乃木坂46に1期生として加入した中元日芽香。2017年にアイドルとしての活動を停止し、現在はカウンセラーとして活動している。
6月22日には、初の自叙伝『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』(文藝春秋)を発売し、「ひめたん」の愛称でファンに愛された彼女が、心理カウンセラーになるまでの道のりを自身の言葉で綴っている。今回、本を書いた経緯や、乃木坂46の1期生について話を聞いた。(前後編の後編)

【写真】心理カウンセラーとして活躍する中元日芽香、撮り下ろしカット【5点】

【前編はこちら】元乃木坂46中元日芽香がアイドル時代の摂食障害体験を語る「ビジュアルを求められることへの葛藤が…」

――乃木坂46、特に1期生ってどんな人たちだと思いますか?

中元 みんな優しいです。アイドルグループに入る子って、「絶対センターになりたい」と思っている人ばかりかと思っていたら、選抜になっても、「なんで自分なんかが……」と思い詰めたり、「今回のシングルでは何も貢献できなかった」と自分を責めたり。常に自分と闘っている子ばかりでした。

――心に何かを抱えているんだけど、活動を通して強くなっていく。
乃木坂46にはそんな印象があります。

中元 強くなった子は前を向いて、凛々しい表情をして、一人で歩き出していきます。それはいちいち相談するようなものではなくて、覚悟を決めるのって、それぞれのタイミングなんですよね。

私の場合、そのタイミングが卒業する時でした。「選抜に入ったはいいけど、私はここから前には行けないや」と思ったのがそのきっかけでした。体調不良で現場に行けなくなったことも大きかったけど、後ろ髪をひかれるような卒業ではありませんでした。


ファンの方からは、「志半ばだったね」とも言われましたが、自分としては前向きな卒業でした。

――アイドルには、中元さんのように休業する人が大勢います。何か感じることはありますか?

中元 休業の発表っていくつかパターンがありますけど、漠然と「体調不良」としか発表されないこともあります。「体調不良ってどういうこと?」と腑に落ちないファンの方もいらっしゃると思いますが、その発表の仕方も彼女の意志表示なんだと思います。なので、あまり詮索しないであげてほしいです。

――心理カウンセラーになったきっかけは?

中元 次にやりたいことを見つけてから卒業しようと思っていましたが、休業中に「カウンセラーって素敵な職業だな。
元気になったらやってみたいな」と考えるようになっていました。卒業後のある日、「今だ!」と思い立って、勉強会に行く予約を入れました。その瞬間は衝動的でしたね。

――コロナ禍によって相談の内容に変化はありましたか?

中元 あります。仕事のオンとオフのスイッチの切り替えができないという方もいらっしゃいますし、大学生になったのはいいけれど、ずっとオンラインで授業をしていたから、友達ができにくいとか。ステイホームが長く続いたことで、誰かとコミュニケーションを取りたいと考える方が増えたと思います。


――この本はどんな人に読んでほしいですか?

中元 心理カウンセラーというお仕事やメンタルヘルスということに興味を持っていただけたら、私が本を出版する意義を果たせるのかなと思います。アイドルファンの方や悩んでいる方だけに向けて書いたわけではないので、いろんな方に読んでいただきたいです。

――アイドルファンがこの本を読んだら、推しに優しくなると思います。

中元 そうですね(笑)。「こんな考えをしていたアイドルがいたよ」という、ひとつの参考資料になればいいですね。「アイドルって大変なんだなー」だけではなく。
アイドルは楽しかったですから!

▽『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』
中元日芽香
発売:文藝春秋
定価:1,430円(税込)