悪徳店からデリバリーヘルス店「フルーツ宅配便」に移籍したえみ(仲里依紗)は、借金を返済する目処もつき、少しずつ明るさを取り戻していた。そんなとき、えみの中学の同級生でフルーツ宅配便の店長・咲田(濱田岳)に元上司から東京で働かないかと誘いがあった。えみは、普通の仕事に戻れるチャンスだと咲田の背中を押す。

そんなとき、以前えみが勤めていた悪徳店のオーナー・沢田(田中哲司)の差し金で、フルーツ宅配便は警察に摘発されてしまう。オーナーのミスジ(松尾スズキ)が連行され不在のなか、今度は沢田たちによってえみが拉致された。
白石監督が描く「ヤクザ者と警察」
ヤクザ者、それを捕まえたい警察、その間で上手く立ち回る者。白石監督が映画『日本で一番悪い奴ら』(2016年)で描いたこのトライアングルが活きた。
えみが監禁されている倉庫に、咲田が助けに向かう。ボコボコの返り討ちに遭う咲田だったが、ミスジが残してくれた銃を使ってえみと逃げることを試みる。しかし、その銃はモデルガンだった。
えみ「咲田くん、最後に助けに来てくれてありがとう」
咲田「助けてない、誰も助けてない。誰も。えみだけじゃない。フルーツで働いてた女の子たち、誰も助けられなかった。みんな、必死に生きてたのに、見てることしかできなかった」