最終話サブタイトルは「明かされる驚愕の真実 真犯人は誰なのか」。
以下、ネタバレあり。
真野(錦戸亮)の姉を妊娠させ、真野の家族を殺した人物は誰か。
年齢設定的にも「姉の相手も殺人犯も、壇(千原ジュニア)でしょ」と多くの視聴者が思っていたと思う。
科捜研に視察に来た壇は「一度やってみたかったんです」とDNAを採取を自ら行い、真野に手渡す。
真野が武蔵野一家殺人事件のことを調べていることを見透かしていることをわざわざ伝える狙いなのか。
事件の真相に辿り着けるわけがない、という挑発にも見える。

いや、ただ頭おかしい奴て!
武蔵野一家殺人事件、そして新妻と佐保が事故死した事件も、全て壇が仕組んだものだった。
早川は不倫、新妻と佐保は盗難をネタに壇から脅されていた。
事件のきっかけもたまたま見かけた真野の兄が忘れられなくなり「あの笑顔を踏みにじってやりたい、苦痛に歪む顔が見てみたい」と思うようになったからだという。
なんだそれ!こんな歪んだ人間がどうして生まれたのかということは謎のままだった。
こんなことで家族全員を殺されることになってしまうなんて、理不尽すぎる。

千原ジュニアと高校時代の壇を演じた高山綾平→twitter)の息つく間もない怪演が凄かった。
(高山綾平さん、調べてみたら超イケメンでした。
もちろん対峙する錦戸亮も(錦戸は涙腺を自由に操作できるのか?)
「俺は前に進みたい」←尊い

事件解決後、虎丸が問いかける。
なぜ自分の家族を殺した早川と壇を助けたのか。復讐しようと思えばいくらでもできる状況だった。
「俺は前に進みたい。そう思ったんです」
真野が柔らかな笑顔を見せる。この子こんなふうに笑うんだ!と嬉しくなった。
25年ものあいだ過去に苦しんできた真野が、その苦しみから抜け出す一歩を踏み出したことをうかがわせる。
暗くて重くて理不尽なドラマに、最後せめてもの救い。ひと筋の光。
(イラストと文/まつもとりえこ)
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・FOD
「トレース~科捜研の男~」(フジテレビ系列)
原作: 古賀 慶『トレース~科捜研法医研究員の追想~』
脚本:相沢友子、岡田道尚
音楽:Ken Arai
主題歌:関ジャニ∞『crystal』(INFINITY RECORDS)
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵(大映テレビ)
演出:松山博昭、相沢秀幸、三橋利行(FILM)
制作:フジテレビジョン