連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第10週「息がしたい!」第59回6月8日(金)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:土居祥平

59話はこんな話


おもかげで鈴愛(永野芽郁)と清(古畑星夏)が鉢合わせ。お互いなんとなく意識して・・・そして、鈴愛と律(佐藤健)の誕生日7月7日がやって来た。


鈴愛と清が対称的


おもかげで向き合った鈴愛と清の服の色が、上はオレンジ下がブルーで似ていた。でも女性ぽいスタイルを強調したシルエットの清と子供っぽいだぼっとしたシルエットの鈴愛は雲泥の差。ほんとは永野芽郁もスタイルいいのに着るものでこんなにも変わるのだ。

鈴愛は服だけでなくナポリタンのケチャップを口元につけている子どもっぽさ。それを指摘する清。鈴愛に話しかける口調がいちいち大人っぽくて、いかにも鈴愛と差をつけようとしている感じ。
ユーコ(清野菜名)にはそれが癇に障り、鈴愛と律の特別感を強調するようなことを言う(スープを作ってもらったこと)。
ボクテ(志尊淳)が「わざと波風立てるようなこと言って」とたしなめる。
清は案の定いらっとしたようで律に(スープを)「今度つくってよ」とせがむ。

何にしても、いまのところ清がだいぶリードしてしまい、律と清は律の部屋でまったりいちゃいちゃする。

秋風メソッド


美味しいシュークリムームを食べながら、実生活のなかで気になったことを物語に昇華させる訓練をする
秋風(豊川悦司)。オリジナリティーとリアリティーを大事にしているから。
鈴愛が最近気になったことは、律の左手の薬指にネイルが塗られていること、でも自分の前では絆創膏を貼って自粛してくれたことを秋風に話す。
「この先マニキュアを塗りたいと思ってもすみれ色は選ばない気がします」と秋風に語る鈴愛。

この作業を通して「自分の心を見つめることが創作の原点ならこれは苦しいことではありませんか」と問うと、
「〜〜美しい物語に昇華したときに、そして多くの読者が喜んでくれたときにきみのその心も癒やされるんだ」と秋風は語る。鈴愛は以前こばやんとの悲しい恋をそういうふうにおもしろい物語に昇華していたから、それができるはず。

その頃、律と清は


鈴愛が意識したすみれ色の爪で、律の部屋に貼ってあった鈴愛の写真にばってんをする。こわっ。
律が爪に絆創膏を貼っていることを指摘すると、料理中にマニキュアがとれないようにと嘘をつく律。
「とっさの嘘ほど罪深いものはない」とナレーション(風吹ジュン)。
薄々何か感じている清は、マニキュアの塗られた指を、「私の11本目の指」だと言い、
「湿度高い系 大丈夫なんだ?」と自虐するが、
「いっそ好きかも。それこそ恋愛の醍醐味でしょ」と律はさらっと言う。ほんといつでも淡々としているなあ。
「清の11本目の指はわたくしが持ってますので。いつでも」なんて言って、恋をして大人になったとナレーションに言われるが、鈴愛の笛に呼ばれて馳せ参じるのと同じではないか。人に請われて動く受動的なところは子どもの頃から変わってない。

鈴愛にいろんな面でかなわないと思っている律はせめて恋愛面では先に行きたいと思っている節がある。

そういう人っている。そうしないとそれこそ心の安定がはかれない気持ちもわかる。

七夕


七夕、秋風ハウスの中庭で豪勢なバーベキューを行う。いい肉は散英社のお中元で、「散英社のボーナスは私の印税から出ている」から当然というようなことを言う秋風。印税は著作者がもらうものだから、私の漫画の売上でというのが正しいと思うがそれはそれ。本来もっと印税もらっていいはずなのに出版社がもっていってしまうという意味であれば正しい。
秋風に言われてケーキを買って律のマンションに行き、外から笛を吹くと清がベランダから顔をのぞかせた。
次回、修羅場・・・!
「半分、青い。」59話「清の11本目の指はわたくしが持ってますので。いつでも」律が大人の男に
「恋人たちの予感」 (特別編)  20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

律が清と見るため借りようとしてなかった「恋人たちの予感」(89年)は大ヒットしたラブストーリー。最初はあくまで友人だったふたりの男女が年月を経ていつしか・・・つかず離れずのふたりの関係とやりとりが楽しくセンスよく、日本のエンタメもこれを意識した作品は多いと思う。これを借りて清と見たら、律と鈴愛のことを思い浮かべて気まずくなったに違いない。借りられていて良かった良かった。
代わりに、日常生活には支障があるがある面では突出して優れているサヴァン症候群の人物を描く「レインマン」を借りてくるのもまたご一興。

(木俣冬)
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