少女歌劇団ミモザーヌは、広井王子氏が総合演出を手掛けるレビューカンパニー。『和』の文化を背負い、“世界でも活躍できる”少女たちの成長を見守り、応援していく新しい形のライブ・エンタテインメントとして、昨年12月に旗揚げ公演を行った。
メンバーは11歳から19歳の少女たち。応募総数736名から14名が選ばれた1期生を始め、現在は2期、3期生と研究生を合わせた総勢27名。8月17日に東京、20日に大阪で開催する初の有観客ライブを目前にした今の心境とこれまでのレッスンの様子を広井氏と1期生のいわむらゆきね、すずきみあいムェンドワ、2期生のともだりのあに語ってもらった。(前後編の後編)

【写真】総合演出の広井王子と少女歌劇団メンバー3人の撮り下ろしカット

──少女歌劇団のレッスンは単に技術的なものだけでなく教養や物事の考え方にも及んでいるようですね。メンバーが読んだ感想をノートに記す課題本というのは、どういった作品だったんですか?

ゆきね 1年目は『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ)というすごい分厚い本で(笑)。

みあい 2年目は『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス)、3年目は『動物農園』(ジョージ・オーウェル)という本です。

広井 これらの本って、世界の人が必ず読んでいる古典なんですよ。だから世界に出たときにこういう本を読んでいることってすごく大事だと思うんですよね。少女歌劇団は20歳で卒団という決まりがあって、その後芸能界に残る子もいるだろうし社会に出ていく子もいると思うんですけど、僕としては起業するような子も出てきてほしいんです。そのためには英語や教養は必須だから。そもそも学校の勉強は学校で覚えて100点取るくらいじゃないとダメです。学校の勉強が覚えられないのは授業に集中していないから。
ちゃんと集中できたらそのぶん他の時間を少女歌劇団の練習に使えるわけだし、だいたい学校の勉強が覚えられないようでは(ダンスの)振りも覚えられませんよ。そのために僕は「食事を変えなさい」と言っています。

──食事、ですか。

広井 そう。だからノートに食事も書かせているんです。それを見て「朝食をちゃんと食べなさい」とか「肉ばかり食べてるじゃないか。野菜も食べなさい」と。

みあい 「魚をもっと食べよう」と言われたりもしました。その話を家族でしていたらママも「気を付けるね」と言って、だんだん家族みんな健康な方向に進んでいっています(笑)。

広井 あとは映画も見るように勧めています。僕が一番最初に勧めるのは『素晴らしき哉、人生!』(1946年)。これはほとんどのアメリカ人が見ている古典中の古典。
こういう作品を見て海外の人との共通点を作っていかないと国際人にはなれないから。そして、その上で「日本人だから歌舞伎や文楽は見てるよね」と聞かれるからその部分の教養も全部教えておきたいなと思っています。

──さて、8月に開催される夏公演「Romance~恋するように~」のコンセプトを聞かせてください。

広井 レビューというのは一つテーマがあって、それに沿って作られるものだと僕は考えています。今回はそのテーマが「Romance」なので、第1部はいろんな恋やドキドキした気持ちを歌にして、この子たちに歌ってもらおうと。また第2部は歌ありトークあり、お楽しみコーナーみたいなものもやっていこうかなと思っています。

──メンバーの皆さんが思う、夏公演の見どころは?

ゆきね 『笑い声で目覚めた朝』という曲があって、最初歌詞をもらったときは意味が分からなかったんですけど、歌っていくととにかく楽しくて! 本当に魔法みたいな曲なんです。うまく言葉で説明できないので、ぜひ見に来てほしいです(笑)。

りのあ 私は『夏色レモン』という曲に出るんですけど、フレッシュで弾けた感じの可愛い曲なんです。衣装も可愛くて。なので、ぜひ私たちの可愛さに魅了されてください!

みあい 私が出ている楽曲はだいたいかっこいい感じの曲で。その中でも『MONSTER NIGHT』という曲は踊りも歌もすごくかっこいいので、注目してほしいなって思います。


──公演は2部構成で全20曲120分を予定。ボリュームたっぷりのショーになりそうですね。

みあい 盛りだくさんです。ただ、(取材時点で)120分通したことがないので私たちもどれくらいしんどいのかまだ分からないんですけど……。

ゆきね しかもまだ振り入れをしていない曲もあって、覚えることも盛りだくさん(笑)!

──では、少女歌劇団の魅力というと?

ゆきね 個性豊かなところだと思います。「少女歌劇団」という言葉だと堅苦しいイメージを持たれるかもしれませんが、実際はとにかく自由だし、多国籍だし、個性の強いメンバーが多くて。そしてそれぞれの色が合わさって一つの舞台を作る面白さが魅力なんじゃないかなって思います。

りのあ 私が思うのは、全員仲が良いところです。私は入る前「いじめられたらどうしよう」と怖かったんですけど、入ってみたらみんな優しいし、いつも助けられてばかりです。その仲の良さは舞台にも表れていると思います!

みあい 2人が言ってくれた通り、27人もいるのに1人ひとりのキャラクターがかぶらず全員本当に違っていて面白くて。そして一緒にレッスンをするとお互いを助け合うところが少女歌劇団の素敵なところです。あと、公演でアクロバットがあるのは珍しいと思うのでそこも魅力なんじゃないかなと思います。


──広井さんから見て、少女歌劇団メンバーの魅力はどういうところでしょうか?

広井 すごく純粋で、まっすぐなところですね。舞台に対してまっすぐだし、それが心に突き刺さってくるんですよ。これって貴重だと思うし大人が見たら「まっすぐってこんなに素敵なんだね」とキュンとくると思う。そして、(有観客で)拍手をもらってからがこの子たちのスタートだと思っているから、拍手をもらった後どう広がっていくのかが楽しみです!

──最後に、夏公演に向けての意気込みをどうぞ!

ゆきね 少女歌劇団ミモザーヌは夏公演に向けて今全力で頑張っているので、ぜひ見に来ていただけたらうれしいです!

みあい たくさんのジャンルが楽しめて、個性もあふれる面白い舞台になっています。劇場でお待ちしています!

りのあ TikTokやTwitter、Instagramでも発信しているのでそちらもぜひチェックをお願いします。夏公演でお会いできるのを楽しみにしています!

【前編はこちら】少女歌劇団ミモザーヌ、広井王子とメンバーが語る結成秘話「サクラ大戦のリアル版じゃん」

▽少女歌劇団ミモザーヌ
「サクラ大戦シリーズ」「天外魔境シリーズ」などを送り出したマルチクリエイター・広井王子氏が総合演出を手掛けるレビューカンパニー。『和』の文化を背負い、“世界でも活躍できる”少女たちの成長を見守り、応援していく新しい形のライブ・エンタテインメントとして、昨年12月に旗揚げ公演を行った。11歳から19歳の少女たちで結成され、応募総数736名から14名が選ばれた1期生を始め、現在は2期、3期生と研究生を合わせた27名が所属。メンバーは20歳で卒団となる。グループ名は花言葉に「感謝」の意味がある「ミモザ」に由来する。

▽少女歌劇団ミモザーヌ 夏公演「Romance~恋するように~」
8月17日(火)東京・なかのZERO小ホール
8月20日(金)大阪・東大阪市文化創造館
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