■世界全方位戦略のトヨタは好採算のHVの販売増で収益性改善


 トヨタ自動車(7203)の2026年3月期通期業績見通しは、営業収益が2.0%増の49兆円、営業利益が29.1%減の3兆4000億円、税引前利益が34.8%減の4兆1800億円、当期利益が38.5%減の2兆9300億円。上方修正したが、それでも増収ながら大幅減益という見通し。

通期の販売台数見通しは10万台積み増して過去最高の1050万台としたが、トランプ関税の影響がより悪化して、営業利益を1兆4500億円押し下げる見込みになった。


 2026年の業績は利益の改善がポイント。生産・販売の「世界全方位戦略」を推進しているので世界販売台数見通しが計画通りに1000万台を超えるのは確実(国内生産は350万台弱の計画)だが、最も期待できそうなのは採算性の良いHV(ハイブリッド車)の売れ行きが全世界で好調に推移していること。現状、レクサスブランドの41%がHVだが、近健太CFOは「HVはこのペースで増えていくとみている」と話している。


 車種構成の変化や、機能改善による売価改善の効果とも合わせて、トヨタならではの強みであるグループ全体の「商品力の高さ」が、収益性回復の原動力になりそうだ。


ホンダは北米で発売する新EV「アフィーラ」の成否に注目


 ホンダ(7267)の2026年3月期通期業績見通しは、営業収益が4.6%減の20兆7000億円、営業利益が54.7%減の5500億円、税引前利益が55.2%減の5900億円、当期利益が60.7%減の3550億円、当期利益(最終利益)が64.1%減の3000億円の大幅減収減益だった。二輪事業は比較的堅調だったが、中国や、タイなど東南アジアで販売不振の四輪事業の営業損益が赤字になり、通期業績を下方修正した。半導体供給不足によって北米で減産を余儀なくされ、その影響は1500億円の営業減益要因になった。北米でのEV関連の損失を一過性費用として計上したことも響いている。


 相当な逆境にあるが、悪化の要因が解消していけば2026年の業績の急回復につながる。特に注目されるのが北米市場で納車が始まるEV(電気自動車)の「AFEELA(アフィーラ)」で、ホンダとソニーグループが共同出資するソニー・ホンダモビリティが生産し、車内に「プレステ5」を搭載する。それに備えてアメリカにあるEV用電池工場を韓国LGグループから買収している。


 高級車種だけでなく、車名別販売台数首位で年間約20万台の実績がある軽自動車「N-BOX」EV版の国内販売も2027年度をメドに始めるとアナウンスしている。1月の箱根駅伝ではホンダのEV白バイが先導し、ホンダは2026年、四輪でも二輪でも、EVに社運をかけて取り組むと言っても過言ではないだろう。


■日産の黒字化は厳しくても、まだ「e-POWER」がある?


 日産自動車(7201)の2026年3月期通期業績見通しは、中国合弁会社に持分法を適用すると売上高が7.4%減の11兆7000億円、営業損益が2750億円の赤字で、当期純利益の見通しは非公表となっている。中間期の純損益は2219億円の赤字だったので、通期での黒字転換は極めて困難だろう。2025年はホンダとの経営統合の破談、追浜工場と日産車体湘南工場の車両生産終了、本社ビルの売却が決まり、暗いニュースばかりが伝わった。
 
 2025年5月に発表された経営再建プラン「Re:Nissan」によると、2027年度末までに国内外7工場の削減、全世界2万人の人員削減、5000億円の固定費、変動費の削減を行い、2026年度に自動車事業の営業利益の黒字化、フリーキャッシュフローの黒字化の達成を目指す。電動化やアライアンスで市場・商品戦略を見直し、パートナーシップを強化するとしている。まさに生き残りをかけた正念場だが、わずか1年間での黒字化は厳しいという予想が大部分だ。


 それでも「技術の日産」のレガシーを受け継ぎ、ガソリン車とEVの「いいとこ取り」ができるという電動パワートレイン「e-POWER」への評価は、高速に乗らない「街乗り需要」に限れば決して悪くはなく、それを新車開発や技術提供の軸にすれば活路が開けるという見方もある。虎の子の技術資産を活かせるかどうかは、経営陣のかじ取り次第だろう。


マツダは新型「CX-5」の成否が業績に直結しそう


 マツダ(7261)の2026年3月期通期業績見通しは、売上高が2.4%減の4兆9000億円、営業利益が73.1%減の500億円、経常利益が64.0%減の680億円、当期純利益が82.5%減の200億円と、減収、大幅減益が見込まれている。アメリカでの販売台数の8割を日本とメキシコから輸出していたためにトランプ関税が直撃し、4~9月期で営業赤字538億円、最終赤字452億円を計上した悪影響が尾を引き、苦しい1年になった。


  2026年、マツダの業績V字回復の担い手になるかどうか注目されるのが、マイルドハイブリッド化した新型「CX-5」の市場投入である。ヨーロッパでは2025年12月、北米では2026年初頭、日本では2026年中に発売される。「CX-5」は累計450万台というマツダでは最重要の世界戦略車だけに、その新型の販売実績は業績に直結するだろう。それに続いて2026年11月発売が噂されているロータリーEV搭載「MAZDA2(デミオ)」後継モデルや、電動化推進の主力「BEV(純電気自動車)」が良い結果を出せれば、業績はさらに押し上げられることになる。


■SUBARUは「フォレスター」が回復の原動力になるか?


 SUBARU(7270)の2026年3月期通期業績見通しは、売上収益が2.3%減の4兆5800億円、営業利益が50.7%減の2000億円、税引前利益が48.7%減の2300億円、当期利益が52.7%減の1600億円という減収、大幅減益を見込んでいる。減益要因としては、アメリカでの販売車の半分程度を日本から輸出しているためにトランプ関税が直撃し、そのコストが1544億円にのぼった上に為替変動の影響、研究開発費の増加、原材料価格の高騰が重なった。


 2026年は為替や関税の影響が薄まって収益反転の素地が整い、アメリカ市場を中心に世界販売台数120万台を維持できる見通し。2025年は国内では日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した「フォレスター」、アメリカでは「クロストレック」「アウトバック」「フォレスター」の販売が好調だったが、それが2026年も継続すれば業績回復の原動力になりうる。


 2025年11月、EVへの量産化投資を減らし、HVやガソリン車など内燃機関車への投資を拡大する電動化計画見直しを発表したが、それでも「ソルテラ」に次ぐEV量産車2車種目「トレイルシーカー」を2026年春に国内市場に投入する予定で、現状のEVへの逆風がいつ追い風に変わっても即応できる体制を維持している。(編集担当:寺尾淳)

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