第24週「見守るしかない」 第138回 3月15日(金)放送より
脚本:福田 靖 
演出:松岡一史
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」138話。フリーズドライ製法で乾燥具材を作るのだ!
川井憲次による、心はずむ楽曲、34曲収録

連続テレビ小説「まんぷく」オリジナル・サウンドトラック2 バップ

138話のあらすじ


新商品・ヌードルに向けて開発が進むなか、源(西村元貴)はフリーズドライ製法を使おうと思いつく。

「僕のせいや……」


137話で洋風の具と言っていたにもかかわらず、社員たち・久坂(竹村晋太朗)、西野(馬場徹)、戸塚(ぎぃ子)が提示してきたのは、高野豆腐とか貝柱とか昆布とかこんにゃくとか和風のものばかりで、萬平(長谷川博己)は落胆。
開発が進まないのは「僕のせいや……」と頭を下げる神部(瀬戸康史)。もしや、肝心の洋風の具について社員たちに伝えてなかったのでしょうか。
間に入った人がトップの言っていることを的確に伝えないため無駄な作業をせざるを得なくなることはお仕事ではよくあることです。
まんぷく食品でいいのは、社長が直接社員と触れ合って、意見を言う場のあること。これで、社長が何を求めているのか下にもわかります。
神部は言います。
「あんだけ怒るということは社長は本気やいうことだ」
「君たちは期待されてるんや」
これは、最近の若者が、怒られることに慣れてないと言われていることへの、大人側からのメッセージでしょうか。良かれと思って怒っているのです、ということ。視聴者の大半がかなりの大人なので、うんうん、そうなんだよと溜飲を下げる人もいそうです。
開始1、2分の間に、下の言い分と上の言い分を描いてみせました。そして、神部という中間管理職の立場も。

「私たちは見守るしかないの」


それぞれの立場が交錯していくということを意識して描いているのは、立花家の食卓でも同じことが行われるのでわかります。
立花家では、子と親と、ちょっと外れた祖母の三世代が食事しながら、恋の話(ダヴィンチくんの二股疑惑)、仕事の話が交錯します。ともすれば意見がぶつかりあって爆発しそうになるところを、福子が必死に交通整理。素っ頓狂な対応と思わせて、道化に徹しているのです。
それに萬平さんは気づいていて、寝室で労います。
福子はその前の白薔薇のシーンで「私たちは見守るしかないの」と言っていて、夫のみならず子どもたちのことも見守ることに徹しているのです。ご立派です。

フリーズドライ


源は「フリーズドライ」という製法をみつけ、それをヌードルに生かそうと思いつきます。
具の中身を探していたのかと思ったら、と同時に、どう乾燥させるかも課題だったんですね。
これもまた、複数の問題が交錯シリーズといっていでしょう。これまでずっと、シンプルにひとつの話題がまっすぐ進む書き方をしていたのが、突如として、いくつかの事情が絡み合う書き方に。しかも、15分間を3つに分けて、それぞれ内容は違うが構成は同じ(それぞれの事情の違いが絡み合う)という職人技を見せてくれました。
ダネイホン師匠、即席ラーメン師匠と愛を込めて応援させていただいてきた福田靖先生、第三形態・ヌードル師匠にシン・ゴジラ的進化が見られます。そういえば、シン・ゴジラって凍らせられちゃうんでしたっけ。
それはさておき。ただ、レオナルド(ハリー杉山)をダヴィンチくんというあだ名にしたことで、同じ頃に登場してきた脇役・絵を描いている名木(上川周作)と混乱してしまうんですよね。ダヴィンチは絵だけではなく様々なことに才能を発揮した天才であり、萬平さんのような才人をじつは指しているのかなとも思えるのですが、意図がいまひとつわかりません。
意図はないのかもしれませんが、どんなに役が小さくても全員にフルネームをつけている、登場人物に愛情の深い先生なので名前にも意味があるんではないかと深読みしたくなるのです。
(木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ


「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
エキレビ!べっぴんさんレビュー

「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
エキレビ!あさが来たレビュー
編集部おすすめ