川田レン(清野菜名)の正体は、死んだと思われた双子の姉・川田リコだったことが発覚。
前話のレビューで僕は「入れ替わりはない」と断言してしまった。思ったよりも早く否定されてちょっと恥ずかしい。なので、おっ立ててしまった仮説「レンの中にリコがいる」は、「リコの中にレンがいる」に訂正したい。
また、「リコは非行に走って手に負えなかった」という事実が発覚したため、「ミスパンダは、催眠によって前に出てきたリコ」説は、さらに推して行きたい。リコがやんちゃな少女だったとしたら、あの運動神経もテレビ的演出込みでギリギリ頷けるからだ。まぁ、考察の過程が違ってるので例え当たっていたとしてもドヤれないわけだけども。
懲りずに考察は後半で。

いったんストーリーは置いておいて横浜流星
楓(吉田美月喜)が通う中学校で、イジメを苦に自殺しようとした生徒が人質を取って屋内プールに立てこもる事件が発生。生徒はイジメの真実にシロクロ付けるため、ミスパンダを呼ぶよう要求した。
しかし、ミスターノーコンプライアンス(佐藤二朗)は、直輝(横浜流星)にミスパンダの召喚を許さなかった。直輝は、小さなパンダの人形を遠隔操作し、声を変えてミスパンダとして生徒に語りかけ始めた。
空手を主とした迫力あるアクションで毎話注目を浴びている直輝だが、今回はちょっとコミカルかつスタイリッシュな動きをで魅せてくれた。
スーツにメガネ、少女漫画のイケメンキャラそのまんまみたいな直輝は、学校の警備員たちをかわしながら、ミスパンダのマネをする。
「あんたたちのグレーにシロクロなんて人形で十分」
「騒げば何でも言うこと聞くと思わないでくれる? ばーか」
女性っぽい言葉使いで生徒の相手をしながら、階段の柱の影に入ってやりすごしたり、手洗い場の壁を乗り越えて上から眺めたりと、警備員たちの死角に入って楽しむように逃走する。志村けんがまんまコントでやりそうなコミカルなムーブを、横浜流星は少女漫画の世界観で仕上げる。
スーツにアクション、イケメンに女性っぽい言葉使い、迫力ある立ち回りに丁寧な語り口調、焦る警備員と優雅な振る舞い……1つのシーンにギャップというギャップが詰めこまれている。「いったんストーリーは置いておいて、横浜流星を使って全国の女性をキュンとさせよう!」そんな意志が見えるこのワンシーンは、清々しいくらいにわかりやすくて、男が見ても楽しい。
囲碁の才能の不思議
レンはリコだった。とんでもなく大きな種明かしが4話にしてあったわけだが、気になる部分がないわけではない。
1つは、リコの囲碁の実力だ。麻衣子はレンの囲碁の才能を見抜いて溺愛したはずなのに、レンと入れ替わったリコが、負けているとはいえプロの棋士として一端に戦っていることがどうにも不自然だ。囲碁棋士なんて、才能があることを前提に持てる時間の全てを費やして、それでもプロに届かない。そんな世界のはず。
それを非行に走っていた少女が、急に天才囲碁棋士の代わりになるなんてちょっと非現実的。
火事の前から門田はレンとリコを混ぜる計画を?
麻衣子が事件の前から門田の元へ通っていた過去も気になる。リコの非行について相談とは言っていたが、子育て支援センターなどではなく、精神科を選んでいるところがだいぶ怪しい。そもそもあの年齢で非行というのもピンとこない。
リコのためではないとしたら、自分のためだろうか? 子供を檻に入れて育てるような親が、自分が異常だと自覚するのも変。そうなると、溺愛するレンのためだろうか?
麻衣子は囲碁の才能があるレンを溺愛したが、ネガティブな性格を気にしていた。そこで、別人格を脳に入れ込む研究をしている門田の噂を聞きつけ、双子でシンクロ率(適した言葉なのかは全くわからない)が高く、ポジティブなリコの人格を、レンに入れ込む相談をしていたのではないだろうか?
そんな折、火事が起きてしまい、2人の計画の全てが破綻。麻衣子は、仕方なく生き残ったリコをレンと思い込むフリをして、リコもそれに乗っかるような形でレンになった。
コアラ男の正体、ミスターノーコンプライアンスの思惑と息子の一郎、直樹の父・哲也(田中圭)の死、火事の原因など、まだ明かされていない謎たち。それに加えて、不自然なほど触れられないレンとリコの父親や、直輝の母親なども気になる。
いよいよ今夜は、連ドラにおいて初回並みに大切と言われている中盤の山場5話だ。
(さわだ)
■「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」
出演:清野菜名、横浜流星、要潤、白石聖、山崎樹範、山口紗弥加、佐藤二朗
脚本:佐藤友治、蛭田直美ほか
演出:遠藤光貴、松永洋一、汐口武史
制作著作:読売テレビ
主題歌:Billie Eilish「bad guy」
白でも黒でもない世界で、パンダは笑う。