12月6日(金)から公開の映画『午前0時、キスしに来てよ』片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、と橋本環奈のダブル主演で、国民的スーパースターと普通の女子高校生の恋を描いたラブストーリーだ。

片寄涼太×橋本環奈「午前0時、キスしに来てよ」高木由佳Pが挑んだ女の子のための王道ラブストーリー
12月6日(金)全国公開『午前0時、キスしに来てよ』(c)2019映画『午前0時、キスしに来てよ』製作委員会/松竹

日奈々(橋本環奈)は、誰もが認める優等生の女の子。恋愛にもイケメンにも興味がないふりをしているが、本当はおとぎ話のような王子様との恋に憧れている。そんな日奈々の前に、国民的スーパースターの綾瀬楓(片寄涼太)が現れる。絶対にバレてはいけない秘密の恋。幼なじみの(眞栄田郷敦)や、楓の元カノ・(八木アリサ)たちを巻き込みながら、日奈々と楓はどんどん惹かれあっていく。

王道ラブストーリーでありながら、今までになかった恋愛映画『午前0時、キスしに来てよ』でプロデューサーを務めた高木由佳さんに、制作秘話をうかがった。

女性プロデューサーが作った王道ラブストーリー


片寄涼太×橋本環奈「午前0時、キスしに来てよ」高木由佳Pが挑んだ女の子のための王道ラブストーリー
『午前0時、キスしに来てよ』 高木由佳プロデューサー

───高木プロデューサーは、これまで映画『翔んで埼玉』や『コンフィデンスマンJP』でアソシエイト・プロデューサーを務めていましたよね。

高木由佳プロデューサー(以下、高木P) はい。今回が「プロデューサー」デビューです!

───おめでとうございます!

高木P ありがとうございます(笑)!

───以前からずっと「王道のシンデレラストーリーを作りたい」という強い意志を思っていたとうかがいました。

高木P 元々ラブコメ映画が好きで。『ノッティングヒルの恋人』や『ラブ・アクチュアリー』、最近だと『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』とか。でも、映画業界ではプロデューサーが男性ということも多く、そのせいか「しがない書店員や新聞記者の男性が、女優やプリンセスという高嶺の花と恋に落ちる」という設定が多いんです。

───確かに!

高木P 最近、私のような「女性のプロデューサー」も増えてきた中で、私としては逆の王道作品を作りたい! と。
女の子ならみんな、自分にとっての王子様みたいな人と恋愛したい気持ちがあるじゃないですか。それを映画化したいと思っていました。ただ、原作なしのオリジナル映画を作るとなると、ハードルが高くて……。

───原作がないと企画が通りづらいということでしょうか。

高木P 具体的に言ってしまうとそうですね。『翔んで埼玉』の武内英樹監督が、2018年に『今夜、ロマンス劇場で』という王道ラブストーリーのオリジナル作品を撮りました。武内監督とプロデューサーの稲葉直人さんは、『テルマエ・ロマエ』という大ヒット映画を作ったコンビ。そんな強い監督、強いプロデューサーのタッグに、主演の綾瀬はるかさんという強いキャストがあって実現したものです。私レベルではまだまだオリジナル作品は作れない。だから、絶対に良い原作に出会わなければダメだと思っていました。
片寄涼太×橋本環奈「午前0時、キスしに来てよ」高木由佳Pが挑んだ女の子のための王道ラブストーリー
12月6日(金)全国公開『午前0時、キスしに来てよ』(c)2019映画『午前0時、キスしに来てよ』製作委員会/松竹

───『0(ゼロ)キス』の原作漫画には、どうやって出会ったのですか。

高木P 連載を読んでいて、私がやりたいことそのものでしたし、本当に女性に夢を与えてくれる原作だなあと思ったので、どうしても私が実写映画にしたいと思いました。
「映画化させてほしい」と出版社さんに問い合わせたときに、他にも多くのお問い合わせが来ていた中で、私だけが発行部数を聞かなかったそうなんです。それくらい、発行部数よりも「この作品をやりたい!」という気持ちが強かった。

───その思いが、原作者のみきもと凜先生にも届いたんですね。

高木P 私自身のやりたいことと、みきもと先生が表現していることがすごくリンクしていると思ったので。こうして一緒に作品を作らせていただいて、とても嬉しいです。

どんな映画も全力でヒットに導いてきた経験


片寄涼太×橋本環奈「午前0時、キスしに来てよ」高木由佳Pが挑んだ女の子のための王道ラブストーリー
『午前0時、キスしに来てよ』 高木由佳プロデューサー

───高木プロデューサーは、これまでアソシエイト・プロデューサーなどとして経験を積んできていますが、「プロデューサー」と「アソシエイト・プロデューサー」の仕事内容はどのように違いますか。

高木P プロデューサーは、自分で企画を作って予算を立てて、キャスティングも判断して、すべてに責任を持つ役割です。アソシエイト・プロデューサーとアシスタント・プロデューサーの仕事はほとんど変わらないと思うのですが、基本的にはプロデューサーのお手伝い。キャスティングや脚本のアイデア出しなどには参加するものの、やっぱり責任感が全然違います。私の場合、『翔んで埼玉』のときは契約書を作ることや、事務所への電話などもしていました。

───事務作業的な。

高木P はい(笑)。あとは、私はSNSが得意だったので、SNS周りを任せてもらって。
アソシエイト、アシスタント・プロデューサーは好きなことを自由に言えたけれど、プロデューサーはすべてを背負っているから自分勝手には振る舞えませんよね。ただ、作品愛も人一倍持っているのがプロデューサーです。作品を一から育ててきて、劇場に送って、お客さんに届けて……。プロデューサーにとって、作品はこどものような存在だと思います。

───アソシエイト・プロデューサーからプロデューサーになって、『0キス』の企画を立ち上げるまでには、どんないきさつがあったのでしょうか。

高木P 『翔んで埼玉』も『コンフィデンスマンJP』もそうですが、企画は先輩たちの企画でも、それをアソシエイト・プロデューサーとして一つ一つ確実に世の中に広げる、つまりヒットさせるということをやってきました。それが認められて、プロデューサーとして独り立ちさせてもらったのだと思います。

───お会いしてみて、想像以上にお若いプロデューサーで驚きました。

高木P 私、3年前に映画制作部に入ったんですよ。なので、かなり早い段階でプロデューサーをさせてもらえています。これまで、本打ち(脚本の打ち合わせ)でアイデアを出してきたり、SNSなどでの宣伝に力を入れたり、ヒットが難しいと言われる作品にも全力で向き合ってきたから、チャンスをもらえたのかもしれません。

『翔んで埼玉』、『コンフィデンスマンJP』の他にも、『ひるなかの流星』や『ミックス。
』、『コード・ブルー』など色々な作品に関わらせてもらいました。だからこそ、色んなプロデューサーさんの仕事の仕方も見られたし、色んな作品の裏側も知ることができた。配給会社さんも、東宝さんも東映さんも、今回は松竹さんと、さまざま関わらせていただいています。一辺倒にならない作品の作り方や宣伝の方法があって、だからこそ、それを自分の中で構築できたこのタイミングで『0キス』を作ることができたと思っています。

片寄涼太&橋本環奈は兄妹漫才コンビ


片寄涼太×橋本環奈「午前0時、キスしに来てよ」高木由佳Pが挑んだ女の子のための王道ラブストーリー
12月6日(金)全国公開『午前0時、キスしに来てよ』(c)2019映画『午前0時、キスしに来てよ』製作委員会/松竹

───キャスティングについてうかがいます。今回、主演の片寄涼太さんにはどんなことを期待して選ばれましたか。

高木P 過去に私が関わった映画『ひるなかの流星』に、片寄さんと同じGENERATIONS from EXILE TRIBEに所属している白濱亜嵐さんが出演しています。GENERATIONSには、「メンバー出演作品の試写をみんなで見に行く」という習慣があるみたいなんですよ。

───えっ! 仲良し!

高木P なので、『ひるなか』のときも全員で見に来てくれて。仕事ではないので、みんなジャージとか比較的ラフな服装で来るじゃないですか。そんな中、片寄さんだけは一人トレンチコートを着てきたんです。

───なんかイメージできます……!

高木P それを見て、良い意味で地面から3mmくらい浮いている人だなあと思って。それって、スーパースターだなというか。
その頃、私はすでに『0キス』をやりたいと思っていたので「楓って、片寄さんじゃん!」と思ったんですよね。

オファーをして実際にお会いしたときに『ひるなか』の試写のときのエピソードを話したら、「あのとき、気合い入れて行ったんだよね。一張羅のコートで行ったから」と言っていました(笑)。そういうところも本当にキュートで。どんな場でも気を抜かないって、自分がどう見えているかをすごく気にして理解しているからできることですよね。セルフプロデュースができていて、こういう方がスターになるんだと確信しました。
片寄涼太×橋本環奈「午前0時、キスしに来てよ」高木由佳Pが挑んだ女の子のための王道ラブストーリー
『午前0時、キスしに来てよ』 高木由佳プロデューサー

───畳み掛けるように胸キュンなシーンがある『0キス』ですが、撮影中、片寄さんや橋本環奈さんはどんな雰囲気でしたか。

高木P 片寄さんは、関西弁で環奈ちゃんにめちゃくちゃ突っ込みます(笑)。ロケバスとかで、急に二人で夫婦漫才というか、兄妹漫才をやり始めるんですよ。芸人のミキさんみたいな。

───ミキ!(笑)

高木P 環奈ちゃんが「あんこが好き」と言っていたのですが、片寄さんが「いつもタッパーにあんこ入れて持ち歩いてるもんね」とちょっかいを出し、そうすると環奈ちゃんも「どんだけあんこ好きよ!」とか言いながらも「そうそうそう。現場であんこ1日10杯はいきまーす」って乗っかる。
そういうのを二人で始めて、見ていて「どう落とすんだろうこれ?」と笑ってばかりでした。

───楽しそう過ぎる撮影現場ですね。

高木P 二人とも笑いに貪欲だから、ずーっともう、いかに相手を笑わせるか、そしてこの場を盛り上げるかの戦い。ロケバスで、環奈ちゃんがわざわざ立ち上がって私に「ねえ、高木プロ! またやってるよ、寄(よせ)さんがー!」と報告して来る。でも、環奈ちゃんの方も関西弁で片寄さんをいじるんですよ。関西弁のイントネーションで「マジで?」ってずっと言ってて。片寄さんが「関西弁を馬鹿にするな!うまいけど……!」と言うと、環奈ちゃんが「うまいんかーい!」などと言いながら、二人でずっとふざけ合っていました。微笑ましいやら可笑しいやら(笑)。

誰かの人生の1ページ、1行になる映画を作る


片寄涼太×橋本環奈「午前0時、キスしに来てよ」高木由佳Pが挑んだ女の子のための王道ラブストーリー
12月6日(金)全国公開『午前0時、キスしに来てよ』(c)2019映画『午前0時、キスしに来てよ』製作委員会/松竹

───11月におこなわれた女子高校生限定の試写会に、高木プロデューサーも登壇なさったそうですね。『0キス』を見た高校生たちと話して、いかがでしたか。

高木P とっても可愛かったです!「スーパースターと付き合うならどんなシチュエーションがいいですか?」という私への質問があったんですが、実際にそういう交際をしていた知り合いのリアル話をしました(笑)。

───リアル話! 夢がある……。

高木P そういうことって本当にあるんだな、って落とし込んでもらったら、もっと自分に引きつけて作品を見てもらえるかと思って。

───3年前から構想してきた『0キス』が絶賛公開中です。気が早いかもしれませんが、高木プロデューサーが次に作りたいと思っている作品はどんなものですか。

高木P 私は『ノッティングヒルの恋人』などのラブストーリーを見て、色んなことを学んできました。「恋愛ってとっても良いものだな」とか「恋するってすごく成長できる」、「相手のことを思うって、どういうことなのか。そのために自分が努力するってこういうことなのかな」とか。『0キス』や、これから作る作品も、誰かの心に残ったりとか、誰かの人生の1ページ、いや、1行くらいになれたりするようなものにしたいと考えています。

「恋したいな」とポジティブな感想も嬉しいですが、映画を見た後にディスられてもいいと思うんです。劇場を出た後に「なんかあのときの『鼻かじキス』とかやられたら絶対くさいよね!」とか「イケメンじゃなかったら無理じゃない?」とか(笑)、そういう笑い話なんかもしてもらえるような作品でありたいなとは思います。

───最後に、『0キス』をどんな風に見てもらいたいか教えてください。

高木P 女の子ってみんな、雲の上の存在のメンズとか王子様みたいな人と恋できたら良いなと思っているじゃないですか。いま恋に悩んでいる子たちとか、これから恋したいなと思っている子たちが、片寄さんや憧れの誰かに当てはめてこの作品を見てくれたらいいなと。そして、恋する気持ちを高めてもらえると私としては嬉しいです。ちゃんと届いたんだなと思えます。

今まで見たことのある「先生と生徒」や「同級生同士」などの恋愛とはまた一線を画しているものを作りたくて。設定は夢みたいですが、成長も友情もあるし、きちんと悩んだ上での「付き合う」という選択肢やプロポーズが含まれた、しっかりと大人の方でも楽しんで頂けるラブストーリーになっています。それから、私が海外のラブコメが好きなので、音楽もこだわって洋楽の雰囲気を感じてもらえるようにしました。

「どうせ、キラキラものでしょ」と思わず、変なレッテルをなくして「ラブストーリー」として見てもらえたら嬉しいです。

(取材・構成:むらたえりか)
片寄涼太×橋本環奈「午前0時、キスしに来てよ」高木由佳Pが挑んだ女の子のための王道ラブストーリー
『午前0時、キスしに来てよ』 高木由佳プロデューサー

■高木由佳
フジテレビジョン編成制作局映画制作部所属。映画『午前0時、キスしに来てよ』(2019)でプロデューサーデビュー。アソシエイト・プロデューサーとして『翔んで埼玉』、『コンフィデンスマンJP』(ともに2018)などのヒット作に携わる。

※本文中の高木由佳プロデューサーの「高」は、正式には「はしごだか」。

■タイトル:『午前0時、キスしに来てよ』
■原  作:みきもと凜『午前0時、キスしに来てよ』(講談社「別冊フレンド」連載)
■出  演:片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、橋本環奈、眞栄田郷敦、八木アリサ、岡崎紗絵、鈴木勝大、酒井若菜、遠藤憲一
■監  督:新城毅彦
■脚  本:大北はるか
■音  楽:林イグネル小百合
■主題歌 :「One in a Million─奇跡の夜に─」GENERATIONS from EXILE TRIBE
■配  給:松竹
■クレジット:(C)2019映画『午前0時、キスしに来てよ』製作委員会

公式サイト:0kiss.jp
公式Twitter: @0kiss_movie
公式Instagram:@0kiss_movie

綾瀬楓 Instagram:@kaede_ayase_official
Funny bone Instagram:@funnybone_official

【STORY】
優等生の日奈々(橋本環奈)は誰もがみとめる超・マジメ人間。でも、ほんとはおとぎ話のような王子様との恋にあこがれる夢見がちな女子高生だった…。そんなある日、国民的スーパースター・綾瀬楓(片寄涼太)が、映画の撮影で学校にやってきた!運命の出会いをするふたり。ま、まさか、これはおとぎ話のはじまりっ?!楓の気取らない性格とやさしさにふれ、どんどん楓のことが好きになっていく日奈々。絶対バレてはいけないスーパースターとJKのヒミツの恋の行方は?最高にファンタジックで、ロマンティックなリアル・シンデレラLOVEストーリーの誕生です。
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