にじさんじ月ノ美兎 メジャーデビュー後の次なる目標は「ライブで客席にダイブしたいです(笑)」
人気バーチャルライバー(VTuber)グループ「にじさんじ」のメンバーの中で最初に大ブレイクし、礎を築いた月ノ美兎。“学級委員”とは思えない破天荒な活動スタイルと、可愛いらしい歌声のギャップも魅力

月ノ美兎、1stシングルを10月7日にリリース!

「にじさんじ」と、ソニー・ミュージックレーベルズ(SACRA MUSIC)が共同運営する「しのごのプロジェクト」から、10月7日(水)1stシングル『それゆけ!学級委員長』をリリースする、人気バーチャルライバー月ノ美兎

2018年2月に活動を始めて以来、多くのファンに驚きや笑いを提供し続け、歌動画や音楽ライブでは感動も供給しているVTuber界の“委員長”は、どのような思いとともにメジャーデビューを果たすのか。エキレビ!のロングインタビュー後編では、前編に続いて作詞作曲を担当したササキトモコへの思いや、レコーディングに関するエピソードなどを語ってもらった。


※インタビュー前編はこちら

配信では、誰が観ているとかは気にせず喋っている

──配信でも少し話されていたことですが。ササキトモコさんは制作過程で当然、月ノさんの配信などをチェックしたと思います。憧れの人に、自分の過去や現在の言動について調べられることに対しては、どのような気持ちでしたか?

月ノ 最初はすごい複雑な気持ちでした(笑)。でも、基本的に配信では、誰が観ているとかは気にせず喋っていて。例えば、前に配信で(アニメの)『メイドインアビス』のナナチの声マネをしたことがあるんですけれど。あれを原作者のつくしあきひと先生が観てらっしゃったんですよ。

──配信中にスパチャ(投げ銭)をしていましたね(笑)。

月ノ やる前から、たぶん観られるだろうなとは覚悟していたんです。つくしあきひと先生は、にじさんじの配信をよく観てくださっているので。でも、絶対にそんなことは気にせず、全力でナナチをやろうと思って、やりました(笑)。

──「絶対に日和らないぞ」という気持ちになるのですね。

月ノ そういうことはたまにあって。「次の配信ではこのゲームをやります」という告知をした後、そのゲームの開発者の方が「今日、委員長さんが実況してくれるの楽しみだな」みたいなことを呟いてくださったりしても、配信の時は、絶対にそのことは意識しないようにしているんです。
だから、ササキトモコさんが観てくれそうな内容の配信の時も、「下ネタは言わないようにしよう」とか自分にブレーキをかけたりはしませんでした。その代償として、「これを題材に詞を書いてもらうのは申し訳ない」って、ちょっと複雑な気持ちにはなったのですが(笑)。でも、後から伺ったのですが、実は配信はそんなに観ていなくて、こういったインタビュー記事を中心にチェックしたらしいんです。それを聞いて、ちょっと安心しました。

──月ノさんがササキさんのアイマス曲の歌詞の素晴らしさについて熱く綴っているnoteの投稿を読んでいたら面白いなと思っていました(笑)。

月ノ noteは読まれているかもしれません。ササキトモコさんの傾向からして、文章の媒体をよく見ている感じがするので。

『それゆけ!学級委員長』は高く可愛らしいイメージで歌った

──レコーディングでは、にじさんじのオリジナルアルバム『SMASH The PAINT!!』に収録された月ノさんのソロ曲『アンチグラビティ・ガール』の作曲・編曲を担当したTAKU INOUEさんが、スタジオでボーカルディレクションを担当し、ササキさんはZoomによるリモート参加だったそうですね。レコーディングで、特に意識したことや印象的だったことなどを教えてください。

にじさんじ月ノ美兎 メジャーデビュー後の次なる目標は「ライブで客席にダイブしたいです(笑)」
YouTubeのにじさんじ公式チャンネルでは、月ノ美兎のソロ曲『アンチグラビティ・ガール』のフルサイズMVも公開中。メジャーデビューシングルとはまた異なる「シンガー月ノ美兎」の魅力を楽しめる

月ノ 『それゆけ!学級委員長』は、「月ノ美兎」そのものを歌った歌ではあるんですけれど、自分としては「月ノ美兎」の普段のお喋りの声とはけっこう離して、高く可愛らしいイメージで歌ったつもりです。『アンチグラビティ・ガール』の時もそうだったのですが、TAKU INOUEさんは何度もリテイクするタイプの方ではないみたいで、収録は意外にスルッと終わった気がします。

──テンポ早めでリズムも独特ですし、簡単な曲ではないと思うのですが、レコーディングに向けては、かなり練習をしていったのですか?

月ノ もちろん自宅で練習はしました。でも、これは今回だけでなく、レコーディングの時にいつも感じることなのですが。
自宅で一人で練習する時と、スタジオで歌う時って、感覚が全然変わることが多くて。録音の環境も全然違うからか、練習のときの感覚は当てになるようで、あまりならない感じがしています。

──では現場で歌ってみて、ディレクションを受けながら微調整した形ですか?

月ノ はい。そういう感じでした。

──ササキさんからのディレクションも、TAKU INOUEさん経由で聞く感じだったのですか?

月ノ ササキトモコさんとのZoomはレコーディングの間、ずっと繋がっていたわけではなくて。最初にご挨拶をして、最後に録音し終えたものを聴いて、ジャッジをしていただく形だったので、ディレクションはすべてTAKU INOUEさんがしてくださった形です。それにササキトモコさんは、以前ブログで「レコーディングで何テイクも歌ってもらっても違いがあまりわからないし、ディレクションできる人は本当にすごい」みたいなことを書かれていたことがあったので(笑)。たぶん、レコーディングをずっと見ていただいていたとしても、そんなにリテイクを出されることはないだろうなとは思っていました。

カバーした『ありふれた毎日の歌』は以前からすごく好きな曲

──カップリングでは、ササキトモコさんのユニット「セラニポージ」『ありふれた毎日の歌』のカバーしています。この選曲は、どのような経緯で決まったのですか?

月ノ カップリングをカバー曲にしようというのは、たしかSACRA MUSICさんからの提案で、選曲は私からリクエストしました。

──原曲の『ありふれた毎日の歌』には、どのような印象を持っていましたか?

月ノ 私の勝手な想像なんですけれど。(一時的に)家から出られなくなっていた孤独な初老の女性が、今は出られるのに、言い訳を重ねて外に出ないみたいなイメージをしていました。でも、この曲って、ササキトモコさんがインドアな自分のことを歌った曲らしくて。
それを知って、初老と思ったことがちょっと申し訳なくなりました(笑)。あと、部屋にいる時にこの曲を流すと、部屋の片付けとかの行動が捗る感じがするんです。だから、けっこう家で流すことが多くて。以前からすごく好きな曲ですし、自分の声質とも合う気がしたので、カバー曲の候補の中に入れさせていただきました。

──原曲はピアノ曲ですが、このシングルでは、ゲームサウンド的なアレンジがされていますね。

月ノ 私、リミックスになるのを知らなかったので、オケをいただいた時にはびっくりしました。

──『ありふれた毎日の歌』に関しては、レコーディングの時、どのようなことを意識しましたか?

月ノ リミックスされたものは、途中から曲調がすごくゴージャスになるんです。基本、ウィスパー気味に歌っているので、その曲調の変化にどう合わせて歌うかについては、ちょっと考えたり、TAKU INOUEさんと話したりしました。

──ササキトモコさんが自分のために作ってくれたオリジナル曲を歌って、ササキトモコさんに聴いてもらうことと。ササキさんが歌っている大好きな曲を自分で歌って聴いてもらうこと。どちらの方がよりプレッシャーなどを感じましたか?

月ノ やっぱり、オリジナル曲の方ですね。カバーに関しては、もともと私とササキトモコさんは声質が違うし、曲もリミックスされていたので、自然と独自性みたいなものは出せるんじゃないかなって思っていたんです。
でも、『それゆけ!学級委員長』は、みんなが本家として聴く曲になるので、そっちの方が自分的にはプレッシャーがありました。

人生の中で大きな影響を受けた方々が集まってくださった作品

──「死ぬまでにやりたいこと」の一つだった「ササキトモコさんに『好き』と伝える」ことは、レコーディングがすべて終わった最後の最後に実行されたそうですね。レコーディングは仕事なので、仕事を終えてから、といった意識もあったのですか?

月ノ そうですね。ファンと仕事をしていると思われてしまうのは、あまり良くないというか、それによって対応が変わってしまう場合もあると思ったので。最初の挨拶では、前からファンでしたとかは言わず、なるべくフラットな感じでご挨拶しようと思っていました。まあ、無駄だったとは思うんですけれど(笑)。

──月ノさんがファンだということは、当然、知っていたでしょうね(笑)。

月ノ あと、最初にそれを言っちゃって、その空気を引きずりながらレコーディングするのも恥ずかしいので。言うなら、最後だろうなとは思っていました。

──過去の配信で、「いつかササキトモコさんに会えても、何も話せないと思う」といったことを仰っていましたが、リモートとはいえ初めて会って、上手く「好き」と伝えることはできたのですか?

にじさんじ月ノ美兎 メジャーデビュー後の次なる目標は「ライブで客席にダイブしたいです(笑)」
バーチャルライバーデビューから約2か月後、2018年3月29日に配信された「月ノ美兎の特注ゲーム&雑談会」の中ですでに、「人生でその方(ササキトモコ)に会うのがわりと目標」と語っていた

月ノ あまり、しっかりとお話はできず、「すごい好きです」という一言だけを伝えた感じなので、逆にそのことだけはちゃんと伝わったと思います(笑)。

──ササキさんは、どんな反応を?

月ノ 「ありがとうございます」という感じで、すごく嬉しそうにしていただけたので、自分としては満足です。

──レコーディング、ミックスなどを終えて完成した音源を聴いた時の感想、手応えなどを教えてください。

月ノ 『それゆけ!学級委員長』に関しては、最初はけっこう不安もあったんです。
歌うのも難しい曲ですし、オケもレコーディングの時には、まだ完全形ではなかったので、どうなるんだろうなって感じもあって。でも聴いてみたら、豪華さもすごく増していて、自分でもけっこういいなと思えました。『ありふれた毎日の歌』に関しては、自分の歌唱力がちょっと拙いところもあるかもしれないのですが……。ササキトモコさんが聴いて「GO」と言ってくださったのだから、「大丈夫なんだ!」と思っています。

にじさんじ月ノ美兎 メジャーデビュー後の次なる目標は「ライブで客席にダイブしたいです(笑)」
10月7日発売の『それゆけ!学級委員長』通常版/¥1,400(税抜)。ジャケットイラスト(同日発売の初回生産限定版と共通)を担当したのは、『FGO』の公式漫画などでも人気のベルナール・リヨ3世

──ジャケットイラストを担当しているベルナール・リヨ3世さんも、月ノさんが大好きなイラストレーターさんらしいですね。大好きなクリエイターさんたちと一緒に作った『それゆけ!学級委員長』というCDは、月ノさんにとって、どのような存在になりましたか? あるいはこの先、なっていくと思いますか?

月ノ たぶん、お葬式の時には棺桶の中に入れていただくと思います。

──死んだ後も持って行きたいくらいの作品なのですね。

月ノ 人生の中で大きな影響を受けた方々が集まってくださった作品なので。すごく思い出深い1枚になりました。

──では最後に、音楽活動に関して、今後やってみたいことを教えてください。

月ノ ライブで客席にダイブしたいですね(笑)。

──バーチャルとリアルの壁を破るようなチャレンジですね(笑)。


月ノ やってみたいです。何らかの方法で。
(丸本大輔)

CD情報

1st Single
『それゆけ!学級委員長』
発売日:2020年10月7日(水)

【初回生産限定盤】CD+グッズ
¥2,500(税抜)
【通常盤】CD
¥1,400(税抜)

[収録曲] ※初回生産限定盤・通常盤共通
1. それゆけ!学級委員長
作詞・作曲/ササキトモコ、編曲/ササキトモコ、蓑部雄崇
2. ありふれた毎日の歌 (セラニポージ カバー)
作詞・作曲/ササキトモコ、編曲/ササキトモコ、蓑部雄崇
3. それゆけ!学級委員長 -Instrumental-
4. ありふれた毎日の歌 -Instrumental-

販売店リンク集
https://mitotsukino.lnk.to/soreyuke_cd

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