江藤「何？ この甘苦い香り、獅子雄」
獅子雄「焦げた砂糖だ」
若宮「誰のせいだよ！」
江藤「焦がし終わったら話聞いてくれる？」
若宮「もう焦げてんだって！」
11月25日（月）放送のドラマ『シャーロック』（フジテレビ系）第8話。
第7話で獅子雄（ディーン・フジオカ）に市販のプリンを食べられたと怒っていた若宮（岩田剛典）が、今度はプリンを自分で作っている。
新宿、渋谷、後楽園、豊洲、江戸川など、東京の街で謎を解いてきた獅子雄。今回の事件に関連するのは永田町。日本の政治経済の中心地だ。その舞台設定だけで、いよいよストーリーも核心に迫るのだろうと予想できる。やはり、今回は「守谷」に関わる回だった。
経産省勤務の職員・柴田雅樹（久保田悠来）と永田町のテーラーに勤める三崎雄一（佐伯大地）が亡くなった。二人は自宅ベッドの上で並んで横になり死んでいるのを発見された。男性二人が心中したとスキャンダラスに取り上げられるのを避けるため、事件の詳細は世間には伏せられている。
現場に残されていたライオンの写真。死んだライオンの写真の裏には、暗号のようなメッセージが書かれていた。
獅子雄は、サットンビジネススクールについての情報を知るため、柴田の葬儀に来ていた兄・万亀雄（高橋克典）に接触する。今回初めて登場した万亀雄は、原作のマイクロフト・ホームズにあたる人物だ。万亀雄は獅子雄に忠告する。
万亀雄「あくまで聞くだけ。決して近づかないと誓えるか？ もし約束を破ったら、探偵ごっこはやめてまともな仕事に就いてもらう。今度こそだ！」
万亀雄は獅子雄の頭の良さを認めている。獅子雄の性格から、この約束が守られないこともわかっていた。「知りたい」という欲望の前には自分を抑えられない獅子雄を利用し、不審な金の流れがあるサットンビジネススクールと亜蘭を崩壊させることが目的だった。
小暮「係長って結構残酷ですよね。結局は獅子雄を利用するんだから」
江藤（佐々木蔵之介）の部下・小暮クミコ（山田真歩）が、亜蘭と直接対決に向かった獅子雄を心配する。江藤は仕事で成果を上げ賞を取ることを目的に、獅子雄の「知りたい」欲望を利用している。
これまでも、江藤は獅子雄を利用しているんだなあとわかる描写はあった。それは、一番近くで江藤を見ている小暮に「残酷」とまで言わせるほどのものなのだと、今回はっきりと示された。獅子雄の欲望はある意味純粋だ。その純粋さを、万亀雄と江藤は自分の利益のために使っている。
さらに、亜蘭と守谷も獅子雄を利用した。第6話で、獅子雄は女性が殺人の告白をするビデオを見ている。その女性・S.Aに殺しをさせたのは守谷だった。そして、獅子雄はS.Aが亜蘭世津子であることに気づいていた。獅子雄をおびき寄せるために、亜蘭は死んだライオンの写真を用意した。
柴田・三崎の事件の真相は暴かれるが、亜蘭は20年前の殺人についても守谷についても語らないまま自殺してしまう。
亜蘭「ほら、毒は入っていない」
獅子雄「なぜ死ぬんだ」
亜蘭「クレタ人は、嘘つきよ……」
獅子雄「まだ何も解明されてない。守谷……」
獅子雄の「なぜ死ぬんだ」という呻きのような問いは、なぜ彼女たちは自死の選択をいとわないほど守谷に惹かれるのか、という謎を含んでいる。
今回、若宮は獅子雄と亜蘭の対決現場に立ち会わなかった。「役に立つときもあれば、邪魔になるときもある」と置いていかれた。邪険にしたようだが、獅子雄は今回の対決が命のやり取りになるとわかっていて、若宮を巻き込まなかったようにも見える。
家でお留守番になってしまった若宮を万亀雄が訪ねてきた。
若宮「殺人犯を捕まえに行っています」
万亀雄「そりゃあ、穏やかじゃないなあ」
若宮「いつもですよ。危なっかしいことばっかりするけど、でも結局ここに帰ってきます」
実際、獅子雄は亜蘭と守谷に殺されることなく、若宮の待つ家に帰ってきた。前回は、冷蔵庫にあったプリンを食べた食べないで大騒ぎしていた若宮。でも、今回は自分でカラメルまで作ったプリンを勝手に食べられても、どこかほっとしたような、優しい顔をしている。獅子雄に食べてもらうために作ったのかと思うほどだ。
若宮「別にあんたがどうなろうと悲しくもなんともないよ。ないけど、わざわざ危ないことをするなんて馬鹿だな。
最初は互いの荷物を窓から投げ落とすほど嫌がっていた同居も、いつの間にか「結局ここに帰ってきます」と信頼するくらい当たり前になっている。プリンを勝手に食べる獅子雄を理解し、獅子雄に「行け」と言われたら行き、「待て」と言われたら待つ。獅子雄にとって若宮は、利益のために自分を利用しない、ただそばにいる人物になった。
守谷、江藤、万亀雄に対する若宮という存在が確立されたところで、本作はクライマックスに向かっていく。第9話は「密室殺人レストラン」。今作で最多となる11人のゲスト俳優が登場する。最終話まで残り少ない。守谷の姿は出るのか出ないのかを含め、まだまだ見どころは尽きない。
（むらたえりか）
＝配信サイト＝
FOD：https://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4l20/
TVer：https://tver.jp/corner/f0040635
＝作品情報＝
『シャーロック：アントールドストーリーズ』（フジテレビ系）
10月7日（月）スタート 毎週月曜21:00〜21:54
出演：ディーン・フジオカ、岩田剛典、山田真歩、ゆうたろう、佐々木蔵之介ほか
原作：アーサー・コナン・ドイル『シャーロック・ホームズ』シリーズ
脚本：井上由美子
プロデュース：太田大
音楽：菅野祐悟
オープニングテーマ：DEAN FUJIOKA「Searching For The Ghost」（A-Sketch）
主題歌：DEAN FUJIOKA「Shelly」（A-Sketch）
演出：西谷弘、野田悠介、永山耕三
制作著作：フジテレビ
公式サイト：https://www.fujitv.co.jp/sherlock/
獅子雄「焦げた砂糖だ」
若宮「誰のせいだよ！」
江藤「焦がし終わったら話聞いてくれる？」
若宮「もう焦げてんだって！」
11月25日（月）放送のドラマ『シャーロック』（フジテレビ系）第8話。
第7話で獅子雄（ディーン・フジオカ）に市販のプリンを食べられたと怒っていた若宮（岩田剛典）が、今度はプリンを自分で作っている。
今回、謎解きのクライマックスに若宮は参加しなかった。若宮お留守番回だ。その分、プリンが若宮の変化を伝えていた。
イラスト／まつもとりえこ
利用される獅子雄の純粋さ
新宿、渋谷、後楽園、豊洲、江戸川など、東京の街で謎を解いてきた獅子雄。今回の事件に関連するのは永田町。日本の政治経済の中心地だ。その舞台設定だけで、いよいよストーリーも核心に迫るのだろうと予想できる。やはり、今回は「守谷」に関わる回だった。
経産省勤務の職員・柴田雅樹（久保田悠来）と永田町のテーラーに勤める三崎雄一（佐伯大地）が亡くなった。二人は自宅ベッドの上で並んで横になり死んでいるのを発見された。男性二人が心中したとスキャンダラスに取り上げられるのを避けるため、事件の詳細は世間には伏せられている。
現場に残されていたライオンの写真。死んだライオンの写真の裏には、暗号のようなメッセージが書かれていた。
獅子雄と若宮はその暗号を「ヴィジュネル方陣」を引用して解き、亜蘭世津子（長谷川京子）が校長を勤める「サットンビジネススクール」に辿りつく。
獅子雄は、サットンビジネススクールについての情報を知るため、柴田の葬儀に来ていた兄・万亀雄（高橋克典）に接触する。今回初めて登場した万亀雄は、原作のマイクロフト・ホームズにあたる人物だ。万亀雄は獅子雄に忠告する。
万亀雄「あくまで聞くだけ。決して近づかないと誓えるか？ もし約束を破ったら、探偵ごっこはやめてまともな仕事に就いてもらう。今度こそだ！」
万亀雄は獅子雄の頭の良さを認めている。獅子雄の性格から、この約束が守られないこともわかっていた。「知りたい」という欲望の前には自分を抑えられない獅子雄を利用し、不審な金の流れがあるサットンビジネススクールと亜蘭を崩壊させることが目的だった。
小暮「係長って結構残酷ですよね。結局は獅子雄を利用するんだから」
江藤（佐々木蔵之介）の部下・小暮クミコ（山田真歩）が、亜蘭と直接対決に向かった獅子雄を心配する。江藤は仕事で成果を上げ賞を取ることを目的に、獅子雄の「知りたい」欲望を利用している。
これまでも、江藤は獅子雄を利用しているんだなあとわかる描写はあった。それは、一番近くで江藤を見ている小暮に「残酷」とまで言わせるほどのものなのだと、今回はっきりと示された。獅子雄の欲望はある意味純粋だ。その純粋さを、万亀雄と江藤は自分の利益のために使っている。
さらに、亜蘭と守谷も獅子雄を利用した。第6話で、獅子雄は女性が殺人の告白をするビデオを見ている。その女性・S.Aに殺しをさせたのは守谷だった。そして、獅子雄はS.Aが亜蘭世津子であることに気づいていた。獅子雄をおびき寄せるために、亜蘭は死んだライオンの写真を用意した。
柴田・三崎の事件の真相は暴かれるが、亜蘭は20年前の殺人についても守谷についても語らないまま自殺してしまう。
亜蘭「ほら、毒は入っていない」
獅子雄「なぜ死ぬんだ」
亜蘭「クレタ人は、嘘つきよ……」
獅子雄「まだ何も解明されてない。守谷……」
獅子雄の「なぜ死ぬんだ」という呻きのような問いは、なぜ彼女たちは自死の選択をいとわないほど守谷に惹かれるのか、という謎を含んでいる。
若宮の存在意義が確立。そして最終章へ
今回、若宮は獅子雄と亜蘭の対決現場に立ち会わなかった。「役に立つときもあれば、邪魔になるときもある」と置いていかれた。邪険にしたようだが、獅子雄は今回の対決が命のやり取りになるとわかっていて、若宮を巻き込まなかったようにも見える。
家でお留守番になってしまった若宮を万亀雄が訪ねてきた。
若宮「殺人犯を捕まえに行っています」
万亀雄「そりゃあ、穏やかじゃないなあ」
若宮「いつもですよ。危なっかしいことばっかりするけど、でも結局ここに帰ってきます」
実際、獅子雄は亜蘭と守谷に殺されることなく、若宮の待つ家に帰ってきた。前回は、冷蔵庫にあったプリンを食べた食べないで大騒ぎしていた若宮。でも、今回は自分でカラメルまで作ったプリンを勝手に食べられても、どこかほっとしたような、優しい顔をしている。獅子雄に食べてもらうために作ったのかと思うほどだ。
若宮「別にあんたがどうなろうと悲しくもなんともないよ。ないけど、わざわざ危ないことをするなんて馬鹿だな。
警察に任せろよ」
最初は互いの荷物を窓から投げ落とすほど嫌がっていた同居も、いつの間にか「結局ここに帰ってきます」と信頼するくらい当たり前になっている。プリンを勝手に食べる獅子雄を理解し、獅子雄に「行け」と言われたら行き、「待て」と言われたら待つ。獅子雄にとって若宮は、利益のために自分を利用しない、ただそばにいる人物になった。
守谷、江藤、万亀雄に対する若宮という存在が確立されたところで、本作はクライマックスに向かっていく。第9話は「密室殺人レストラン」。今作で最多となる11人のゲスト俳優が登場する。最終話まで残り少ない。守谷の姿は出るのか出ないのかを含め、まだまだ見どころは尽きない。
（むらたえりか）
＝配信サイト＝
FOD：https://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4l20/
TVer：https://tver.jp/corner/f0040635
＝作品情報＝
『シャーロック：アントールドストーリーズ』（フジテレビ系）
10月7日（月）スタート 毎週月曜21:00〜21:54
出演：ディーン・フジオカ、岩田剛典、山田真歩、ゆうたろう、佐々木蔵之介ほか
原作：アーサー・コナン・ドイル『シャーロック・ホームズ』シリーズ
脚本：井上由美子
プロデュース：太田大
音楽：菅野祐悟
オープニングテーマ：DEAN FUJIOKA「Searching For The Ghost」（A-Sketch）
主題歌：DEAN FUJIOKA「Shelly」（A-Sketch）
演出：西谷弘、野田悠介、永山耕三
制作著作：フジテレビ
公式サイト：https://www.fujitv.co.jp/sherlock/
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