まず最初に書いておくと、『岬の兄妹』はなかなか強烈でハードな作品である。題材となっているのは社会のセーフティネットからこぼれ落ちてしまった兄妹。それも兄は身体障害を抱え妹は自閉症という、ハンディキャップを抱えた主人公たちの映画である。
「岬の兄妹」貧困描写に絶句「万引き家族」はまだましだった、コロッケとか食べてたし

ギリギリすぎる兄妹の生活を、生々しい演技で見せる


映画は、兄である道原良夫が妹の真理子を探すところから始まる。真理子は重い自閉症であり、うまく他者とコミュニケーションをとることができず、おまけに失踪癖がある。脚に障害を持つ良夫は、それでも必死になって真理子を探す。知り合いで警官の肇にも手伝ってもらって妹を捜索するが、真理子は全く知らない男の車に乗ってひょっこり帰ってくる。

家に帰ってきてひとまず真理子を風呂に入れる良夫。しかし良夫は真理子の服に突っ込まれていた一万円札と、そして下着に付着していた精液を見つけてしまう。真理子が体を売って金を得たことを知った良夫は激怒し妹を問い詰めるが、全裸で泣き叫ぶ真理子が相手では話にならなかった。

良夫は唯一の収入源である造船所の仕事を半ばヤケ気味で辞めてしまう。他に肉親もおらず、ポケットティッシュに広告を差し込む内職を始めるも、その程度では滞納した家賃や光熱費を支払うことはできない。その時良夫の脳裏をかすめたのは、真理子が持ち帰ってきたあの一万円札だった。大いに逡巡しつつも、生きていくため良夫は真理子を使った売春の斡旋へと踏み出す。