「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」第7話が2月17日に放送された。

ひょうひょうとしたキャラクターでありながら、妻と子供を自宅で殺された暗い過去を持つ井沢(沢村一樹)。
精神鑑定でも正常と診断されないなど、本来の姿が少しずつ描かれ始めた。第7話冒頭の家族を思い出す井沢は、主人公とは思えない異常な顔をしていた。

本作に登場するミハンシステムとは、あらゆるビッグデータから未然に犯罪を犯しそうな人物を特定するシステム。警察の秘密組織である「未然犯罪捜査班」(通称・ミハン)はこれをもとに事件を未然に防ごうと奮闘する。

怪しさと色気の佐藤江梨子


今回ミハンシステムが弾き出した人物は、大手フィットネスクラブの社長・仁科紗耶香(佐藤江梨子)。自身のフィットネスクラブで汗は流すクセに、これ見よがしにタバコを吸うし、赤いコートを着ちゃったり。体のラインが出るスカート姿には、ミハンのハッカー・加賀美(柄本明)も「色気がだだ漏れ」と反応している。


そんな紗耶香は、5年前に起きた強盗殺人事件で当時フィットネスクラブの社長だった夫を亡くし、自分も刺されている。完全なる悪女の雰囲気は持つものの、悲しい未亡人というキャラも背負っていて、初めは「この人は悪い人なの?」という体で描かれていた。

だが、「元夫の婚約者が死んでいた」「理由は食物アレルギーだった」「5年前の事件の飛沫血痕の謎」など、次第に紗耶香の引っかかる部分が、色気と同様に漏れだしてくる。
「絶対零度」7話。前シリーズでやったことを全てひっくり返す驚愕回、佐藤江梨子の凄いお色気悪女を堪能
イラスト/たけだあや

佐藤江梨子の魅力でゴリ押す第7話


怪しさ満点の悲劇の未亡人・紗耶香は、最後まで怪しい雰囲気を醸し出し続け、やっぱりちゃんと犯人だった。"誰をどう殺そうとしたのか?"という部分は驚きポイントではあったが、そこもまぁ一発のどんでん返しってよりは、徐々に判明していく流れだったのでインパクトは少ない。

犯人やトリックについて、製作陣も裏をかくつもりがあまりなかったのかもしれない。むしろ驚きポイントは、紗耶香の「そこまで悪いことしてたのかよ」って部分だ。


社長夫人になるために妊娠したと嘘をつき、結婚した後は、社長になるためにとんでもない芝居を打っていた。ミハンが探知した"次に起こす事件"についても用意は周到で、証拠は残さなさい。

結果、紗耶香は証拠を残さず死んでほしい人物をしっかりと死なせることに成功。ミハンチームも被害者の死の瞬間を目の当たりにしながら、法的に手を加えることができなかった。

前シリーズのパターン、必殺仕事人は誰だ?


犯人の完勝に思われた第7話だったが、ラストに紗耶香は、何者かに頭を打たれて死んでしまう。この必殺仕事人のようなパターンは前シリーズでお馴染みとなっていたが、今シリーズでは初めてのこと。どうしても悪人をさばきたい過剰な正義を秘めた者による犯行と思われる。


前シリーズではミハンチームの田村(平田満)が仕置き人だったが、今回もミハンチームの誰かの可能性が大きい。順当に考えたらミハンを法制化したがっている法務省の香坂朱里(水野美紀)と北見俊哉(上杉柊平)あたりだろうか。加賀美、門田駿(粗品)、篠田浩輝(高杉真宙)あたりが絡んでくると面白そう。参考/前シリーズ各話レビュー

根底を否定、宇佐美の真実が大どんでん返しすぎる


一話完結の事件も十分に見応えはあったのだが、今話で最もインパクトがあったのは、宇佐美(奥野瑛太)の件だろう。

宇佐美は、井沢の妻子が殺された事件の犯人とされていた。これは、前シリーズ10話をかけてやっと明らかになったことだったのだが、なんと今シリーズの第7話にして、宇佐美が犯人ではなかったことが発覚する。
しかもそれを知った井沢も、「まぁそうだろうね……」みたいな感じ。

前シリーズの10話が無駄になるような大どんでん返し。よくよく考えると、井沢も事件の心の傷が全く癒されていないし、小田切(本田翼)も男性に襲われた過去を前シリーズからずっと引きずっている。なんと、前シリーズでは何一つ事件が解決していなかったのだ。ちゃんと完結した雰囲気が出ていたのが逆にすごい。

今シリーズも残すところ(たぶん)3話、今夜放送の8話で最終章に突入する。
捜査できていなかった3人の危険人物を追うという新しいパターンで、いろいろと真実が明らかになりそうな雰囲気だ。今シリーズこそはちゃんと完結することを願う。
(さわだ)

■「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」
出演:沢村一樹、横山裕、本田翼、森永悠希、高杉真宙、上杉柊平、マギー、粗品、水野美紀、柄本明
脚本:浜田秀哉
音楽:横山克
企画:稲葉直人
プロデュース:永井麗子、関本純一
演出:石川淳一、品田俊介、木村真人、小林義則
主題歌:家入レオ『未完成』