脚本:福田 靖
演出:安達もじり 中泉慧
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
126話のあらすじ
「一人勝ちだ」と喜ばず、みんなの役に立つことを考えてほしいと福子(安藤サクラ)が懇願したことによって、萬平(長谷川博己)は特許を開示しようと考える。
夫婦漫才
「なんやあの夫婦漫才は」と呆れる世良(桐谷健太)。
まんぷくラーメンより安いということでからだに悪いものを食べてしまう人がいる、と萬平さんは特許開示の根拠を述べました。福子が言ったことを、自分発みたいに言ってます。
福子は、それをうんうんうん、と頷いて後押し。
このコンビプレーこそが、夫婦漫才。
ああ、ありますね、夫がどんどんしゃべって、うんうん、と妻が訊いている夫婦漫才。
林家ペー、パー子とか、そうですね。
とにかく、夫を立てる。それもかなりの高等テクなんですよ。女性の頭の良さなんですよね。
そんな福子はまた、世良に頼みに行きます。
きれいごとを通せなかったら、萬平さんは何も作れなくなると。
福子は「世良さんなら、ケンカしなくても事を収めることができる」と、“立ち技、寝技どっちもいける男”・世良まで持ち上げ技で動かします。
「あなたとトゥラッタッタ♪」の「わたしすごい」って、ほんとそれ。
やり方をおしつけない。私にはどうしていいか方法がわからないけれど、あなたならできる、と持ち上げるんです。これは見倣いたい。
「ええ嫁やな。福ちゃんは。そやけどひとつ間違ってる。立花くんがいままでがんばってこれたのはきれいごとを通したからやない。福ちゃんがおったからや」と世良がまとめに入るのもむべなるかな。
「俺かて福ちゃんみたいな嫁がほしかった。怒られてばっかりやもん」という一言まで加わって、「まんぷく」はとにかく、夫を陰で支える妻の形を描きたかったのは、わかります。
男の人が元気のない時代、男女が対等になって女性がグイグイ前に出てきたことも原因なのかもしれず。
女性が支えてくれたなら、男の人もがんばれるという論調を感じます。
さだまさしの「関白宣言」の世界です。「飯は美味く作れ、いつもきれいでいろ」というやつです。
男の人の希望が「まんぷく」には描かれていて、それを、朝ドラの変化ではないかと125話のレビューで書きましたが、真一さん(大谷亮平)ではないですが、さっきまで言ってたことと違うことを書くと、存外、朝ドラの伝統でもあるのです。
なんたって内助の功ですから。
拙著『みんなの朝ドラ』 で、朝ドラ絶対王者「おしん」の橋田壽賀子先生の著書から引用した言葉があります。
「夫婦の間で『男女平等』と思っている」
先生はさらに「まず考えるべきは「内助の功」」と続けるのです(「おしんの心」より)。
未亡人のまま女性起業家となるおしんなので、強い人と思われがちですが、彼女は夫に対してとにかく下手に出ていました。4月からBS で再放送されるので見たら、なんとまあ、と思うと思います。私も大人になって見直して、そう思いましたから。

次の朝ドラ「なつぞら」脚本・大森寿美男さんインタビュー(「てるてる家族」を中心に朝ドラの描き方について)も
「おしん」って、すごいんですよ、やっぱり。俳優を三人使って、女の半生を描くなかで、多くを学ぶ少女時代と、妻としての内助の功を描く時代と、おんなひとり、強く生きていく時代と、3つの女性の生き方を描きだしているんです。
それを、主人公以外の人物を使って描くドラマもありますが、なかなか難しい。昨今の朝ドラに不足しているのは、そこかもしれないですね。
(木俣冬)
連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ
「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
エキレビ!べっぴんさんレビュー
「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
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