「スカーレット」24話。大島優子が戸田恵梨香のことを「ガラケー」に例える
連続テレビ小説「スカーレット」24話。木俣冬の連続朝ドラレビューでエキレビ!毎日追いかけます

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連続テレビ小説「スカーレット」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
「スカーレット」24話。大島優子が戸田恵梨香のことを「ガラケー」に例える

『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第4週「一人前になるまでは」24回(10月26日・土 放送 演出・佐藤 譲)


土曜日の衝撃だった第1週の出来事が蘇った回。

18歳ともなると、「恋」するお年頃。信作(林遣都)は女生徒から恋文をもらう。

照子(大島優子)は剣道部の人にお熱になり、桜の木の下で待ち伏せするも、振られてしまう。
照子は、「いけないことをした」あの日を覚えているかと喜美子(戸田恵梨香)に手紙を書く。

「愛と恋の違いについてあなたは知っていますか」

タイミングよろしく、喜美子の周りにも恋が……。
圭介(溝端淳平)が、犬のゴンの散歩をしていた女性(佐津川愛美)に一目惚れしてしまったようで、何も手につかなくなってしまった。
勉強一筋の奥手らしく、映画「大阪ここにある」のありえなそうな一目惚れ描写を体験してしまったその動揺と、どうしていいかわからない困惑を喜美子に語る。
「あのときのゴン」って言ったけど、ゴンに一目惚れではない(当たり前)。

「うちかてわかります恋のひとつくらい」と、唇に指を触れる喜美子。
「経験あるん?」とショックな圭介。

「いけないことしたくなる気持ちくらいわかります」と、照子の手紙の言葉を用いる喜美子。なにも知らない圭介は年下の喜美子に先を越されていることがただただショックで、喜美子のつくったおにぎりを頬張るしかない。

いけないこととは


喜美子の「恋」と「いけないこと」は照子とのキスだと知ったら、圭介はどう思うだろう。拍子抜けするか、女の子と!?と更にひっくり返るか。まあどっちでもいい。
喜美子が愛らしいからいい。
唇に触れる指が長くて細くて、少女漫画みたいで、もうそれだけで、物語が美しく見える。
戸田恵梨香、やっぱり、この指が、彼女を特別な俳優にしている。

土曜スタジオパークが「スカーレット」特集で、大島優子が戸田恵梨香は手足が長いが小さくなれる、例えるなら「ガラケー」とユニークなたとえをしていた。

恋の経験者ということで、圭介の恋に協力すると申し出る喜美子。「大阪ここにあり」にも主人公の恋を応援する脇役がいたから、その役割をするという。主人公なのに「脇役」になろうとする喜美子がいじらしい。

「うちは圭介さんの妹やさかい ほおっておけません」

満月がきれいな晩、瞳がうるうるして……。
圭介が恋したことを知ったとき、かすかに動揺している感じとか、月を「きれいやあ」と言う(例の「月がきれいですね」というやつを思い出す)ところとか、なんとも余韻のある終わり方だったが、次週予告はまたにぎやかになりそうだ。

猫、生きてた


大久保さん(三林京子)と共に猫もいなくなったかと思いきや、また出た猫。しかもごろっと横たわった最高のポーズで。23回、出さなかったのは、猫出なかったという視聴者のリアクションを狙っていたのか、やられた、もう釣られないぞと固く誓った土曜日。

ところで、すっかり忘れそうになってしまったが、二年半前に起こった川原家の泥棒事件は、結局、雇った若いものの仕業だったのだろうか。
祖母が入院して大変だったという話もあり、仕方なかったということなのか。あえてはっきりさせてないのか。そのへんも作り手には思うところがあるのだろう。

(文・木俣冬 タイトルイラスト・まつもとりえこ)

登場人物のまとめとあらすじ (週の終わりに更新していきます)



●川原家
川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。空襲のとき妹の手を離してトラウマにしてしまったことを引きずっている。 絵がうまく金賞をとるほどの腕前。勉強もできる。とくに数学。学校の先生には進学を進められるが中学卒業後、就職する。

川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。運送業を営んでいる。
家に泥棒が入り、
喜美子の給料を前借りに行く。

川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉 

●熊谷家
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死しているため、家業を継がないといけない。婦人警官になりたかったが諦めた。高校生になっても友達がいないが、楽しげな様子を書いた手紙を大量に喜美子に送っている。喜美子とは幼いときキスした仲。


熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母

●大野家
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。高校で友達は照子だけだったが、ラブレターをもらう。
大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。

●滋賀で出会った人たち
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退し草津へ引っ越す。喜美子に作品を「ゴミ」扱いされる。

草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。
医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいた。帰国の際、離れ離れになってしまった妻の行方を探している。喜美子に柔道を教える。

工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。

…中川元喜  常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。
博之…請園裕太 常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。

●大阪 荒木荘
荒木さだ…羽野晶紀 荒木荘の大家。
下着デザイナーでもある。マツの遠縁。
大久保のぶ子…三林京子 荒木荘の女中を長らく務めていた。喜美子を雇うことに反対するが、辛抱して彼女を一人前に鍛え上げたすえ、引退し娘の住む地へ引っ越す。女中の月給が安いのでストッキングの繕い物の内職をさせる。

酒田圭介…溝端淳平 荒木荘の下宿人で、医学生。妹を原因不明の病で亡くしている。
庵堂ちや子…水野美紀 荒木荘の下宿人。新聞記者で不規則な生活をしていて、部屋も散らかっている。
田中雄太郎…木本武宏 荒木荘の下宿人。市役所をやめて俳優を目指すが、デビュー作「大阪ここにあり」以降、出演作がない。
静 マスター…オール阪神 喫茶店のマスター。静を休業し、歌える喫茶「さえずり」を新装開店した。

平田昭三…辻本茂雄 デイリー大阪編集長 バツイチ 喜美子の働きを気に入って、引き抜こうとする。
石ノ原…松木賢三 デイリー大阪記者
タク坊…マエチャン デイリー大阪記者
二ノ宮京子…木全晶子 荒木商事社員 下着ファッションショーに参加
千賀子…小原華 下着ファッションショーに参加
麻子…井上安世 下着ファッションショーに参加
珠子…津川マミ 下着ファッションショーに参加 
アケミ…あだち理絵子 道頓堀のキャバレーのホステス お化粧のアドバイザーとしてさだに呼ばれる。

あらすじ


第一週 昭和22年 喜美子9歳  家族で大阪から信楽に引っ越してくる。信楽焼と出会う。
第二週 昭和28年 喜美子15歳 中学を卒業し、大阪に就職する。
第三週 昭和28年 喜美子15歳 大阪の荒木荘で女中見習い。初任給1000円を仕送りする。
第四週 昭和30年 喜美子18歳 女中として一人前になり荒木荘を切り盛りする。

脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき
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