今回は3月にPPEの輪に加わった、関西を中心に活躍するコスプレイヤーの茉夏が登場。2018年に結婚を発表し、コスプレイヤーの新たな立ち位置を確立した彼女に、これまでの軌跡を聞いた(前後編の前編)。
【写真】茉夏の私服撮りおろしカット【14点】
──茉夏さんはいつ頃からコスプレを始めたんですか?
茉夏 16歳ぐらいからなので、もう9年ぐらい経ちます。昔からアニメとマンガが大好きで漠然と興味はあったんですけど、先に友達がコスプレをしていて、「一緒にイベントに行こうよ」と声をかけられたのが始めたきっかけです。
──アニメやマンガが好きになったのは?
茉夏 ちっちゃい頃から少女マンガも少年マンガも読んでいたんですが、自分がオタクと自覚したのは中学生のときです。マンガを読んでいても、ただ面白いだけじゃなく、「このキャラクターかっこいい! 大好き!」みたいなのが小学生ぐらいから強くあって、それって今考えたら普通にオタクやったなって思います。
──子供時代はインドアだったんですか?
茉夏 そうですね。どちらかというと運動は苦手でした。でも中学生のとき、柔道部に入りました。
──それは意外ですね。
茉夏 幼馴染のお兄さんが入っていたんですけど、「夏休みに先生がバーベキューに連れて行ってくれるし楽しいよ」って誘い文句で入部しました。実際に入ってみると、バーベキューとは割の合わない辛さでしたけど……。
──本格的な柔道部だったんですね。
茉夏 そうなんです。でもちゃんと3年間で黒帯も取り、初段になりました。すごくきつかったんですけど、途中で辞めるのは好きじゃないんですよね。あと仲間と先生に恵まれて続けられました。
──念のため得意技を教えてください。
茉夏 体落(たいおとし)です(笑)。いまだに腕がマッチョなんですよ。
──筋肉はコスプレにも活きそうじゃないですか?
茉夏 どちらかというと顔が幼いのにムキムキだからコラージュみたいになっちゃって、自分でも「クソコラやんけ!」って思うこともあります(笑)。でもいつか、それを活かしたコスプレもチャレンジしたいと思っています。柔道自体は今も好きで、高校に柔道部がなかったので辞めたんですけど、最近もやりたいなと思って道場を調べていたんですよ。でも仕事柄、ケガとかしたらあかんなと思って諦めました。
──話をコスプレに戻しますが、中学時代からコスプレイヤーの存在は知っていたんですか?
茉夏 ネット検索したら出てくるので何となくは知っていました。ただ大阪ではコスプレイベントがほとんどなくて。大きなイベントは年に1回、「日本橋ストリートフェスタ」というのがあるぐらいです。あと、私がコスプレを始めた頃はちょっと大きめのショッピングモールでもコスプレイベントがあって、大阪でコスプレをやるならみんなここに行くやろ、ぐらいの人気でした。逆にいうとそれぐらいしかなかったので、そこに行けばコスプレ仲間と知り合うことができるんです。毎週知り合いが増えて、コスプレを始めて1、2年で会場に行けば声を掛け合うような知り合いが何人もできました。
──初めてのコスプレは何のキャラクターだったんですか。
茉夏 『Starry☆Sky』という乙女ゲームの制服を買ったんですけど、メイクもウィッグも知らない状態だったので、制服を着ただけみたいな感じでした。そこから、どんどんボーカロイドにハマっていき、初音ミクちゃんとか『マクロスF』のランカちゃんとか、好きなキャラクターのコスプレをしていました。今ほどコスプレ文化が浸透していなかったので、あまり衣装の種類は売ってなかったですけどね。
──高校生だと衣装を買うのも大変そうです。
茉夏 ハンバーガー屋さんでバイトをして、3カ月に1回ぐらい新しい衣装を買っていました。
──そのときからSNSなどにコスプレ写真は上げていたんですか?
茉夏 まったくやっていなかったです。友達の家に集まってコスプレ写真を撮り合ったり、友達同士で写真を交換したりするだけでしたね。
──表に出ようと思ったきっかけはあったんですか?
茉夏 5、6年ぐらい前にツイッターを始めて、ずっと好きやったキャラクターのコスプレをしていたら、それを見てくれる人が増えて、褒めていただくこともあったんです。そういう声が届くようになって、もっとクオリティを上げようとメイクやウィッグも研究するようになりました。あと、カメラマンさんにかっこよく撮ってほしい気持ちが年々強くなっていって、その頃には知り合いのカメラマンも増えていたので、お互いの技術向上のために撮ってもらいました。そこから少しずつ東京の人とも知り合うようになって、コミケに誘われたのでコミケデビューもしました。
──一番反響のあったキャラクターは何だったんですか?
茉夏 『ラブライブ!』の南ことりちゃんが大好きで、そのコスプレをしていました。友達同士で『ラブライブ!』のレイヤーを9人集めてコスプレ併せをして楽しんでいました。
──大阪でもコスプレ仲間は充実していたんですね。上京して本格的にコスプレ活動をする気はなかったんですか?
茉夏 まったく思わなかったです。当時から、えなこさんは有名でしたけど、まだコスプレイヤーが雑誌の表紙を飾るなんて珍しい時代でした。
──茉夏さんは今も在阪で、お仕事があると上京しているそうですが、今の活動で一番のモチベーションは何ですか?
茉夏 ここ数年、個人でお仕事をいただくようになって、自分のファンが増えて、みなさんに応援していただく中で意識も変わっていきました。日常の何気ないツイートに反応してくれたり、写真集を買ってくれたり、なかなか個人ではできないような企業のお仕事をさせていただいたときに、ファンの人が「おめでとう」って言ってくれたり。その1つひとつがうれしいですし、もっとファンの人に喜んでほしいですし、これからも「応援していてよかったな」って感情を抱いてほしくて、それがモチベーションに繋がっています。
>>後編に続く
(取材・文/猪口貴裕)
▽茉夏(まなつ)
8月15日生まれ。153センチ。A型。『グランブルーファンタジー』のオフィシャルキャストを務めるなど、関西在住のコスプレイヤーとして活動している。
Twitter:@manatsukin
Instagram:manatsukin