
大人になってからあまり人には言えずにいたが、小学校の給食で出てくる納豆には必ずマヨネーズが付いていた。給食のおばちゃんが熱烈なマヨラーだった……わけではなく、マヨネーズを入れることで納豆の臭みが消え、子供でも食べやすくなるという工夫だったらしい。
そのためか実家がある町では「納豆にマヨネーズ」は定番の組み合わせであり、当時の友人に会うと未だに「マヨネーズをかけて食べている」という人もいる。
しかし、全国的にはあまり一般的な習慣ではないようで、進学して隣町の高校に通うようになると「え、なにそれ」「ありえない」と気味悪がられるようになり、そのうち人にもあまり話さなくなっていった。
ところが最近ふと思い立って「納豆 マヨネーズ」と検索してみると、個人ブログで試している人が何人かいることに気づいた。さらにはアニメ「らき☆すた」の第一話の中で、登場人物が「マヨネーズかけたら納豆食べられるようになった」と言及しているシーンまであるらしい。え、もしかして「納豆マヨネーズ」って市民権得てるの?
久しぶりに試してみることにした。
納豆嫌いには絶大な効果がありそう
というわけでまずは納豆を用意。久しぶりに納豆食べたいってのもあるけど、一応検証なのでできるだけスタンダードな中粒のものを選んでみた。

納豆は近くの日本食材店で購入した。3パックで4.90ユーロ(約640円)高い……
さっそくパックを開いて、惜しげもなくマヨネーズをかける。ちなみにこのマヨネーズは日本帰国時に購入したもの。どこで買っても同じと思うかもしれないが、日本のマヨネーズのほうが塩味と酸味が効いていて美味しい。プラシーボ効果かもしれないけど。

ででんと入れる、ちょっと多めが美味しい
で、あとは普通にぐるぐる混ぜるだけ。タレとからしはお好みで。
自分は両方とも入れました、タレのかつおだしの味が好きなので。

ネバネバがマヨネーズで真っ白
食べてみると、確かに納豆独特の臭みがかき消されていて食べやすい。うまく表現するのが難しいけれど、味全体がマヨネーズに包まれてマイルドになっている感じ。納豆の食感自体がダメな人はどうすることもできないが、においが苦手な人だったら食べられるようになる可能性は十分ありそう。
ちなみに自分は納豆のにおい好きなので、味がマイルドになる納豆マヨネーズはちょっと物足りなかったことを正直に告白しておきます。もちろん全部食べたけど。
納豆はだいたい何にでも合う
久しぶりの納豆マヨネーズを堪能しながらいろいろなブログをのぞいていると、とある企業のホームページが目に止まった。宮崎県で納豆やところてん、こんにゃくなどを製造・販売する「株式会社竹之下フーズ」のページだ。なんと「レシピ紹介」の中で納豆マヨネーズが紹介されている。

まじか

これ絶対うまいやつ
基本形である「納豆かけマヨネーズご飯」をおさえるのはもちろん、「納豆めんたいマヨご飯」に至っては料理の域に昇華されている。ほかにも焼いたぶりに納豆と味噌マヨネーズソースを合わせた「マヨ味噌ぶり納豆」や、トーストに乗せた「マヨネーズ納豆トースト」など革新的なメニューが並ぶ。なんだ、だんだん納豆マヨネーズがあたりまえの組み合わせのような気がしてくるじゃないか。
納豆を製造している企業とはいえ、ここまで納豆マヨネーズをプッシュするのも珍しい。株式会社竹之下フーズの竹之下さんに、ちょっとお話をうかがってみた。
――ホームページ拝見させていただきました。「納豆」と「マヨネーズ」は一般的には珍しい組み合わせだと思うんですが、ホームページに掲載されているレシピはどうやって決めているんでしょうか?
「主には私と妻の2人で決めています。納豆はだいたい何にでも合うので、とにかく既存の料理に加えて味をみて、いけそうならそこからレシピ化する感じですね。あとは飲み物とかお菓子とか、そういう普段思いつかないベクトルのレシピを挑戦したりもします」
『納豆はだいたい何にでも合う』という言葉にプロの力強さを感じる。よくよく話を聞いてみると、もともとは小学生の頃におやつとしてご飯やパンにマヨネーズを乗せて食べるのにハマっていて、そこに身近にあった納豆を加えるようになったのが、竹之下さんの納豆マヨネーズのルーツなのだとか。いかにも納豆の作り手らしいエピソードである。
――納豆とマヨネーズの組み合わせについて、味の感想をお聞きしてもいいですか?
「においが抑えられて味がまろやかになると思います。マヨネーズがねばっこくなるので、触感というか、口当たりは面白いんじゃないでしょうか」
――納豆が苦手な人でも食べられる、おすすめの工夫やレシピはありますか?
「納豆の何が苦手かにもよりますが、まず賞味期限が新しいものを選ぶといいと思います。納豆は冷蔵庫の中でも発酵が進むので、賞味期限が短くなっているものは新しいものに比べて香りも粘りも強くなります。においや粘りが苦手な場合はスープに入れたり、衣をつけて揚げると食べやすいですね。
あと、においだけが苦手ならカレーなど香りの強い料理に入れるのもひとつの方法です」
ちなみに、ホームページに掲載されているレシピの中で、竹之下さんが個人的に一番美味しいと感じたのは「納豆カプレーゼ」なのだとか。
意外なところで、マヨネーズ以外にもぐんぐん可能性を広げる納豆。竹之下さんのレシピを見ていると『納豆はだいたい何にでも合う』という言葉も妙に説得力を感じる。みなさんも納豆のいろいろな可能性にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
取材協力
株式会社竹之下フーズ
(鈴木圭)
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