
※本文にはネタバレがあります
平手友梨奈がキレのいい身体能力発揮『ドラゴン桜』第2話
経営破綻間際の龍海学園の立て直しに雇われた伝説の元暴走族の弁護士・桜木建二(阿部寛)の活躍を描く日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS / 日曜よる9時〜)。第2話はバドミントン部のエース楓(平手友梨奈)が東大を目指そうと考えるまでが描かれた。バドミントン大会場面では、平手友梨奈のキレのいい身体能力が発揮された。【前話レビュー】陰謀渦巻き波乱の予感 『半沢直樹』的な欺瞞・大逆転・演技合戦が行われるのか刮目せよ

桜木は楓が万引きを繰り返していることをつきとめ、スーパーから防犯カメラの映像まで入手していた。大事な大会の前、この事実が明るみになったら……と苛立つ楓。
桜木は奥田校長(山崎銀之丞)の問題行為も突き止めていた。第1回で徹底的に糾弾した不良生徒・岩井(西垣 匠)と小橋(西山 潤)は不登校になって、理事長・龍野(江口のりこ)は桜木を邪魔に思う。つまり、この龍海学園は生徒たち(教師も)に問題があっても見ないふりをしていたのだ。問題が明るみにならなければ、不登校がいないとかスポーツ大会で優勝するとか、そういう表面的な良いことを優先している。

それを許さず、悪いところにメスを入れるのが桜木である。瀬戸(高橋海人)がおとなしそうに見えて実は岩井と小橋を背後で操っていた(動画を作ったり)ことも突き止めている桜木。
「放火したのはおまえだろう?」
そんなとき、桜木が校舎で生活するために張っていたテントが燃える。原因はタバコ。桜木は自分の責任だと認めるが、誰かをかばっているに違いないと水野直美(長澤まさみ)は思う。
東大専科の生徒がゼロになり、桜木がこの高校にいる意味がなくなりそうだったが、教頭の高原(及川光博)が監視カメラにボヤ騒ぎの犯人らしき人物が映っていることを発見した。
ライターを海に投げ捨てようとする瀬戸のもとに水野がやって来る。瀬戸は誤魔化そうとするが、水野がもうひとりカメラに映っていた人物に当たると言うと、自分がやったことを認める。

その頃、楓はバドミントン大会に向かっていた。だが、万引きを告発する張り紙が体育館中に貼られていたり、試合中に怪我したり、心身ともに追い込まれていく嵐。そこに桜木が現れて言う。
「放火したのはおまえだろう?」
瀬戸は楓をかばっていたのだ。悪いやつのように見えて、楓をかばう友情を持ち合わせている瀬戸。でもなぜ楓は万引きなんかしていたのかーー。
楓は両親がバドミントン選手で、オリンピックを目指すという重い期待を背負わされていた。ところが大会前に右膝の半月板を痛め、それを誰にも言えず隠し続けていた。


とまあ、じつに説明的な話だなあという印象のまま47分経過。そのあと、意外な事実が。岩井がいつの間にか、桜木の子分みたいになっていて、バイクに乗って来て、桜木と楓がそれにニケツして、たどりついた場所(体育館)には小橋が待ち受けている。すっかり岩井と小橋が桜木に飼いならされている。


そして楓を追い込んだバドミントン部のコーチとペアを組む相手でありながら、ライバルである清野(吉田美月喜)の悪事が暴かれる。これもまた動画で隠し撮り。第1話からずっと隠し撮りで引っ張っているが、今後も隠し撮りネタは続くのだろうか。

魔が差すということ
つるつると一本道を流れ、途中途中で適度に感情を揺さぶる刺激が用意され、最後に悪事が判明する、筋だけのドラマという印象である。思わせぶりに重厚な画や音楽や編集がされているが、内容は極めてライトである。たぶん、2005年版のようなライトなコメディ調に演出することも可能だろう。だが日曜劇場はそうしない。
楓は、怪我を治すまでに2年はかかるが裏方として大会に出る部をサポート。

平手友梨奈には自分が大事にするものを守ろうと必死に生きる精神の気高さがある。『3年B組金八先生』の上戸彩もそうで、どんな状況のなかでも毅然と立とうとする十代を撮らせたら福澤克雄演出は冴える。未成熟な十代が東大に受かるほどの知恵を獲得したら、その純粋さがいい方向に機能するという願いのこもった物語なのかもしれない。そして楓も東大を目指すことに……。ちょっと無理やりじゃないかとも思ったけれど、ちゃんと理屈にかなってはいた。

さらに桜木に迫る魔の手……? 陰謀を巡らすことで、単純な一話完結の東大受験ノウハウドラマにしない工夫は感じるが、テーマより趣向が先行し過ぎている印象も拭えない。

【次回3話あらすじ】東大専科に集まった4人の生徒に桜木が指示した意外な勉強法
※第3話のレビューを更新しましたら、エキレビ!のツイッターにてお知らせします
番組情報
TBS日曜劇場『ドラゴン桜』
毎週日曜よる9時〜
出演:阿部寛(プロフィール) 長澤まさみ(プロフィール) 高橋海人(King & Prince)(ニュース一覧) 南 沙良(プロフィール) 平手友梨奈(プロフィール) 加藤清史郎(プロフィール) 鈴鹿央士(プロフィール) 志田彩良(プロフィール) 細田佳央太(プロフィール) 西山 潤(プロフィール) 西垣 匠 吉田美月喜(プロフィール) 齋藤瑠希 内村 遥(プロフィール) 山田キヌヲ(プロフィール) ケン(水玉れっぷう隊)(ニュース) 鶴ヶ崎好昭 駿河太郎(プロフィール) 馬渕英里何(プロフィール) 大幡しえり(プロフィール) 深田竜生(少年忍者/ジャニーズJr.)(ニュース一覧) 林 遣都(プロフィール) 佐野勇斗(プロフィール) 早霧せいな(プロフィール) 山崎銀之丞(プロフィール) 木場勝己(プロフィール) 江口のりこ(プロフィール) 及川光博(プロフィール)
原作:三田紀房『ドラゴン桜2』(コルク)
脚本:オークラ 李 正美 小山正太
音楽:木村秀彬
プロデューサー:飯田和孝 黎 景怡
演出:福澤克雄 石井康晴 青山貴洋
制作著作:TBS
番組サイト:https://www.tbs.co.jp/dragonzakura/
木俣冬
取材、インタビュー、評論を中心に活動。ノベライズも手がける。主な著書『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズルポルタージュ』、構成した本『蜷川幸雄 身体的物語論』『庵野秀明のフタリシバイ』、インタビュー担当した『斎藤工 写真集JORNEY』など。ヤフーニュース個人オーサー。
@kamitonami
ゆいざえもん
フリーで活動するグラフィックデザイナー・イラストレーター。得意としているファンアートは、透明水彩画や似顔絵で役者さん・舞台の魅力にアイデアを加えながら描いています。他にブランディングデザインやパッケージ・ウェブデザインなどを行う。宝塚歌劇が大好き。愛知県在住。
@yui_zaemon