還暦を迎えた演歌歌手・藤あや子が4月15日に写真集『FUJI AYAKO』(講談社)を発売する。デビュー35周年記念特別企画でもある今回の写真集では、自身初となるビキニ姿など60歳とは思えないほどの艶やかな美ボディを披露。
最近は、愛猫のマルオレちゃん(マル&オレオ)との日々を綴るSNSも人気の藤あや子。美ボディを作ったライフスタイル、年を重ねても挑戦を続けるバイタリティの源についてなど話を聞いた(前後編の後編)。

【前編はこちら】藤あや子が還暦でビキニ姿の写真集を発売「夫からも“艶カッコいい”と嬉しい言葉」

【写真】還暦を迎えさらに美しさ際立つ演歌歌手・藤あや子

──今回、60歳という年齢でここまで露出度の高い写真集を発売することについて、ご自身のなかに迷いはありませんでしたか。

藤 なかったですね。今はいろいろ試している途中というか、自分自身の実験中なんです。いろいろなことを積み重ねて、人はどう変わっていくのかなという実験(笑)。私、すごく若いときはポジティブというよりも今、一生懸命楽しかったらいつ死んでもいいや、みたいな破滅的な部分があったんです。20代、30代は忙しすぎて体を壊したこともあったし。

でも、やっぱり歌が好きだから仕事を続けていたんですけど、50歳になる直前に突発性難聴になってしまって。食生活にも気を付けていたのに、なんで病気になっちゃったんだろうと思ったときに、体作りを真剣に考えてみようとヨガを始めて、そこから10年。積み重なって今があるんですね。

若いときは自分が60代とか想像ができなくて、60歳なんて着物のおばあちゃんのようなイメージがあったけど、実際になってみたら「あれ?違うな?」と。
考え方や行動ひとつで人間って変われるんじゃないかなって思って、そういう実験をしているひとつが今回の写真集。「60歳でも写真集?いい感じじゃない!」みたいな。

──SNSにも「還暦すぎてもガンガン攻めていくぞ」と書かれていましたね。

藤 還暦って“還る”という文字があるし“原点に戻る”みたいな意味もあるのかなって。今までを振り返って、やり残したことないかなと自分を見直すちょうどいい位置だなとも思うんですよね。だから、60歳でもできること、まだまだいっぱいあるって今はワクワクしています。

──新たにギターを始められたのも話題になりました。

藤 もともとロック、エアロスミスやボン・ジョヴィが大好きだったので、10代のときはバンドを組んでボーカルをやりたいというのが夢だったんです。当時もギターにトライはしたんですけど、めちゃくちゃ指は痛いし、開かないし。少しやって挫折したんですよね。

でも60歳になったときに、もっと頑張ってやっておけばよかったな、今始めたら弾き語りくらいできるんじゃないかなって思い立って。猫友でもあるヒゲダン(Official髭男dism)の大ちゃん(小笹大輔)にギター選びを手伝ってもらいました。
今も週一くらいで教えてくださる先生の所に通っています。なかなか上達しないんですけど、楽しい!

──年齢を重ねると新しいことを始めるのが億劫になったりするのに、本当にアグレッシブだなと感じます。

藤 やりたい!という思いが強いのかもしれないですね。私、興味ないことには全くやる気が出ないんですけど、やりたいことに対してはテンションが異様に上がっちゃって。あとは、コロナ禍でおうち時間が増えたことも一因かもしれません。家のなかでずっとマルオレちゃんと遊んでいるのも楽しいけど、何か新しいことがしたいなって。そのときに思い浮かんだひとつがギターだったんです。

2年前に始めたキックボクシングもそうですけど、ギターはめちゃくちゃ脳トレなんですよ。キックボクシングは、ワンツーとジャブ、フック、アッパーってコンビネーションを何十手とやらなくちゃいけなくて、ただ体を動かすだけじゃなくて頭も使うスポーツ。ギターもそれと同じような感じで、左右で指の動きが全然違うじゃないですか。やっぱり年齢とともに劣化していく部分はあると思うので「これじゃいかん」と、自分を見つめ直すいいきっかけになったと感じています。

──愛猫マルオレちゃんとのやり取りなど、藤さんのSNSは若い方にも人気です。
今の若者を見ていて感じることはありますか。

藤 今、すごく生きにくい世の中だと思うんですよ。若い方は特にバブルみたいな華やかな世界を経験したわけでもなく。かといって、今後そういう夢のある世の中になるかも分からない。不安をいっぱい抱えていらっしゃる方が多いのかなと思うんです。

確かに、私も若いときはすごく不安だらけでした。でも、人間って年齢を重ねていくとなんとなく気持ちが楽になっていくんですよね。実際、20代のときは悲観的な気持ちにしかなれなくて絶対無理、乗り越えられないと思うようなことがたくさんあったけど、それを踏ん張っていたら、30代になって「あれ?20代より楽かもしれない」って思ったりして。まだ頑張れるなと思う自分がいたりするんです。

それを繰り返して諦めずに前に進んでいたら絶対に楽しいことがあるんですよね。私だって、60歳になって写真集という楽しいことが待っているなんて思ってなかったですもん。いろんなことを諦めずに、自分のために何が必要かを見つけて突き進んでいって、つらいことも苦しいことも全部自分の栄養にしちゃえばいいと思います。
全部、栄養にしちゃえば、ものすごく明るくて楽しい未来があるし、間違いなく楽になるからって伝えたいですね。

──藤さんにとって、苦しいことを踏ん張る原動力はなんでしょうか。

藤 自分の好きなものを作ることかな。スイーツもそうだし。「いいや、今日は食べちゃえ」って。頑張る代わりに自分にご褒美をあげたらいいと思います。自分で自分を育てるというか、ある意味自分に言い聞かせることも大事なのかな。「今、つらくても絶対このままでは終わらないわよ~」みたいな。自分をコントロールする力も必要ですよね。それが、若いときはなかなかうまくいかないけど、年を重ねたらだんだんと楽になる気がします。

──今後、どんな“藤あや子”になっていきたいと思っていらっしゃいますか。

藤 今、実験中ですからね。
今後、どうなっていくんだろうと自分自身が楽しみ。今、本当にいろんなことをやっていて、よく頑張ってるなと思うんですけど、この状態が楽しいんですよね。今後は、今やっていることが少しずつ広がっていく楽しみを見つけられるのかなとも思っています。自分には期待しかないです!

それにマルオレちゃんと出会ったことで、保護猫というワードすら知らなかった自分がチャリティー活動にも関わるようになったことも大きいですね。これからは保護猫、保護犬についてはもちろんですけど、もっと広くチャリティー活動をしていきたいという思いも持っています。

──最後に改めて今回の写真集の見どころを教えてください。

藤 今、頑張っている人へのメッセージを込めた写真集です。絶対な幸せな未来が待っているから、一生懸命生きれば大丈夫。勇気をもってください。還暦でも、それを過ぎても遅くないですよ、ということを伝えられたらいいなと思っています。

コロナ禍で自分の体を鍛えようとジムに通ったり、ヨガを始めたり、ヘルシーに生きたいと思う方がすごく増えましたよね。私が10年間やってきたトレーニングの結果が詰まっている写真集でもあるので、10年後こうなりますよ、というお手本にしていただけたらいいなとも思っています。


──新たに次の写真集のオファーがきたらどうします?

藤 あはは!そのときは、そのときですね(笑)。でも、この作品は自分の究極になりましたから。まずはこの写真集を一人でも多くの方に見ていただきたいです!

(取材・文/吉田光枝)
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