ビールや酎ハイ、ハイボールなど、夏に人気の炭酸系のアルコール飲料。そこに今、新たな波が訪れている。
その流れを象徴するかのように、春に開催された神戸市の老舗酒蔵白鶴酒造の酒蔵開放でも、用意された酒ハイが早々に完売した。今回提供されたのは「白鶴 大吟醸」をベースとしたもので、華やかな香りと爽やかさが好評だったようだ。日本酒のトップメーカーである白鶴酒造の酒蔵開放は毎年人気のイベントで、今年も地元の人々を中心に約4000名もの客が訪れ、屋外ステージの催しや地元の人や企業による屋台なども出店して大いに賑わった。有料試飲の日本酒の売り上げは「認定NPO法人 しみん基金・KOBE」を通じて、地元神戸の市民活動に寄付されるという。
酒ハイは、2023年頃から徐々に話題になっており、2024年には日本酒の消費活性化に向けて、日本酒メーカーと流通業者でつくる日本酒需要創造会議も積極的に提案を始め、居酒屋などでも提供する店舗数が増えてきた。また、日本酒メーカーでも、酒ハイ専用や酒ハイを推奨する日本酒を新たに開発する動きも活発になっている。涼しげな見た目と、冷たくて爽やかな清涼感を感じることができる酒ハイは、猛暑が予想される今夏、レジャーや飲み会などで、さらに人気が高まりそうだ。
そんな酒ハイを楽しむための三原則がある。三原則のその一「日本酒と炭酸はキンキンに冷やすべし」。
その二は「日本酒:炭酸水=1:1で割るべし」。ただし、アルコールに弱い人や度数が気になる人は炭酸水の割合を増やして調整するなど、自分に合った酒ハイの黄金比を見つけると良いだろう。三原則最後の一つは「日本酒本体の味わいを楽しむべし」。炭酸水はゆっくりと注ぎ、混ぜすぎない方が、日本酒の香りや風味を損なわない。
酒ハイには、味わいがしっかりしている日本酒がお勧めといわれているが、いろいろな日本酒で自分の好みに合う酒ハイを探してみるのも楽しみの一つだ。酒ハイ初心者は、まずは月桂冠の「炭酸わりでおいしい純米酒」や、宝酒造の松竹梅「瑞音(みずおと)」など、酒ハイ専用の日本酒から試してみるのも良いかもしれない。また、前述の白鶴酒造では、通常の商品を炭酸で割るだけで、気軽に酒ハイを楽しむことを提案している。大吟醸酒を炭酸で割るのは気が引けるかもしれないが、ちょっと贅沢な夏を楽しむのもアリなのではないだろうか。
6月には、東京のサンシャインシティ内の専門店街アルパの飲食店計12店舗で「酒ハイ」と各店のBESTおつまみを一緒に楽しめるイベント「酒ハイに出会う夏」が開催されたり、夏に向けて、酒ハイのイベントが各地で増えてくるだろう。日本酒の新たな飲み方「酒ハイ」が、今夏のトレンドになりそうだ。(編集担当:石井絢子)