窪田正孝が主人公の天才放射線技師・五十嵐唯織役で出演し、ドラマ版が好評を博した『ラジエーションハウス』シリーズ。4月29日(金)より全国公開された『劇場版ラジエーションハウス』には若月佑美が出演し、お腹の子の健診で甘春総合病院へ向かう道中で交通事故に巻き込まれてしまう女性・高橋夏希を演じる。
今回若月に、作品への思いや撮影を通して感じたこと、「家族」という存在に対する考えなどを語ってもらった(前後編の前編)。

【写真】『ラジエーションハウス』に出演している若月佑美、撮り下ろしカット【16点】

──まずは人気作『ラジエーションハウス』シリーズへの出演が決まった時の心境をお聞かせください。

若月 お話を聞いてびっくりしました。人気のあるドラマの劇場版に出演させていただけるのはすごく光栄なことだなと思いましたし、役柄的にも重要で素敵な役だったので、身の引き締まる思いでお受けしました。

──ドラマのレギュラーキャストの方はすごく仲良しな印象がありますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

若月 すごいですよ。皆さん、スイッチの切り替えがすごすぎると思うくらい。カメラが回ってない時は、和気あいあいとノリツッコミやボケ合戦が巻き起こるようなすごく明るい現場だったんですが、本番になるとビシッと緊張感のある医療現場になるんです。とても楽しく、面白い現場でした。

──レギュラーキャストの方とお話はされましたか?

若月 私の役は、本番では集中治療室に入っていることが多かったので、壁を1枚隔てて共演させていただいていてお話はできなかったんですが、撮影前には結構お話をさせていただきました。皆さんの明るさにすごく救われましたね。ゲストとしての参加だったし、皆さんが大先輩ということもあって、やっぱり緊張していたり、うまく話せるかなと正直思っていたんですが、そんな心配を皆さんがとってくださいました。

山口紗弥加さんとは『共演NG』という作品以来の久しぶりの共演でしたし、浅野和之さんも舞台でご一緒させていただいていたので、お話できてうれしかったです。


浅野さんは私によく話しかけてくださったんですが、現場では浅野さんがいじられキャラのようなところがあったので、私に話しかけている姿に皆さんが「なに若い子に話しかけてるの」とツッコんだりしていて、仲間に入れてもらえた感じがしました(笑)。

──初めてお会いしてうれしかった俳優さんなどはいらっしゃいましたか?

若月 遠藤憲一さんは、私がラジオなどで好きな俳優さんとしてお名前を挙げさせてもらっていて、お会いしたい方の1人だったのでとても光栄でした。その後、遠藤さんとは別のドラマでもご一緒させていただいて、私の父親役で共演させていただいたんです。今回の作品で「お会いしたかったんです」とお話をさせていただいたらすごく喜んでくださって、とてもうれしかったです。

──では、今は遠藤さんともたくさんお話できるようになりましたか?

若月 そうですね。ふざけてお互いにボケたりツッコんだりしながらお話しさせていただけるようになりました(笑)。

──それは素敵ですね。今作の台本を読んだ印象はいかがでしたか?

若月 いろいろな感情がグルグル回るというか、一言の感想では言いきれないようなストーリーだと感じました。明るい希望はきちんと描かれていますが、医療ドラマとして命を扱う作品なので、難しいです。自分の役としては、胸がいっぱいになってしまいます。自分が事故に遭ってしまって身動きもとれないような状況になったら、自分の意思を伝えることもできない。その代わり、周りの人たちがいろいろな思いを考えていくんだなと思いました。
特に山崎育三郎さんが演じる夏希の旦那さんは、本当にどこに何を向けたらいいのかわからない気持ちになるんですよね。それくらい思えるほどの奥さんとして現場にいなくてはいけないな、とも思いました。

夏希が事故に会うのはあまりに突然ですが、それもリアルに感じてしまいます。実際の事故や人の死も、突然に来るものですよね。まさか自分が事故にあうとは思ってもいない時に事故にあってしまうこともあると思うので、フィクションながら現実と通ずるところがあって、考えさせられる映画だと思いました。

──家族という存在についてもすごく考えさせられました。若月さんにとっては、家族とはどんな存在ですか?

若月 家族は、一番気を遣ってあげたい存在だと思っています。本当だったら一番、気を遣わなくて、感情のままで存在しあえる関係だと思うんですが、私はだからこそ逆に一番、気を遣いたいんですよね。

──若月さんのご実家では、家族同士でお帰りのハグをするとか。

若月 いまだにしますね。きょうだいでおんぶとかもしあいます(笑)。めちゃめちゃ仲が良いんです。
周りからはすごく不思議がられるんですけどね。

──大人になるにつれて、ご家族との関係性に変化があったりもしましたか?

若月 私が仕事をするようになってから、父親との会話の数が増えたんです。たぶん私が社会人になったことで、親と子というよりも社会人として同等に見てくれるようになったというか。ビジネス系の話も父親とするようになりましたし、社会のルールとか、先輩との関わり方や常識を父親から教えてもらうような機会も増えました。

大人になって、例えば銀行に行く、とかの「親がやっていたこと」と同じことができるようになって、今まで親には頼る一方でしたが、逆に聞いてあげられることも出てきました。携帯の操作方法とか(笑)。小さい頃は「これはどうやるの、あれはどうやるの」となんでも教えてもらう立場だったのに、年齢が上がっていくにつれて、自分が親に教えることができるというのは、すごく不思議な気持ちです。

──帰省されることもあると思いますが、ご家族を自宅に招かれるようなこともありますか?

若月 めっちゃあります。うちの父親と母親はしょっちゅう東京に来ているんです。父と母は趣味らしい趣味があまりないので、私が趣味になっているんです(笑)。私が出ている舞台を見るとか、そういうことが旅行のきっかけで、行事になっているというか。私の舞台を見るために東京に行く計画を立てていたり、出演した映画を観るのにも「せっかくだったら東京に行こう」とか、そういう風にしてくれるのですごくうれしいんです。
頻繁にこっちに来るので、自宅に招くことも多いですね。ラーメンが好きなので、東京のおいしいラーメン屋さんに連れていくこともあります。

【後編はこちら】若月佑美が語る芸能生活での“壁”「体力の衰えは抗えない、キャピキャピした役はギアを上げないと」
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