連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第20週「始めたい!」第116回 8月14日(火)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:土居祥平
「半分、青い。」116話。子どもの言い間違いをかわいいからと正さない母親はありかなしか
「半分、青い。 下 」文春文庫 北川 悦吏子
ノベライズ 

半分、青い。
下  文春文庫 北川 悦吏子


116話はこんな話


つくし食堂二号店をつくることになり、鈴愛(永野芽郁)は仙吉(中村雅俊)から五平餅の作り方の特訓を受ける。

五平餅の特訓


仙吉は厳しく、まるで秋風塾の五平餅版のようで。
「眠っとった赤ん坊がふっと笑ったような 起きるのかな・・・」(餅の焼き加減)
「五平五升」(五平餅がおいしくてコメを五升も炊いてしまうこと)
「ふぅ〜っと匂いがたつときがあるんやな その時(くるみを)潰すのをやめる」
等々、仙吉がいい台詞を言う。とりわけ「眠っとった赤ん坊がふっと笑ったような」は良い台詞。北川先生、その独特な表現を生かしてグルメドラマもいけるんではないでしょうか。

仙吉のスパルタは「巨人の星」の星一徹みたいと言う鈴愛。
そのへんから「明子」(星飛雄馬の姉)が見ているとまで。
明子見といえば、光江(キムラ緑子)が顔半分隠してのぞいていた回がありました。

カンちゃんのおつかい


カンちゃん(山崎莉里那)は保育園に行き始めた。
土曜日はお休み。カンちゃんは、晴(松雪泰子)に頼まれて、萩尾家にお届け物に行く。
卵焼き、蒸した金目鯛、五平餅。
カンちゃんは「オサカナ」を「オカサナ」と言う。
鈴愛がかわいい言い方だからそのままにしているそうだ。こういうことをタレントがSNSに載せたら炎上しそう。
怒らない子育てとか、赤と緑の足りないお弁当とか、なにかと話題になりますから。

和子(原田知世)は、天使みたいな子が来たと大喜び。
弥一(谷原章介)も「女の子はふわっふわ」と嬉しそう。9話で、鈴愛(矢崎由沙)のこともそう言っていた。
谷原章介があの声で「女の子はふわっふわ」と言うとほんとうに良いものに聞こえてくる。

やってまったあ


カンちゃんは律が翼という男の子のお父さんだと知る。
「お父さんは高い高いする」と言ってねだる。涼次には「もう高い高いはしない」と言っていたのに。
でも律は高い高いした後「ドーン」と低い低い的なこと(急下降みたいな)もする。

鈴愛が特訓中だからか、そのままカンちゃんは萩尾家で遊んでもらう。
律は超絶技巧(?)でピアノまで聞かせてあげる。
なんで他人の家の子どもをかわいがって、自分とこの子どもとのふれあいが少ないのか・・・という視聴者の疑問は、宇太郎(滝藤賢一)が代弁してくれた。
さらに晴が、大阪の名門小学校に通っているから、転校させられないのだと理由を説明する。


サントラで「Rain Drops」というタイトルになっている曲が流れ(この曲いい曲♪)、カンちゃんはお絵かきをはじめる。
カンちゃんとぬいぐるみのキツネの絵。このキツネ、涼次からもらったものだと思うと(カンちゃんの誕生日に離婚を切り出した激動の日)、なんとも言えない気持ちになる。
カンちゃんにとってキツネはお父さんなのかも。

律は話の流れから、鈴愛の漫画の話をしてしまい「うえ〜」と小島よしおみたいな言い方で誤魔化す(これ、佐藤健・史において重要なんではないか)も誤魔化しきれず、カンちゃんは二階に上がる。

病床の和子さん


和子さんの部屋の戸には、ブルーの色ガラスが入っていて海のよう。なんでしょ、この洒落たおうちは。美術スタッフさん気合入っています。
そこで和子さんは具合悪そうに横になっているが、カンちゃんの歌「子守唄」からの「ふるさと」を聞いて、泣いてしまう。
律も一緒に「ふるさと」を歌う。

カンちゃん役の山崎莉里那は快活で、子役特有の媚や歩留まりがなく、全力なところが良い。ちょっと変わった子・カンちゃんを一生懸命演じている。応援するぜ。


ブロードビーン、その後


115話に登場した写真家・ブロードビーンは北川悦吏子のお嬢さんで、放送当日、ブロードビーン(あさぎ空豆)のインスタグラムのアカウントを北川先生が紹介したが、ブロードビーンの名前はなくなり、もともとお嬢さんのペンネーム・あさぎ空豆としてのインスタになり、ドラマで使用された写真に“NHKの連続ドラマ小説『半分、青い。』にbroadbeanとして提供させていただきました。”と説明がついた。
このアカウント、放送日の前日くらいから写真が数枚アップされたもので、おそらく、オンエアに合わせてつくられたものと思われ、ボランティア的な小道具協力として作家の身内の作品が使用されることはともかく、すぐさま作家が(急づくりの)インスタに誘導することは公共放送としていかがなものか、という意見がSNSで散見された。
視聴者が自主的にブロードビーンを検索してインスタにたどり着くくらいのささやかな仕掛けで、少し話題になったときに、じつは娘なのです、くらいが穏便だったかもしれない。
2018年8月13日(月)を〈ブロードビーン事件〉が起こった日として記憶しておきたい。
(木俣冬)
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