第18週「完成はもうすぐ!?」 第99回 1月29日(火)放送より
脚本:福田 靖 
演出:保坂慶太
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」99話。真一さん再婚、お相手は福子よりも若いシングルマザー
わたくし、萬平さん忠彦さん真一さん、三人の魅力について寄稿しており、そのなかで、真一さんの再婚問題についても触れています。
演じてる俳優さんたちのコメントが読み応えありますよ。

連続テレビ小説 まんぷく Part2 (NHKドラマ・ガイド)

99話のあらすじ


即席ラーメンの試作品を、福子(安藤サクラ)や香田家の人々が食べてみたが、鈴(松坂慶子)は美味しくないと言う。
二度目に作ったものも、鈴に「むしろ最初のほうがおいしかったかも」と言われ、萬平(長谷川博己)は奮起する。「無理をしなきゃ新しいものは作れないよ」

「ここにいる全員がおいしいと言わなければ作り直します」


全員が美味しいと言うことを目標で試作をしたものの、鈴が美味しいと言わなかったことで、福子も冷静に思い直して、鈴の意見に賛同します。
二度目も、鈴は美味しいと言いません。

「まだ二回目ですよ。二回目で世の中でひっくりかえるような味ができるわけないでしょう」
そのとおり。
鈴はいままで何かと意地悪なことを言ってきたので、これまた意地悪というか、萬平がラーメン屋になることを阻止したいからではないかと克子(松下奈緒)は疑いますが、「即席ラーメン」のネーミングといい、今回の判断といい、最近の鈴はなかなか冴えています。

萬平も「無理をしなきゃ新しいものは作れないよ」と覚悟を決めて、試作に励みます。
どうでもいいことですが、研究所という名の掘っ建て小屋の窓ガラスが外の寒さと中の暑さで水滴がいっぱい。でも手前の二枚だけで奥の窓ガラスには水滴がついていませんでした。

多数決ではなく、全員が納得する「全会一致」という決め方は、先日、活動休止で世間を騒然とさせた嵐の
やり方と近いでしょう。
たとえば、朝日新聞デジタルの会見詳報記事から引用させてもらうと、櫻井翔さんは大野智さんからの相談を受けて、活動休止を決めるまでにこう考えたと語っていました。
「どれだけ時間かかっても、かかってもというか、むしろどれだけ時間をかけても全員が納得する形の着地点を探していかなければならない」
「みんなの思いがきちんと同じところに着地することです。5人、たとえば我々が五角形だとすれば、真ん中をどこに落とし込むかという話をひたすらにしていました」
これです、これ。
少数派の意見を損なうことなく、全員の思いをすり合わせていく。嵐は仲の良さも人気のひとつでありましたが、その仲の良さは、きっとつねにこういうふうにしてきたのではないでしょうか。


「全会一致」は時間もかかり難しいことは、とても大事なことです。
公開中の『十二人の死にたい子どもたち』(原作:冲方丁 監督:堤幸彦)も、死にたいと思って集った十二人の未成年が、アクシデントに見舞われたとき、このまま集団自殺するか否か、全会一致で決めようとじっくり向き合っていきます。劇場用パンフレットで私が構成した、冲方さんと堤監督の対談で、冲方さんは
「本来の民主主義は“一票”を持っていることの力は全体の場に影響をあたえるべきものです“”サイレントマジョリティといいますか、多数派に圧殺されてしまう人々の心みたいなものを、少年少女たちに仮託したところは確かにあります“と語っています。

昨年放送されて話題になったドラマ『ワンダーウォール』(渡辺あや脚本)の舞台となった京都の学生寮も、全会一致を原則にしている設定で、寮生たちはとことん話し合います。

「まんぷく」では初期の頃、鈴さんがやいのやいの言って福子や克子や血のつながっていない萬平すら、彼女の言うことをスルーしてしまうことが多かったのですが、ここへきて、全会一致方式になり、それが99話のエピソードを面白くしました。

「みんなに祝ってもらえないなら再婚はしない」


真一さん(大谷亮平)が久々に訪ねてきたら、なんと、再婚の相談でした。
咲が死んで17年も経っているとはいえ、ずっと親戚のような気持ちで接してきたから、真一さんも福子もなんだかちょっと複雑な心境で……。
さあ、ここでまた全会一致方式です。真一さんも、「みんなに祝ってもらえないなら再婚はしない」と、言います。とくに鈴がなんていうか心配。こういうときは真一の意思でいいと思いますけどね……。

そこで福子が相手・本城好美(東風万智子 元・真中瞳)に会うと、咲姉ちゃん(内田有紀)とはまるで違う性格のひとでした。年齢は35歳で福子よりも若く、ふたりの子持ち。

大阪のおばちゃんそのものの好美のパワーに圧倒されながら無理して微笑む福子の顔は、東京の人・安藤サクラさんになっている感じでした。

みんなの感覚や気持ちを大事にしようとするエピソードの二段重ね。
NHKは公共放送。みんながおもしろいと思う番組づくりを、萬平にとってのおいしいラーメン、真一にとっての再婚のように考えて、局員のみなさんは作っていらっしゃるに違いありません。みんなを意識するって大変なお仕事であります。とりわけ、国民的番組の朝ドラは大変そう。
(木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ


「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
エキレビ!べっぴんさんレビュー

「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
エキレビ!あさが来たレビュー
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