日本のトップコスプレイヤー・えなこほか、伊織もえ、篠崎こころら所属する事務所として注目度を集めるPPエンタープライズ。そんな話題の事務所に所属するコスプレイヤーたちに私服での撮り下ろしとインタビューを実施。


今回は3月にPPEの輪に加わった、関西を中心に活躍するコスプレイヤーの茉夏が登場。2018年に結婚を発表し、コスプレイヤーの新たな立ち位置を確立した彼女に、これまでの軌跡を聞いた(前後編の後編)。

>>前編はこちら

【写真】茉夏の私服撮りおろしカット【14点】

──初めてのコスプレ企業案件はいつ頃ですか?

茉夏 確か2017年だったと思います。その頃から企業案件や、撮影会にも出てみませんかというオファーがDMで届くようになったんです。撮影会は自分の知っているレイヤーさんも出ていましたし、企業案件は私が知っているタイトルで「まさか私に!」とオタク心をくすぐられて。自分が公式の何かに携われるなんて考えもしなかったです。

──特に印象に残っている企業案件は何ですか?

茉夏 『グランブルーファンタジー』というCygamesさんのタイトルで、今もやらせてもらっています。私が趣味で買っているコスプレ衣装って、インターネット通販で買っているのでペラっとしていることが多いんです。でも初めて経験するフィッティングで『グランブルーファンタジー』の衣装に袖を通したとき、キラキラの布、ずっしりした質感、こんなところにギミックが付いているんだ、シルエットを維持するためにこんなところにボタンがあるんだとか、感動と驚きで泣きそうになって。オタクをやっていてよかったと思いました(笑)。

──順調に仕事が増えていく中、コスプレの仕事1本でやっていこうという野望は芽生えなかったんですか?

茉夏 当時から今の旦那とお付き合いをしていて、このまま結婚すると思っていたので、そういう発想はなかったですね。

──結婚を意識したのはいつぐらいですか?

茉夏 それまで結婚願望がなかったのに、お付き合いして3日ぐらいで、この人と結婚するって直感があったんです。
一般のサラリーマンの方なんですけど、交際して2年ぐらいで結婚しました。プライベートの話をするのは恥ずかしいな……。あと私は実家の家族が大好きなので、離れて暮らすなんて考えられないんです。だから今も大阪を拠点にしていますし、今後も変わらないと思います。

──茉夏さんのように、大阪を拠点に幅広く活躍しているコスプレイヤーは珍しいんじゃないですか?

茉夏 そうかもしれない。大阪を拠点に活動していたレイヤーさんも、いつかは東京に移っちゃうんですよね。あと大阪の人は、お仕事が忙しくなったとか、満足しちゃったとかで、早いとこコスプレを辞めてしまう気がする。趣味で9人集まって『ラブライブ!』のコスプレをやったメンバーも今は何人残っているんやろ……。

──みんなと同じように辞めなかった理由は?

茉夏 シンプルに楽しいからです。私はコスプレをするようになって性格も変わったんですよ。以前は人見知りがすごくて、めっちゃ内気やったんですよ。今こうしてお話しているのも、昔の自分だったら考えられないです。
バイトでもおどおどしていましたし、年上の方と接するのも苦手でした。でもコスプレの合わせってお金のかかる趣味なので、当時高校生やった私が合わせに入ると、だいたい周りは大人だったんです。その環境の中でコミュニケーションを取らないと話が進まないのもあるし、そもそも同じ趣味なのでしゃべれたんです。相手の方が私に優しく語りかけてくれたのもあって、話すのって怖くないなと。それで、だんだん社交性を身につけました。旦那と知り合った頃には、「ウェーイ!」って感じでしたね(笑)。

──茉夏さんのコスプレ写真を見て旦那さんが感想を言うこともあるんですか?

茉夏 あります。だんだん見る目が厳しくなっていて、最初は「可愛いね」って言ってくれていたのに、最近は「こんなキャラやろうと思っているんだよね」と言うと、「なんかちゃうなぁ」とか返してくるんです(笑)。

──PPエンタープライズにはどういう経緯で所属したんですか?

茉夏 ある日、代表のよきゅーんさんから、「うちに入りませんか?」って何の前触れもなくツイッターのDM経由でメッセージが届いてビックリしました。所属してからいただくお仕事は今までの自分では経験できないものばかりで、今も信じられない気持ちが続いていて、うれしさを噛み締める余裕もないです。

──事務所に入って特に驚いたお仕事は何ですか?

茉夏 グラビアのお仕事です。そもそも私は個人でコスプレをしているときから、あまりスタイルに自信がないので水着を全く着なかったんです。
いろんな水着を、こんなに短期間で着ることになるんだって。もう一生分、水着を着たんじゃないかなって現時点で思っています(笑)。

──でも、最初は水着になることに抵抗があったんですか?

茉夏 ありました。でも、それも実際にやってみて意識が変わったんです。撮る前は「自分がセクシーなんて……」って思っていましたけど、撮影は楽しいですし、スタイリストさんが私の雰囲気に合わせてくれた水着を用意してくれるので、めっちゃ可愛いんですよ。それに「水着=セクシー」じゃなくて、自分にしか出せない魅力もあるのかなと。私は水着を着てもセクシーにならないタイプだと思うので、ヘルシーさといいますか、そのほうが自分のイメージにも近いので、ほかとは違った魅力を出せたらいいなと思っています。

──最後に今後の目標を教えてください。

茉夏 今はいただいたお仕事を全力で頑張る気持ちなんですけど、アニメとゲームが原点にあるので、そういうお仕事ができるようになりたいです。具体的にいうと、難しいとは思いますけど『薄桜鬼』! あと『ソードアート・オンライン』や『リゼロ(Re:ゼロから始める異世界生活)』など、ライトノベルのファンタジーな世界観のコスプレにチャレンジしたいです。

(取材・文/猪口貴裕)
▽茉夏(まなつ)
8月15日生まれ。153センチ。
A型。『グランブルーファンタジー』のオフィシャルキャストを務めるなど、関西在住のコスプレイヤーとして活動している。
Twitter:@manatsukin
Instagram:manatsukin
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