第9週「会いたい!」第54回6月2日(土)放送より。
脚本:北川悦吏子 演出:田中健二
54話はこんな話
岐阜から晴(松雪泰子)が鈴愛(永野芽郁)を訪ねてやって来て、並んで寝ながら恋の話などをする。
お父ちゃんのライト
例の「スズメファイ♪」と煽る劇伴に乗って働く晴(松雪泰子)と、働く鈴愛(永野芽郁)ではじまった54話。
修羅場を終えて秋風ハウスに帰ってくると、ご飯の支度をして待ちくたびれて寝ている晴。
待ちくたびれて寝ている松雪泰子の姿がトレンディドラマにありそうな画だった。さすが松雪さん。

6月6日発売
スズメファイッ♪ は当然入っていると思うが「東京ラブストーリー」ふう「冬のソナタ」ふうの音楽も入っているんだろうか・・・。
『NHK連続テレビ小説「半分、青い。」オリジナル・サウンドトラック』
ハンバーグを頬張る鈴愛に、宇太郎(滝藤賢一)が仙吉(中村雅俊)と草太(上村海成)に手伝ってもらってつくったライトを手渡す晴。
本棚と同じく青の絵の具で、白地のシェードにさっとペイントしたところがすてき。
「それやりゃあええよ」
「これやりゃあええよ」
「好きに塗りゃあええよ」
仙吉と草太に指示する滝藤賢一の言い方が朴訥としていて和んだ。
夫たち@ともしび
晴の予想どおり、男たちはともしびで水割り飲みながら語らっている。
つくし食堂の宇太郎、萩尾写真館の弥一(谷原章介)、おしゃれ木田原の五郎(高木渉)が、
女から母へ、そしてその先は・・・と哲学的なことを勝手に。
吾郎は「また女に戻って不倫されたらかなわん」と嘆き、
宇太郎は「女ちゅうのはでも楽しみをみつける天才だから 生きてくよねえ」と褒め、
弥一は「母親は永遠に母親」「女は弱し。されど 母は強し」といい声でまとめた。
その証拠に晴は「腎臓、こども生んだら治った」と宇太郎が感心する。
ほんとに治ったのかな、無理してないのかなと気になるのと同時に、このドラマの男たちよ、何度も書いているが、あなた方の夢や希望やプライドやもろもろがさっぱり描かれず、ひたすら女性の引き立て役になっていて良いのですか、と問いたい。こうやって妻のいない間の羽根伸しの最中も、女を肯定する話しかしてないなんて。いつか53話の仙吉のようにふいに思いが出てくるときがあるだろうか。
母と子の恋バナ
晴は鈴愛のベッドに、鈴愛は床に布団を敷いて、宇太郎のライトを枕元に点けて寝ながらおしゃべり。
カエルのワンピースを着たという話題から恋しているという話に。
正人(中村倫也)をマシュマロみたいな人と例える鈴愛。
鈴愛「まだ半分片思いや」
晴「半分片思いやったら半分は両思いやね」
晴「鈴愛は 律くんかと思ってた」
鈴愛「鈴愛が律でも 律は違う」
やっぱり傍から見たら、鈴愛と律がつきあうことになるんじゃないかと思う。でも、鈴愛は律と自分は世界が違うと思っていた。顔も頭もモテ度も(チョコを下取りに出していたというエピソードは笑える)、律は群を抜いている。
それにしても「鈴愛が律でも 律は違う」って、鈴愛はほんとはやっぱり律なのか。29話の雨のなかで「律、左側に雨が降る感じ、教えてよ」と告白ともそうでないとも言えない曖昧なことを言っていたし。
出た、「訳で」。
女のいない家に帰って来た宇太郎に「いま、楡野家、鈴愛もわたしもいない訳で」とナレーション(風吹ジュン)。「〜〜な訳で」といえば倉本聰先生の「北の国から」のナレーション。
いろいろあった9週の終わりは穏やかだったが、10週もいろいろありそう。
ちなみに中村雅俊の歌を視聴率が下がる土曜日ではなく金曜日にもってきたのは意識的なことだろう。
(木俣冬)