脚本:福田 靖
演出:松岡一史
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

87話のあらすじ
万能調理器商品化資金を梅田銀行が融資してくれることになって生産体制に入ったところ、担当の喜多村(矢柴俊博)が異動になり、状況が一変してしまう。
屋台で仲良くなっても……
「あさイチ」の大吉が、「屋台であんだけ仲良くなるっていうのは、逆を返せば全然仲良くなってない」と言っていました。なんだか深いです。
喜多村は屋台で萬平(長谷川博己)に銀行の仕事の意義を熱く語りましたが(がんばっている会社を大きく育てる)、あっさり異動になってしまいます。
新たな担当(矢島健一)はいかにも厳しい雰囲気を漂わせ、池田信用組合への資金援助を終了。及び、これまで貸したお金の回収に入ると宣言します。なんとまあ、大変なことに……。
銀行と中小企業のお話といえば池井戸潤の「陸王」が面白かったです。「あさイチ」では「半沢直樹」のようになってきたと言っていました。どちらも池井戸作品ですね。これらが面白いのは、作家の銀行勤務経験による描写のディテールの積み重ねに作品の熱量が上がるからです。
以前、池井戸にインタビューしたとき“僕の小説はビジネスシーンの連続ですから、そういう経験のない方が改変するのは難しいと思います”と自身の小説の脚本化の難しさを語っていました。「まんぷく」は別に池井戸原作ではないので関係ないですが、仕事のディテールにはまったく触れず、表面的な部分だけ描いています。それはまるで大吉さんが指摘した、屋台で仲良くなるようなものかもと思いましたが、もう一方では、外野の表面的な見方と当事者の真剣さのちがいを描くエピソードも描かれました。
裸のモデル
織田製作所問題が解決した気で、久しぶりに友人三人で旅行にでもいかない? と敏子(松井玲奈)に誘われて、それどころじゃないと言う福子。彼女が心配なのは、香田家の裸問題。
画家である忠彦(要潤)が、若い女性モデル(さとうほなみ)を雇い、アトリエにこもって絵を描いているだけでも心配なうえに、ついに裸を描き始めたと、克子(松下奈緒)もタカ(岸井ゆきの)も吉乃(深川麻衣)も大騒ぎ。福子(安藤サクラ)と鈴(松坂慶子)も呼んで、忠彦に詰め寄ります。
裸を描きたいなら、ワタシがいるとまで言う克子たち。鈴までが立候補するのはお約束。
さすがに娘たちも背中ならいいけど的な感じで、忠彦も娘の裸を描く気はないようでホッとしました。
忠彦はプロのモデルの大変さを説きますが、克子たちは理解しません。
なかにはモデルと不適切な関係になってしまう画家もいるでしょうし、きちんと切り分けて仕事に徹する画家もいるでしょう。絶対はないものですが、克子たちはとにかく克彦の仕事を理解できていません。いやだという気持ちもわかります。でも…彼女たちへの忠彦の気持ちは、金融や町工場の仕事や主婦の仕事に詳しい人たちが自分たちの仕事がわかってないとドラマを見て肩を落とすのと同じ気持ちでありましょう。
ひとそれぞれ、わかっていることもあればわかってないこともあるもの。立場が違えば気持ちも変わる。そう思うと、何を見ても広い気持ちで見られるものです。
それにしても、松下奈緒さんが、素朴な反応をじつに清潔にかわいらしく演じている。人の心を和ませるもの、美しいものがなにかをわかっている人だなあと思います。
(イラストと文/木俣冬)
連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ
「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
エキレビ!べっぴんさんレビュー
「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
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