矢代朋(波瑠)と鳴海理沙(鈴木京香)のバディが「文字」を手がかりに事件の謎を解いていく『未解決の女・警視庁文書捜査官』(テレビ朝日・木曜21:00〜)第7話。

第7話から最終章に突入ということで「早い!」と思っていたが、それでも3話連続くらいのエピソードがあって、全9話とかで最終回かな……と思っていたら、まさかの全8話で終了。


ホントに早い!

超・高視聴率を保っている『ドクターX』シリーズなどと同じ枠なので、さすがにそこと比べちゃうと見劣りはするものの、視聴率的には決して悪くないはず。打ち切りというわけではないと思うのだが。

考えられるのは、第2シーズン以降も見据えた編成ということだろうか……?
「未解決の女」ここにきて謎解きのクオリティがグッと上がってきたぞ7話
イラストと文/北村ヂン

あの三億円事件かと思ったら別の三億円事件でした


今回の事件は15年前に起こった、警備会社の現金輸送車から3億円が強奪されたという事件。

お約束通り未解決となっていたのだが、新たに起こった、中古品の転売業を営んでいる藤枝信也(長谷川朝晴)殺害事件の現場に落ちていた二千円札が、三億円強奪事件で盗まれたものだと判明し、再捜査が開始される。

残されていたカードによるメッセージから、たまたま殺害現場に居合わせた百々瀬佐智(谷村美月)が、犯人に誘拐されていることが判明し……。

2話連続のエピソードということで、まだ事件は進行中。最終回に向けて、覚えておいた方がよさそうなポイントをまとめておこう。

・三億円を強奪された時、現場にいた警備員は2人。その内のひとり戸塚正秀(大谷亮平)は足を銃で撃たれてケガをしていたが、その後、退社し行方がわからなくなっている。

・百々瀬佐智を誘拐していた犯人は秋田昇(岡田浩暉)。藤枝が殺害される数日前からひんぱんに連絡を取っていたこと、拳銃を持っていたことなどから、藤枝殺害の犯人でもあると推測される。

・特命捜査対策室の室長・古賀清成(沢村一樹)を湾岸南署の署長に引き立てようとしている元刑事局長・野々村慎太郎(岩城滉一)は、三億円強奪事件の再捜査がはじまったことを気にしている様子(わざわざ岩城滉一が演じていることから、チョイ役とは思えない!)。

・百々瀬佐智の父親(石黒賢)は、大手コーヒーチェーン「MJG」の社長だが、殺された藤枝の写真を見た際、微妙な反応をしていた(知り合い?)。


・鳴海は、三億円事件の取り調べをした際の調書(「関俊文」という警部補が書いた物らしい)の文字が気になっているようで、矢代たちとは別に、独自の捜査を進めている。

さらに、三億円強奪事件の実行犯人は3人組だったということで、藤枝、秋田が犯人グループだったとすると、他にまだ1名仲間がいるということになる。

それが誰なのか……あたりがポイントとなってくるのだろうか。

原作者が作った謎はさすがに完成度高い


第7話では、三億円強奪事件絡みの殺人事件に巻き込まれ、誘拐されていた百々瀬佐智が救出されるまでが描かれていた。

事件解決のカギとなったのが、佐智が現場に残していた、アルファベット+記号が書かれたフラッシュカード。

アルファベットの組み合わせでメッセージを伝えようとしていたようで、その謎を解くのが第6係の役目。

例のごとく、「文書捜査」というよりは『レイトン教授』シリーズっぽい謎解きだったが、いつもよりも見ていて満足度が高かったのは、答えを導き出す過程が細かく描かれていたからだろう。

これまでのエピソードでは、『あばれはっちゃく』がいきなり「はっちゃけた!」と言い出すように、突然、鳴海が答えを導き出して「文字の神様が降りてきた!」というパターンが多かった。

謎を解いた後に解説はされるものの、視聴者からすると、前振りなしにバンバン謎を解いてしまう鳴海はエスパーにしか見えなかったのだ。

今回は2話連続の事件だけに、謎解きパートにも時間をかけられるようで、「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤する様子がキッチリ描かれていた。

「M」「J」「G」のカードから、コーヒーチェーンの名前を導き出す際も、事前にさりげなく「MJG」のコーヒーが登場していたりと、ヒントも提示されており、見ている側も一緒に謎を解いてる気分に。

今までのエピソードでも、このくらい丁寧に謎解きパートを描いてくれていれば……!

ちなみに、このカードを使った謎は、ドラマ原作となっている小説『警視庁文書捜査官』でも使われていたもの。

これまで、それぞれの事件や謎に関しては、すべてドラマのオリジナルだった。
最終章で、ようやく原作からの謎が登場した形だ(事件自体は別物だが)。

やはり原作者が考えた謎は完成度が高く、なんでもっと原作ネタを使わなかったのかと……。

原作がまだ3冊しか出ていなくて、しかもそのうち1冊は前日譚ということで、そのままドラマにするには全然エピソードが足らないという事情もあるんだろうけど。

第6係の絆にグッときた!


これまで本作では、事件の捜査を通じて新たに配属されてきた矢代と、第6係の仲間たちの絆が深まっていく様子が描かれてきた。

第6係の主任・草加慎司(遠藤憲一)は、矢代がやって来たことで、忘れていた捜査への情熱を取り戻した。

「倉庫番の魔女」鳴海は、熱血バカな矢代をうっとうしがりつつも、徐々に心を開き、自分の過去を語るような関係になっていた。

今回、印象的だったのは、カードの謎をどう見立てるのか検証している際、徹夜明けでバカな推理を披露して笑い合う矢代と鳴海。そして、それを見守る草加と財津喜延(高田純次)。

矢代を中心に第6係が本当の「チーム」になったんだなぁ……と感じさせるシーンだった。

第7話の最後、逃走する秋田昇を追いかけていた矢代が、拳銃で撃たれて倒れた。

悲劇が起こる前の、幸せな日常が丁寧に描かれていればいるほど、衝撃は大きい。

ちょっと前まで、あんなに楽しそうにしていたのに……しかも、矢代は数ヶ月前にも銃で撃たれ重傷を負い、その時のことを夢に見るほどトラウマになっていたのに……。


それでも、拳銃を持った犯人に立ち向かっていった矢代。結局、また撃たれちゃったことも含めて「ウワーッ!」と感情を揺さぶられた。

銃声が聞こえ、まず反応したのが、矢代に恋心を抱いている岡部守(工藤阿須加)ではなく、草加だったというのもタマラナイ。

ここで、いきなり変な「愛の力」なんぞを発揮されていたら、すっかりクールダウンしてしまったことだろう。

恋心よりも、仲間の絆! 燃える!

そして、別の場所で独自の捜査をしていた鳴海も、矢代の危機を感じ取って反応していた。

どこからか矢代の「センパイ」という声が聞こえた鳴海が足を止めて……というベタな「虫の知らせ」演出ではあったが、ふたりの間に本当の信頼関係が築けていたのだと感じられ、グッとさせられるシーンだった。

同時に、テレパシーを受信したかのような演出に「ホントにエスパーだったのかよ!?」とも思ってしまったが。

矢代は生きているのか、死んでいるのか!? 事件の行方は?

さすがに、本当に死んでいるというパターンはあり得ないと思うが、予告編ではキッチリその辺が隠されていたのもウマイ!

「この人、死んじゃったの? 生きてるの?」とドキドキさせる引きで終わっておきながら、予告編でピンピンしている姿が映し出されたり、サブタイトルが「○○死す」だったりして、あっさりネタバレしちゃうケースも多いので……。

第2シリーズに続いていくのか!? なども含め、ドキドキしながら最終回を待とう。
(イラストと文/北村ヂン)
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