マツコも度肝を抜かれた関西ローカルタレント「Emi-chan」とは
ときどき勝負師の顔になるEmi-chan

ハイトーンボイスで繰り広げられる「きゃーのきゃーの」「はいの」「ですの」という独特の口グセが特徴の大阪のローカルタレントEmi-chan(えみちゃん)。2018年1月、「アウト×デラックス」(フジテレビ系)で目にして、深夜に衝撃を受けた人も少なくないだろう。さまざまな奇人変人と出会ってきたマツコ・デラックスら出演者もEmi-chanのキャラクターに度肝を抜かれ、そして魅了されていった。
インパクト大の「永遠の17歳」な彼女は、明るくポジティブなキャラクターに加えて、実はマルチな才能の人である。そんなことを、今回のインタビューで明らかにした。


実は将棋アマチュア二段


Emi-chanは「歩は一歩ずつ」という将棋をテーマにした歌も歌っている。作詞はEmi-chan(作曲・編曲は『あきっすん』に所属するまっすん)。

将棋や相撲に造詣が深く、特に将棋はアマチュア二段の有段者だ。将棋の技は、将棋を指しながら歌うというパフォーマンスにも活かされている。
また、将棋や相撲の豆知識、ニュース、話題の棋士や力士の近況などについて詳しく、YouTubeでは「Emi-chanの1分将棋&相撲」をほぼ毎日アップ。ライブでも歌を披露する前に「安定の将棋&相撲トーク」を披露している。将来的には、相撲の歌も歌いたいそうだ。

頻ぱんなYouTubeのアップやライブごとのトークなど、ネタに困ることはないのだろうか。そもそもEmi-chanはどのようにして膨大な知識を身につけているのだろう。
それらの情報は、専門のネットニュース、将棋は有料の携帯中継、マンスリーの専門誌、「将棋世界」(日本将棋連盟)「相撲」(ベースボール・マガジン社)などのメディアの他、関西将棋会館へタイトル戦、名人戦のプロの解説を聞きに行く、元力士が経営するちゃんこ屋に通い話を聞くなどして収集している。将棋や相撲が生活の一部と化しているようで、Emi-chanは「プロがうなるほど、将棋と相撲には詳しい」と自負している。


お気に入りの棋士や力士にニックネームをつけている


将棋、相撲が毎日欠かせないくらい好きなEmi-chan。TV番組やCMの出演が多い人気のひふみんこと加藤一二三棋士や、ひふみんのプロ入り最年少記録を塗り替えた藤井聡太七段について、どんな印象を持っているのだろうか。
「加藤一二三棋士は、個性が強烈なことと自分と同じA型であることにシンパシーを感じています。藤井聡太七段は奨励会時代から知っていて、最年少記録を次々塗り替えるんじゃないかと思っていました。もしTVで藤井聡太七段の特集がある場合、ぜひコメンテーターをさせていただきたいです。上級者でも満足できる解説をする自信があります」

では、Emi-chanが好きな棋士や力士は誰なのだろうか。棋士、力士1人ひとりに、大好きなアニメからインスピレーションを受けてつけたニックネームとともにあげてもらった。

「一番好きなのは『将棋界のシャイニールミナス』こと佐藤康光棋士。今は日本将棋連盟会長をしています。佐藤康光棋士の誕生日である10月1日が、ちょうどローカルタレントデビューの日でした。ファンへの対応が分け隔てなく、女性限定の花束をくれるなど、きちんと女性として扱い写真撮影にも応じていただけたので、一番のひいき棋士(お気に入りの棋士)になりました。棋士は強さだけでなく、丁寧で心のこもったファン対応など人間性も大事だと思っています」

Emi-chanは強さに加えて人柄で「将棋界のクリスティーネ郷田」こと郷田真隆九段、「将棋界の涼宮ハルヒ」谷川浩司永世名人もひいきとしている。

また、力士は力強さや凛々しい外見に注目しているよう。
「力強い取り組みが記憶に残る『相撲界の千代ちゃんパパ』元横綱・千代の富士。次は『相撲界のキュアアクア』元横綱・朝青龍、闘志むき出しなところやタフな所に千代の富士の面影があります。その次は『相撲界のセーラープルート』元横綱・日馬富士、ルックスにセーラープルートを感じるんです」


将棋会館でのある出来事がきっかけで「Emi-chan」に


趣味の域を超えた将棋、相撲の知識と愛情を語ってくれたEmi-chan。そもそもEmi-chanという芸名がついたきっかけに将棋が関係しているのだ。

将棋好きのEmi-chanが、関西将棋会館に名人戦の解説を聞きに行った時、将棋会館にいたパートの女性が、当時ショートヘアーだったEmi-chanに、アニメ「魔法のスター マジカルエミ」のヒロインに似ていると言ったため、ニックネームが「マジカルエミちゃん」となり、それが現在の芸名、Emi-chanにつながったという。

将棋会館に行かなかったらEmi-chanは「Emi-chan」という芸名にならなかった可能性がある。これも将棋好きを示すエピソードだろう。
Emi-chanは将棋のアマ二段の他に、国家資格である消防設備士の甲種4類(火災報知機の設備)、認定電気工事者(電気工事士)などの資格も持っているのだが、
「これは世を忍ぶ仮の姿。知識を身につけるために取ったもの」
とのことで、あくまで本業はローカルタレントだそうだ。


Emi-chanはなぜローカルタレントになりたかったのか


ところでEmi-chanは全国放送で話題になったのに、なぜローカルタレントにこだわるのだろうか。それはローカルタレントを目指すきっかけとなる、ある出会いが関係している。

関西で活躍する、とある女性ローカルタレントのファンだったEmi-chan。
「スレンダーなボディと大きなバスト、あどけない顔立ちも素敵でした。外見だけじゃなく、気さくな性格が魅力的でした」
ある時、Emi-chanは彼女とメイド喫茶で出会う。直接会ったことで憧れは強くなり、自分もタレントを目指したいと思うようになった。
そして彼女にローカルタレントになりたいという夢を語ったら、「Emi-chanならなれるよ」と後押ししてくれたそう。憧れのローカルタレントは、もう引退してしまったが、Emi-chanが目指すローカルタレントとして輝き続けている。

その後、Emi-chanはローカルタレントを目指しライブハウスでの公演に挑戦。しばらくは不遇の時代が続いたが、2011年、難波のライブハウス「Namba BEARS」の「アイドル発掘プロジェクト!! 10 minutes」で優勝。地下アイドルとしての初陣を果たす。
2017年3月 テレビ大阪開局35周年特別企画「それ、テレビ大阪やろ。35周年 春祭り」の「我が道をゆく地下アイドル」コーナーのオーディションで、パフォーマンスが評価され70組からみごと優勝。ローカルタレントへの第一歩を踏み出し、初めてのテレビ出演を果たした。そこで歌ったのが代表曲「おっぱいでかなりたいなのは☆」だ。

ちなみに「おっぱいでかなりたいなのは☆」はEmi-chanの「おっぱいが大きくなりたい」という口グセをもとに親友のAikaさんが作詞・作曲、島田智和(あたりめ)さんが作曲し、2016年夏リリースした。

その後はテレビ大阪開局35周年バージジョンのPVが作られ、4万4000回再生されローカルタレントとして多くの人に知られるようになり、ライブハウスでの出演も増えた。
そして2018年1月25日、フジテレビ「アウト×デラックス」で全国ネット進出。予想を超えた大フィーバーとなり、Twitterのフォロワーが急に5000人以上増え、何百件もの反応があったという。「Emi-chanの破壊力が半端じゃない」「個性が強烈」などというリプライに、朝の4時半までほとんど寝ずに1つひとつ返信したそうだ。

全国的に有名になっても、初心と熱心なファン対応を忘れないEmi-chan。
「都タレント(東京在住のメジャーなタレント)とちがい、アイドルを目指すきっかけとなったタレントのように、一般人や身近なファンの方に気さくに交流したい」
これからもEmi-chanは、大阪を笑いと笑顔と、おっぱいで包んでくれるだろう。
(谷町邦子)


Emi-chan公式Twitterアカウント
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