昨年から続くコロナ禍の影響で大手アイドルでも苦しんでいるなか、1回目の緊急事態宣言中に所属事務所を辞めて独立し、クラウドファンディングで活動資金を集めて自らの力で次々と「やりたいこと」を実現している“フリーランスソロアイドル”がいた。森ふうかは、なぜ多くのファンや関係者たちから支援してもらうことができているのだろうか。
彼女が語ってくれた“コロナ禍の生き残り術”は、きっと多くの人にとっての明日を生き抜くヒントになることだろう。(前後編の前編)

【写真】天真爛漫な笑顔でファンを魅了する森ふうか撮り下ろしショット

──森さんは昨年5月1日に独立後、この1年間で8曲(2021年5月現在)のオリジナル曲の制作や3回に渡る主催イベントの開催など、やりたいことを次々と実現させてきました。活動資金はクラウドファンディングで集めたそうですけど、独立したときにすぐクラファンをやろうと思ったんですか?

森 そうですね。フリーのソロアイドルをやるために何が必要かなって思ったときに、「オリジナルの衣装と楽曲さえあればなんとかなるな」って思ったんですけど、そのための資金を集めるために「クラファンやってみるか!」と思って実行しました(笑)。

──1回目のクラファンでは結果170万円以上集まりました。もともとの目標金額はもっと安かったそうですね。

森 目標金額を65万円にしてたら90分で集まったので、制作するオリジナル曲を2曲から3曲に増やしますっていうストレッチゴールを作って、最終的に170万集まりました!

──曲を作るときに、少なくとも作曲はプロにお願いしないといけないじゃないですか。自分で連絡したんですか?

森 以前、アイドルユニットのリーダーをやってた頃にお世話になっていた人にメールを送って書いていただきました。依頼の仕方とか値段交渉とか、そういうのが何も分からなかったから、「値段とかってどうやって決めていくんですか?」みたいにどんどん訊いたんですけど、そこら辺はすっごい苦戦しましたね(笑)。相場も分かんないし、結構“言い値”って言われることが多かったから「言い値って何!?」みたいな(笑)。

──1回目のクラファンで170万円も集められたのは、森さんのデビューを応援したいと思う人が多かったからじゃないかと思います。

森 ファンの方だけじゃなくて、独立するときにご挨拶した関係者の方や友達のアイドルが「ふーちゃんがリスタートしてアイドルやるんだったら応援したい」って言ってくれて……。
それが結構頼もしかったです。

──なぜそれだけの人に応援してもらえたと思いますか?

森 やっぱり(独立するまでの)5年間、人のご縁とかすごい大事にしてたし、「ふーちゃんと一緒に仕事したい」って思ってもらえるように常に心掛けてたからかなって思います。

──その後、森さんは計3回のクラファンを成功させてきましたけど、3回目のクラファンではデビュー1周年記念の新曲をAKB48なども手掛けている作曲家の樫原伸彦さんに作ってもらったそうですね。

森 はい! 私は『ハッピー・ジャムジャム』っていうアニメ「しまじろう」の曲が大好きで、もともとTwitterの相互フォローをさせてもらっていました。そして、1周年のタイミングで「すいません、クラファンでお金集めるので作っていただけないでしょうか?」って声掛けました(笑)。

──その結果、樫原さん作曲の『ようこそ!ポジティブワールド!!!』だけでなく『ハッピー・ジャムジャム』の“森ふうかバージョン”をデジタルリリ-スさせてもらうことにも成功しました。

森 これは樫原さんと新曲を作っている最中にダメ元で「『ハッピー・ジャムジャム』をカバーしたいです」って言ったら、作詞の方やテレビ東京ミュージックさんの審査が通れば使用できるよって教えてもらったので、即行知り合いの編曲者さんに音源を作ってもらって、レコーディングしてテレビ東京ミュージックさんに送ったら審査に通って、リリ-スできることになりました(笑)。

──それってなかなか大胆な行動ですよね(笑)。

森 そうですね! だからここは記事にしてほしいです、フフフッ(笑)!

──3回やって分かったクラファンのコツみたいなものはありますか?

森 私は「リターンをめちゃくちゃ魅力的なものにする」っていうのを一番心掛けていました。たとえば、今CDは売っていないんですけど、クラファンに支援してくれた方だけにリターンでCDを送っていたり、あと「プロデューサープラン」っていう楽曲の振り入れやレコーディングが見学できるプランを毎回作ったりしてます。そういうのがファンの方にとってはすごく魅力的なのかなと思ってて、いかにCDやチケットを買う感覚でやってもらうか。1回目に支援した人が2回目・3回目もまたやりたいって思ってもらえるように工夫してます。


──リターン内容が金額に見合っているんですね。

森 そうですね、商品を買っていただくみたいな感覚で(笑)。あとクラファン自体の経過を楽しんでいただけるように工夫したりしているので、“経過を売ってる”みたいな感覚はあるかもしれないです。1回クラファンに関わるとそれが終わるまで楽しみが続くし、支援者が多ければ多いほど出来上がったときに嬉しいって思ってもらえるから、そこは大事にしているところかもしれない。

──3回のクラファンで合計380万円以上集まりました。

森 この金額があったから1年間活動できたし、この金額を丸々制作費につぎ込んだから曲も衣装もクオリティの高いものが作れたなって思います。これだけ集まったのは本当にファンの方のおかげだから、これを元に頑張っていきたいですね。

【後編はこちら】クラファンで380万円を集めたアイドル・森ふうかが語るコロナ禍で生き残るアイドル論

▽森ふうか
2020年にアイドルグループを卒業し、現在はフリーランスで活動するスーパーポジティブアイドル。持ち前の明るさと行動力でコロナ禍の中、クラウドファンディングで170万集めデビューを果たした。さらに、芸能プロダクション『Mori circle』を設立予定、プロデュースアイドルオーディションを開催するなど注目を浴びている。
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