連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第21週「生きたい!」第123回 8月22日(水)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:橋爪國臣 田中健二
「半分、青い。」123話。星野源「律くんしっかりして」
「佐藤健 in 半分、青い。」東京ニュース通信社
律くんに特化した写真集が9月5日発売

佐藤健 in 半分、青い。


123話はこんな話


病気の和子(原田知世)を囲んで、大人女子会が行われた。
一方、鈴愛(永野芽郁)は「岐阜犬」を完成させる。あとはしゃべらせるだけ。

律君、しっかりして


123話はなんといっても、大人女子会が家ではじまったのでそっと外に出た律(佐藤健)が、ふくろう商店街の長いストロークをふいに走り出し、次第にスピードを上げ、やがて停まったかと思うと、ジャンプしてバスケのシュート(エアシュート)をした上空に、昼間の真っ白いちょっと欠けた月が出ていて「あ、月だ」とつぶやく。この場面に尽きるであろう。

この屋根越しの月は、かつて鈴愛が「月が屋根に隠れる」瞬間を見たのと対になっているのかな。
なかはら・ももた先生(説明するまでもないと思うが、鈴愛の漫画を担当した)にこの場面をぜひ漫画に描いてほしいくらいの、少女漫画だったら成立しそうなポエティックな場面を、ほとんど閉まっている地方の商店街(美術は飾りこみ)を背景に佐藤健、よくぞやりきった。
この場面を見て、人を愛する方法のわからない男が病床の母や不仲の妻などのストレスによって、次第に心を病んでいき、ふくろう町に惨劇が起こる(謎の連続殺人事件)というようなサスペンスを思い浮かべてしまった。吉田修一の「パレード」みたいなやつ。
ちょうど21日放送のオールナイトニッポンで、星野源(説明するまでもないが、主題歌「アイデア」配信中。フルバージョン、凄い!)が「律くん、しっかりして」と発言したが、ほんとうに「しっかりして」。応援しています。

この回、もう一箇所、星野源の出演作とリンクしたことがあった。
「津軽海峡冬景色」だ。

20日に生放送された星野の音楽バラエティー番組「おげんさんといっしょ」で「津軽海峡冬景色」を使ったコント場面があって(藤井隆が津軽海峡〜と踊る)、22日の「半分、青い。」でも、瞳(佐藤江梨子)を迎えた喫茶(スナック?)〈ともしび〉で「ランバダ」をかけるぞ〜と盛り上がったら間違えて「津軽海峡冬景色」がかかってしまう場面があった。

昔をなつかしむ


123話は昔話がいっぱい。
瞳は、岐阜サンバランド計画を進めていた上司(斎藤歩)と不倫して女盛りをふいにしてしまう。たぶんアラフィフであろう。久々にボディコンを着て元気になる瞳。
還暦過ぎた(たぶん)の男たち──宇太郎〈滝藤賢一〉、弥一〈谷原章介〉、西園寺〈六角精児〉、五郎〈高木渉〉、友永〈スマイリーキクチ〉)も在りし日をなつかしんで盛り上がる。

一方、大人女子会チーム・晴(松雪泰子)、キミカ先生(余貴美子)、おしゃれ木田原の幸子(池谷のぶえ)が集まって、もちよったお酒と食べ物でわいわい。岐阜サンバランド事件などを思い返す。

一足先にベッドに入った和子とキミカが語り合う。
和子がもう40歳近い律のことを、小さいこどものように心配して泣くと、キミカは「立派なおっさんや」と
たしなめて大笑い。それを離れたところで聞きながら晴は涙する。

そして岐阜犬ができた。口のなかにケータイを入れてパソコン側と二手に別れて電話する方式は、梟会の最初の冒険・川をはさんだ糸電話を彷彿とさせ、しみじみ(したのはブッチャー〈矢本悠馬〉だけ?)。


岐阜犬の作り方を鈴愛に伝授したと「讃えて、わたしを讃えて」と誇らしげな菜生(奈緒)を鈴愛がガン無視したところで、肩を落としてカメラのフレームから出ていくときの菜生がかわいそうだが最高だった。

なぜか、恋


健人(小関裕太)とブッチャーの姉・麗子(山田真歩)がなぜか急接近。
「ビューティフル」なんて言われたことがないから他に意味があるんじゃないかと辞書引いたという麗子。
恋と笑いの次元が高過ぎて凡人には天上人の話に見えます。
(木俣冬)
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