1990年代のカップ麺の中に、強烈な印象を残したカップラーメンがある。その名は「ケンちゃんラーメン」。
今でも人気の景品&シール
1988年から8年に渡って発売されていたケンちゃんラーメンには、子ども心をつかんで離さない仕掛けがあった。ケンちゃんラーメンシールだ。シールはスクラッチくじがついていて、それを削ってあたりがでると景品がもらえた。
パズル、折りたたみ式望遠鏡、レーシングカー、ボールペン、変身消しゴム、ビックリカードペンといった魅力的な景品は、当時の志村けん好きキッズにとって神器ともいえるアイテムとなった。各種全種類を集めることを目標に、どれだけのケンちゃんラーメンを消費したものか、そのあたりの記憶は定かではない。
そんな無邪気な幼少時代を送った筆者だが、ここ最近のフリマアプリ等で当時の景品の数々が出品されているのを目にするようになった。懐かしさや驚きとともに、「SOLD」が表示されるそれに「まだ人気は健在だったのか」と喜びに似た感情も隠しきれない。
ちなみになぜか景品よりもシール(あたり)のほうが高値で取引されている。金欲にまみれつつある30代半ばの筆者はなぜ手元にとっておかなかったのかと後悔の念を募らせてしまうほどだ。
誰もがツッコんだ「新発売」の謎
ところで、ケンちゃんラーメンを知る者であれば、誰もが疑問に思っていたことがあるはずだ。そう、ケンちゃんラーメンは何年経っても“新発売”だったのだ。新しいCMが放送されるたびに「ケンちゃんラーメン新発売!」というフレーズが、まさにミニにタコもとい耳にタコができるほどに連呼される。
当時は、ケンちゃんラーメンが新発売されるたびに新しい変化が起きているものだと信じていたが、どうやらそうでもなかったらしい。
そこで調べてみると、「“ケンちゃんラーメン新発売!”までが商品名」という説がささやかれていた。一度はなるほど…と思ってみたものの、もっともらしいがその真偽のほどはわからない。
だったら直接尋ねてみるのが1番だ。そんなわけで生産終了から22年の時を経て実際に販売元のサンヨー食品に問い合わせてみることにした。すると……
「“新発売”という表現が1番わかりやすかったからです。商品名の一部ではありません」(サンヨー食品問い合わせ担当者)
ケンちゃんラーメン販売中から販売終了後も長年に渡って数多の人々が疑問に思い続けてきた「ケンちゃんラーメン新発売!」の謎。そこには隠されたストーリーがあったわけでもなく、肩透かしを食らうほどあっさりしたものだった。
しかし、真実なんていうものは知ってしまえば案外そっけないものなのだなあ。(完)
(空閑叉京/HEW)