連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第12週「結婚したい!」第71回 6月22日(金)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:田中健二

71話はこんな話


ユーコ(清野菜名)が結婚して秋風ハウスを去った。残った鈴愛(永野芽郁)は漫画を頑張ろうと思う。

岐阜で企画されているキミカ先生(余貴美子)の還暦祝いにも、鈴愛は締切の都合で行けそうになかったが・・・。

岐阜にて。それぞれの結婚感


サッカーの視聴率がすごいことになっているが、朝ドラも視聴率は23.2%(自己最高)、22.5%と乗って来た。ビッグウエーブ来るかとわくわくが止まらない。

ユーコの結婚の話は岐阜にも伝わった。
◯結婚しても(漫画家)続けたらいいのに  晴(松雪泰子)
◯鈴愛も(売れる年齢のうちに)結婚したらいい  草太(上村海成)
◯漫画家で売れたらそれでええやろ  宇太郎(滝藤賢一)
◯(仕事と結婚)どっちかで売れたらそれでいい  仙吉(中村雅俊)
◯どっちも売れなかったら・・・ 草太

わずか数分の間に様々な女性の俎上にあがった。
あとでユーコが「私の人生は私のもの」「みんな自分の分しかがんばれない」と言う。
仕事と結婚も、仕事だけでも、結婚だけでも、たとえどっちもなくても、みんなの分だけそれぞれの人生の形がある。

引き出物が


引き出物が新郎新婦の写真を焼き付けた絵皿時計。要らない引き出物ナンバーワンだ。
ユーコが結婚と聞いて、あの偽ブランドバッグのオヤジ? うげ〜と思った視聴者に作り手はぺろっと舌を出すようにいたずらを仕掛ける。陶器に焼き付けられた、老舗和菓子屋の息子で輸入雑貨の会社をやっているという結婚相手・浅葱洋二は、東京03の人ではなく山中崇だった(写真のみ)。

ユーコもなかなかしたたかで、オヤジとつきあいつつ虎視眈々といい男を見つけていたというわけだ。
そんなことしている時間があれば漫画を描けばよかったのにという疑問には秋風(豊川悦司)が回答した。

「彼女は居場所がほしかったんだ」


なるほどー。実家にい辛く秋風のもとにやって来たユーコ。漫画はその頃の彼女の逃げ場所だったのだろう。たまたまそれなりに巧く描けたけれど、彼女がほんとうに求めているものはそれではなかった。
結婚を焦っていた感じから見ると、理想の家庭がほしかったのかも。
秋風はユーコの部屋をそのままにしておこうと考える。「帰る場所があれば小宮も出ていきやすい」。
独身で子供のいない秋風だが疑似父のような気持ちを体験できて良かった良かった。

カエルのワンピース


結婚式に菜生(奈緒)が餞別にくれた(実際は北川悦吏子が永野芽郁にプレゼントした)カエル柄のワンピースを着る鈴愛。
これしかないと言う。いつもボーダーしか着てないし、おしゃれに興味なく漫画一筋の現れなのだろうか。
問題のワンピースは、ショールをかければ遠目で見るとかわいく見える。永野芽郁のスタイルの良さと着こなし力もあると思う。

でも近づくと漫画チックなカエルなので、二次会では素敵な男子をゲットすることはできなかった。
いまいちよくわからないが、写真の皿を引き出物に選ぶユーコ、カエル柄のワンピで二次会に出る鈴愛という描き方は漫画一筋で素朴な子というイメージなのか。それにしたって売れっ子漫画家になれるセンスや欲望が足りない気がする。ああだからユーコは挫折するのか、ナットクナットク。

ちなみに、漫画家の結婚式にはたいてい漫画家仲間か本人が描いた漫画による“結婚までの道”みたいな冊子が制作されて配られる。漫画家さんは何かにつけて絵を描いてしまうものなのだ。息するように手が動いてしまうのはSNS とか見ればよくわかるではないか。鈴愛が友情の証にユーコを主役にした漫画を描いてあげるエピソードとかがあったら楽しかったなあ。

ユーコは「(鈴愛とは)熱量が違う」「私は鈴愛になれなかった」「鈴愛はきっと成功する」「みんなの憧れるものをきっとつくる」と言い、鈴愛はがんばろうと思うがそのセンスでははたして・・・。

回想シーンの清野菜名


これまでの鈴愛とユーコのシーンがいろいろ出てきた。そこでのユーコの劇的な変化に圧倒される。
とりわけ、最初、反目していたのが軟化して丸ペンを差し出すところ。
おずおずした表情がじつに巧み。
出番はそれほど多くなく、ユーコのことが切れ目なく描かれていたわけではないにもかかわらず、瞬間瞬間、生き生きと演技していてすばらしかった。
「半分、青い。」71話。結婚した!新郎新婦の写真入り絵皿の引き出物、カエル柄のワンピース考
「やすらぎの郷」DVD-BOX III TCエンタテインメント

清野菜名は舞台や映画でも活躍しているし、なんといっても昼の帯ドラマ「トットちゃん!」で主演したことが記憶に新しいが、2017年、倉本聰の「やすらぎの郷」
で石坂浩二演じる主人公を翻弄する脚本家志望の女の子役の魔性も良かった。来年、倉本聰が一年かけて描く「やすらぎの刻〜道」に出演することも楽しみだ。昭和顔と言われるらしいが、昭和の名女優に見られる肝が座っている感じがするからだと思う。応援しています!
(木俣冬)
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