三四郎・小宮が語る観客ゼロのライブで流れた「地獄の時間」<余談なんですけど…>

三四郎・小宮語る「地獄の時間」

三四郎(相田周二・小宮浩信)かまいたち(山内健司・濱家隆一)が、5月18日放送の『余談なんですけど…』(ABCテレビ)に出演。島根と大阪でトガッた青春時代を送っていたかまいたちの二人と、“有名セレブ校”成城学園の同級生という正反対の出自を持つ三四郎の二人が初めて臨んだ「対談」のなかで、それぞれの若手時代に経験した“苦いライブ”のエピソードが飛び出した。

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三四郎、「アパートの一室」でライブ

「(事務所専用の)小屋とかもない」と小宮。駆け出し時代は「自分らで小屋を貸し切って」ライブを開いていたといい、ときには「アパートの一室みたいなところで」やることもあったという。


「上におじいちゃんがペットと住んでて。僕らが『どうも〜!』って(ライブ)やってたら、開始三番手ぐらいのところでおじいちゃんが下に降りてきて、『うちの愛犬が寝てんの起きちゃうから静かにやってもらえる?』って」と小宮。その後ライブはヒソヒソ声で進めざるを得なくなったという。

「(建物に)階段があるんですけど、左に行くと楽屋、右に行くとおじいちゃんの寝室につながってる」と相田。「そんなに近いの!? 袖やん!」と驚く濱家に、「間違って右行くとおじいちゃんが寝てる」と続ける。「間違って部屋を開けてしまうと『オイ!』って(怒鳴られていた)」と小宮。建物の奥から「オイ!」と声が聞こえるたびに「また(誰かが部屋を)間違ってるよ」と思っていたという。

「環境も整ってないんで、普通の劇場みたいにライトの明かりがパッ、パッ、って消えたり点いたりしないんですよ」と相田。劇場設備の整っていないホールでライブを開催するときには「自分らで(電気の)スイッチを押して、蛍光灯が点くまでのあいだに登場する」と、オンボロ劇場ならではの涙ぐましいエピソードを披露した。

かまいたち、“組織票”を狙うも失敗の経験

長らく関西を拠点に活動してきたため、「東京のライブの感じを知らない」と濱家。かつ、吉本興業の劇場が舞台であったため、いわゆるチケットノルマを背負って自分で興行を打つ経験もなかったというが、吉本の劇場ならではの“システム”に翻弄されることもあったという。

「お客さん投票で上に上がっていくシステム。お客さんが好きな芸人3組にマルを付けて、上位の組が上のステージに上がれる」と山内。
「1人5万ずつ出してチケットを買えるだけ買って」知り合いに配り、投票してもらうことで上位を狙ったものの、あまりに集中したと投票を支配人に不審がられ、無効票にされてしまったという。

「お客さんが入ってるだけいいじゃないですか。僕らが野田(クリスタル)くんと一緒に出ていたライブなんか客3人くらいですよ。キャパ200〜300人くらいの会場で」と相田。しかも「そのうち2人は身内だった」という。「アングラなんでみんな(お客さんを)呼ばないんですよ。呼ばないことに慣れちゃってるんです」と相田。さらに小宮は、台風によってあわや「観客ゼロ」という危機を迎えたライブのエピソードを紹介する。

三四郎・小宮が語る観客ゼロのライブで流れた「地獄の時間」<余談なんですけど…>

観客ゼロのライブで流れた「地獄の時間」

「台風かなんかでお客さんが来ない。開始1分前、みんなに『(知り合い)呼んでないの?』と尋ねても(呼んでるお客さんが)誰もいない」と小宮。すでに小屋の使用料は支払ってしまっていたため開催を中止することもできず、苦肉の策の末に考え出したのが「ライブ中、出番でない芸人が観客としてそれを見る」という形式だったと語る。

「前半の芸人がネタやってるときは後半の芸人が見てて、後半の芸人がネタやってるときは前半の芸人が見てて」と小宮。「笑いの量で(この日のライブの)1位を決めよう」とするも、賞金も自分たちの自腹であるため、金惜しさに観客役の芸人たちが「誰も笑わない」という「地獄の時間」が流れたという。


これには山内も「何のためのライブ?」と思わず呆れ笑い。小宮は「友達がいないような社会不適合者の芸人ばっかなんですよ。バイト(の面接)も落ちるぐらいの」と語り、「元当たり屋の人とかもいた」との言葉に一同がドン引きする一幕も。ランキングを決める仕組みこそあったものの、その対価は「ノルマのないライブに無料で出られる」くらいであり、芸人たちのモチベーションも低く、「お客さんが2〜3人だから、(舞台)袖の芸人が笑えば上、みたいな感じになって」いったと語った。

「ねづっち? 知らねぇ」“友達の友達の友達のヤンキー”が引き起こした芸人生命の危機

「知り合いをライブの客として呼ぶ」というエピソードの流れで、話題は小宮がかつて直面した芸人生命の危機の話に。以前、Wコロン(木曽さんちゅう・ねづっち)のライブにゲストで出演した際、ネタ合わせ中に当時の事務所の社長が「小宮の友達が暴れてるぞ」と飛び込んできたという。

様子を見に行くと、「友達の友達の友達ぐらいのヤンキー」が「全然知らねぇよ! ねづっち? 何だよそれ」と泥酔状態で悪態をつく姿があり、「う〜わ ヤベ〜!」と小宮は顔面蒼白に。「(せめて自分たちの)名前だけは言わないで」という願いも虚しく「三四郎出せよ!」と大声で騒ぎ、小宮はなんとかなだめすかしながら帰らせる羽目になったという。

ヤンキーが帰り、ほっとしたのもつかの間、ふたたび事務所の社長から呼び出しが。なんとヤンキーは帰り際に劇場の階段に「小便をして帰った」という。「マジで最悪ですよ」と相田。あまりの踏んだり蹴ったり具合に、濱家も「最悪やな」と苦笑いを浮かべるのだった。

いまや飛ぶ鳥を落とすブレイクを見せているが、それまでに舐めてきた辛酸の量もハンパではない三四郎。
とくにネガティブをポジティブな笑いに変えて昇華する小宮の魅力を強く印象づけるエピソードだった。

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番組情報

ABCテレビ
『これ余談なんですけど…』
毎週火曜 深夜1時38分放送
MC:かまいたち(山内健司、濱家隆一)


Writer

天谷窓大


ライター・構成作家。エンタメ媒体で芸能人インタビューを多数行うほか、音声配信アプリを主戦場にラジオ番組の企画構成を手掛ける。焼き芋アンバサダー・熱波師としての顔も。著書に「サラリーマンは早朝旅行をしよう!平日朝からとことん遊ぶ『エクストリーム出社』」(日本エクストリーム出社協会名義、SB新書)

関連サイト
@amayan
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