貞への不満を爆発させる。宇海によってせっかくホテルの雰囲気が良くなってきたのに、時貞は水を差してばかりという根本的な不満まで!

現在は「お祭り男」として知られる芸人の宮川大輔だが、売れていない時期は宮本亜門、今井雅之、野田秀樹らの舞台に率先して取り組み、役者としての腕を磨いていた経験がある。だから、破裂音のようなすさまじいボリュームなのに、長セリフを聞き取りやすくまくしたてることができるのだろう。今回は渡辺、でんでん、宮川とみんな声がデカい。

でんでん、ご満悦


後藤が何を不満に思っているのか知りたい時貞は、何もかもお見通しのような感じの宇海に土下座までするが、宇海もまったくわかっていなかった。必死になって考えた時貞は、あることに気づく。屋根裏部屋の天窓が汚いままだったのだ。

娘とともにホテルに戻ってきた後藤は、天窓がきれいになっていて大満足。さらにテーブルには日本酒とサバの塩焼きをはじめとした酒の肴がズラリ。
バーテンの梢(りょう)と厨房の江口(中村倫也)、ハル(浜辺美波)が用意したものだ。後藤はかつて自治会の面々とホテルを訪れた際、かつて総支配人だった桜井にこの部屋を用意され、酒宴を催したことがあった。また、屋根裏部屋の天窓からさしこむ月の光が部屋を満たすのを見て、娘を月のように美しく育てようと誓ったのだという。

満足してホテルを出ていく後藤親子。ところで、暴力事件はどうなった……? 実は後藤の頭のバンソウコウは時貞と飲んでいるときにもみ合って転んだだけで、そもそも告発状なんか出していなかった。時貞が真実を洗いざらい喋らなかったのは、後藤にホテルのことをなじられて激昂し、「良い方向に向かっている」と啖呵を切ったのをホテルのみんなに知られたくなかったから。後藤がコロッと機嫌を直したのは、時貞のことを告発するためにやってきたのではなく、泥酔していた時貞に「いいホテルになっているから来いよ」と挑発されたからだった。

照れまくる時貞に謝る長吉、冷やかす従業員たち。とりあえずハッピーエンドのようだが、では、告発状は誰が……? 告発状の送り主は、大借金を作った張本人で失踪していた佐那の兄・誠一(佐藤隆太)だった!

次回から新ステージ突入?


第2話でベルマンのピエール田中(チャド・マレーン)、第3話でスーシェフの江口(とハル)、第4話で事務責任者の丹沢(鈴木浩介)、第5話でバーテンの梢と、ダメ従業員一人ひとりにスポットをあててきた『崖っぷちホテル!』だが、第6話でダメ従業員の本丸とも言うべき時貞にスポットをあてたことで物語が一区切りした感がある。

第1話ではホテルのプールの光の反射が部屋を満たすという「グランデ インヴルサ」ならではの仕掛けが登場したが、第6話では月の光が部屋を満たすという仕掛けが登場した。両者は対応しており、これも一区切り感がある。たぶん、服部(佐伯大地)の出番はこれ以上増えない。


次回からは明らかにトラブルメーカーと思しき佐藤隆太が登場して、物語は新たな局面に突入する。そもそも「グランデ インブルサ」が崖っぷちになっている原因の大借金や、第6話でまったく触れられなかった時貞の不正経理疑惑にもスポットが当てられるはずだ。

これまで1話完結の人情話っぽく進んできたが、次回からはけっこうストレスフルな展開が待っていそう。視聴率は大丈夫? 今夜10時半から。
(大山くまお)

Huluにて配信中
編集部おすすめ