大野智 『鍵のかかった部屋』での好演などで見せる、誰にも代わることができない大野ワールド
イラスト/おうか

話題作『鍵のかかった部屋』では、わずかな頬の動きや視線から役の気持ちを巧みに表現


5月11日(月)よる9時から嵐・大野智主演のドラマ『鍵のかかった部屋』(フジテレビ系)特別編が放送される。5日に公開されたスペシャル予告動画は約95万回再生。8年ぶりに榎本径が帰ってくる。


2012年4月からの月9枠で放送されていた『鍵のかかった部屋』。大野は警備会社の研究員で、防犯マニアの榎本径役を演じた。眼鏡にYシャツ、Vネックセーターが定番のスタイル。寡黙で冷静沈着、いかにも“研究員”な風貌。事件そのものには興味を示さず、「密室はやぶれました」と密室でのトリックを紐解き、事件解決へと導く。表情をさほど変えないにもかかわらず、わずかな頬の動きや視線から榎本の気持ちを巧みに表現。
素人から見ても難しい役に思えた。大野は本作で、第16回ニッカンスポーツ・ドラマグランプリを受賞した。

これまでにも舞台、映画、ドラマと様々な作品に出演してきた大野だが、同賞の受賞は2008年の初主演ドラマ『魔王』(TBS系)に始まる。2010年『怪物くん』(日本テレビ系)、2014年『死神くん』(テレビ朝日系)と続き、2016年にはラブコメディー『世界一難しい恋』と、計4回受賞している。

復讐に燃える孤独な弁護士、前述の研究員など切れ者で陰のある謎めいた役、怪物くんなどの人間離れした役も多い。『世界一難しい恋』で演じたこじらせ社長も楽しかった。




役の個性が強ければ強いほど大野以外のキャスティングが思い浮かばない


『死神くん』を手がけたテレビ朝日の飯田爽プロデューサーは「以前からちょっと人間離れした空気を彼に感じていた」(QLAP!/2014年5月号)とインタビューで語っている。それも嵐のコンサート映像を観て、「優しいような冷たいような表情をしていた」と黒いスーツ姿、死神くんのイメージが重なったという。

人間離れした役で、さぞかし役作りが大変で撮影中も役に入り込んだまま……かと思いきや、気負った様子もなく超自然体。スタッフをゲームに誘うこともあったそうだ。

『世界一難しい恋』で共演した北村一輝は「(役と)大野君と大差ない」、小池栄子も「コメディ俳優としてのスキルが高すぎる!」と絶賛していたが、役の個性が強ければ強いほど大野以外のキャスティングが思い浮かばない。

お笑いのセンスもあれば、アート作品も手がける、稀有な芸術肌のアイドル


大野は、ジャニーズJr.時代に、舞台出演のために京都に3年ほど滞在するなど、Jr.としても珍しい経験の持ち主。東京に戻ったものの、進路について退所するか美術の学校に通うかを迷っていた頃にハワイに誘われ、そのまま嵐としてデビュー。
ステージでみせるダンススキルと歌唱力の高さは、たくさん語られてきた。大野に憧れてジャニーズ事務所入りしたHey!Say!JUMP 知念侑李がいるなど熱狂的なファンが多い。


アイドルとしてのパフォーマンスに加えて、かつて放送されていた音楽番組『うたばん』(TBS系)で、MCの石橋貴明、中居正広と繰り広げた下剋上コントは番組の名物になった。お笑いのセンスもあれば、絵や書などのアート作品を手がける、稀有な芸術肌のアイドルだ。

8年ぶりの『鍵のかかった部屋』。このところはバラエティ番組での活動が目立つように、大野のテレビドラマ放送は2016年以来。
特別編の放送は、大野の演技がみられる機会。誰にも代わることができない大野ワールドを堪能したい。
(文/柚月裕実、イラスト/おうか)


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