様々な毛の色を持つ猫の中でも、「シルバータビー(黒と灰色の縞模様)」の猫はテレビなどでもよく見かける毛の色だと言えます。
モノトーンでキリリとした印象の毛色のシルバータビーですが、そのシルバータビーの猫の毛の色が茶色みを帯びる「ターニッシュ」をご存じでしょうか。
今回はターニッシュのメカニズムなどについて、2匹の猫を飼う筆者から説明いたします。
■ターニッシュについて
猫の毛の色が茶色くなってくるケースを「ターニッシュ」と呼びます。英単語ではtarnishとつづります。
この現象について日本語文献でわかりやすく回答しているのが日本獣医学会のサイトです。
この回答によると、シルバーの毛色は「もともと茶色である猫の毛色」になるはずの「赤みを出す」遺伝子が抑えられ、根本の系の色が白くなることで生まれます。
そして、子猫の頃にシルバーの毛を持つ猫も、年を取るごとに「赤みをおさえる」遺伝子が働かなくなり、赤みが出てきて茶色っぽい色が出てくることがあるようです。
日本獣医学会では、個別の医療相談以外の獣医学に関する質問であれば回答を受け付けてもらえるようです。その他のQ&Aの内容も読み応えがあって面白く、今回のターニッシュのように、他の日本語文献ではなかなか見かけないものへの回答もあります。
動物への理解が深められる読み物としても活用できるので、ぜひ定期的にご覧いただくのがおすすめです。
■我が家の猫(マンチカン・12歳)の場合
実は、「ターニッシュ」について記事を書こうと思ったきっかけが、我が家の猫「みかん」(マンチカン・12歳)にも同様の現象が起きていたからです。たまたま日本獣医学会のQ&Aを見ていて、みかんと同じ現象についての回答があり、初めて知ることだったので記事として書いてみよう!と思ったのでした。
みかんの場合、子猫の頃は黒と灰色のきれいな「シルバータビー」だったのですが、近年どんどんお腹のあたりを中心に白い毛が茶色くなり、「薄い茶色の黒い縞模様」という状態になってきていたのです。

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【写真1】生まれたてのみかん

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【写真2】みかんの根元の毛の色

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【写真3】みかん近影(ターニッシュ進行)
みかんは基本的に健康体なので、毛が茶色くなってきたからといって特になにかするつもりはなかったのですが、この毛色の変化がシルバー系の毛の色の猫に普通に起きる現象だと分かり、安心したのは事実です。
■色の変化なども含めてその猫です
今回、「特定の毛色の場合、経年変化で毛の色が変わることがある」ことを知りましたが、猫に限らず、他の生き物や人間も「経年変化で色々変わる」ことは当たり前です。
病気など、そのまま放っておくと死んでしまうような場合はきちんと対処していくべきだと思いますが、命にかかわらないものの場合は、その変化も併せて愛でていけると良いと思います。
我が家のみかんも、12歳を迎えてかなり茶色くなってきましたが、相変わらずもちもちしていて可愛い猫です。最後までしっかり飼っていこうと思います。
■参考資料
- 公益社団法人 日本獣医学会「猫の毛の一部が成長と共にオレンジ色へと変色する現象について」( https://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/v20190507.html )
- 公益社団法人 日本獣医学会「子猫の毛色の変化について」( https://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/v20200630.html )