──1月27日にバンコクで行われたAKB48の海外姉妹グループが集結したアジアフェスティバルは日本でも生中継され、大盛況のうちに終わりました。それぞれの立場でフェスに出演した感想を聞かせてください。
阿部 AKB48 Team TPとしてあんなに大きい会場でライブをすることが初めてだったので、みんな本当に緊張しちゃって。そこは私が冷静にどーんと構えるしかないと思って、「大丈夫、私たちは1カ月以上ずっと練習してきたよ。絶対に大丈夫。楽しもう」って声をかけました。よく考えたら私9年目なんですけど、こういう気持ちでステージに上がることが最近なかったから、「そうだよね、初めてってこうだったよね」って思いながら、私も新人の気持ちで踊りました。
横山 私は海外のフェスに出させていただいたことはあったんですけど、AKB48在籍10年目で、グループが勢ぞろいしてコンサートを海外でやらせていただくのは初めてなので、今までに感じたことのない空気を感じました。ファンの方がすごく熱くて、まっすぐな気持ちで一緒に声を出して盛り上がってくださったことに感動しました。BNK48のメンバーが『恋するフォーチュンクッキー』などAKB48の楽曲をさらに広めてくれましたし、姉妹グループのみんなのおかげでこのステージに立てているんだなと感じました。
──全アジアの48グループと一緒に踊るときにはどういう気持ちになりますか?
阿部 それぞれ個性がありますよね。『会いたかった』の曲1つでも、MNL48、JKT48の「セクシー大人会いたかった」もあれば、私たちTeam TP、AKB48 Team SH、SGO48の「新人ピュアフレッシュ会いたかった」のところ、そして本家AKB48と、みんな全然違いました。それぞれ歌っている言葉は違うけど振り付けは同じなんです。それがすごく不思議な感じというか、感動したというか。
──フェスティバルを経験をして新しい目標ができたと思いますが。
阿部 まず英語を勉強したいです。
横山 本当に! 英語を本当に学びたい!
──生中継を観ていても、「ここで英語をしゃべってくれたら」と思う場面がありました。
横山 日本のメンバー全員が思ったんじゃないかなと思います。
阿部 私の場合は中国語を勉強したので、Team SHの子とコミュニケーションが取れたのがうれしくて。私がちょっと変な中国語を話しててもTeam TPの子は慣れているからなのか、いつもなんとか通じてると思ってたんですけど、会場で英語と日本語の通訳しかいないときに、Team SHの子に声をかけて「これはこうだよ」って中国語で説明したら、「ありがとうございます。すごく中国語上手ですね」って言われて、それが本当にうれしかったです。言葉を勉強したら世界が広がるなと思って。
──「AKB48」という視点で感じたことはありましたか?
横山 ここで体験した「熱狂に包まれる」感覚がもっと欲しくなりました。あとはAKB48の曲や振り付けをアジアの姉妹グループがやっているのを見ると、本家としてしっかりクオリティを上げていかないと、と思いました。
阿部 1人ひとりがモニターに映ると悲鳴が聞こえて「何が起きたんだろう」って思って映像を観たら私が抜かれていて。AKB48のスタッフさんに「阿部さん、キャーって言われてたよ。どうしたの?」って(笑)。私もびっくりした。
横山 会場の大歓声は私もうれしかったです。テンションが2段階ぐらい上がる。
阿部 楽しかった。またいろいろな場所でやりたいね。で、AKB48のホームに戻って。
横山 東京でね。
阿部 東京でアジアフェスティバルをやるのって夢じゃないですか?
横山 いいねぇ。それまでに英語を話せるようになっておこう。
──横山さんは新しいAKB48を次期総監督(向井地美音)につなげていこうとしていますけど、これからのAKB48グループはどうなればさらに良くなると思いますか?
横山 新しいメンバーにも、言葉にして伝えられることや行動にして教えていけることは、先輩から受け継いできた私たちの代がしっかり伝えていかないといけないかなと思っています。AKB48のファンだった子が新たに加入してきてくれていますが、ゼロから説明しなくてもいいわけではないですし、ちゃんと説明しないと気づけないことが多いので、しっかりとコミュニケーションを取っていきたいと思います。私たちには常識と思えることが、そうじゃないこともあって、だからこそ世代を超えてしっかりと伝えていくとともに、若いメンバーや今の若いファンの方たちが求めているものをつかみながらコミュニケーションを取りたいと思います。
──今回は『AKB48SHOW!』(NHK)の『横山総監督のはんなり相談室』の収録を見学させていただいたのですが、お2人はプライベートのときにはどのような話をしているんですか?
阿部 番組やこの対談と同じことしゃべってますよね?
横山 一緒です。
阿部 普通にご飯食べてても、最終的にはAKB48の話に。
横山 そう、熱い話に。
阿部 AKB48に入ったのが14歳のときからだから、まだ同じことしてる。
横山 10年同じことしてるんですよ(笑)。ずっとAKB48のこと考えてるんですよね。
阿部 古参オタですよね(笑)。
横山 本当にそうですね。ご飯に行って2人で話していることの97%がAKB48のこと。あとの3%がご飯のことかそれ以外のこと(笑)。
──収録中は横山さんから質問する形でしたけど、阿部さんからは質問はありますか?
阿部 私、キャプテンではないんですけど、グループで一番先輩だから、キャラは別として、みんなを引っ張らなきゃいけない立場だと思うんです。どうやれば人についてきてもらえますか? キャプテン、総監督になるために心がけたことはありますか?
横山 当たり前のことを当たり前にやるということは心がけたかも。可愛さ、ダンス、歌、で人気を伸ばすことはできても、全てで1位になることはできない。それよりは時間を絶対守るとか、着替えを早く済ますとか、そういう基本的な、人として当たり前のことだけは確実に守って、手本である自分でありたいなと思ってずっとやってきたかも。
阿部 それはすごい! 私が一番やらなきゃいけないことだ。
横山 自己満足かなと思ってたけど、見てくれている後輩やスタッフさんがいるっていうことが徐々に分かって、やっぱりそれって大事なんだなって思った。
阿部 じゃあキャプテンに言っておきます。
横山 いや、自分はやらへんのかい(笑)!
──収録のときにおっしゃってましたけど横山さんが台湾に1人旅をして阿部さんの部屋に泊まったそうですね。
横山 海外に1人で旅行に行きたいと思っていたんです。
阿部 「行く行く詐欺」をよくされるんですよ(笑)。だから、本当に来てくれてうれしかったし、よこはんが1人旅に台北を選んでくれたのもうれしかった。
横山 アイスクリームが食べ放題の火鍋屋さんに連れていってもらって、そのあとマッサージに行ったんです。そしたら『アナタ、イママデキタ、ニホンジンノナカデ、イチバンカタイ』って言われて。めちゃくちゃ不名誉でした(笑)。
阿部 面白すぎ(笑)。
横山 それでマリアの家に行ったら、真面目な目標を書いた紙がコルクボードに貼ってあって。
阿部 いつもは隠してるんですけど。ぱるるさん(島崎遥香)が来たときにも見られて、めっちゃ笑われました。「真面目」って。
──実際に台北で暮らしてみていかがですか?
阿部 食べ物がおいしいですし、住みやすいです。
──旅行に来た日本人の方に見つかったりしますか?
阿部 台北の観光地に東京タワーのような「台北101」というタワーがあるんですけど、その周辺が好きでよく歩くんですけど、「マリアちゃんですよね?」と声をかけられたりしてうれしいです。「本当に台湾にいるんですね」って(笑)。
──横山さんはまた行きたい?
横山 めっちゃ行きたいです。スーラータンもショーロンポーもマンゴーもおいしかったから行きたいです。
──お気に入りの後輩の久保怜音さんを「さとさんぽ」で台湾に連れて行くとしたらどこに?
阿部 最近は日本同様インスタ映えが流行っていて、ピンク色の可愛いカフェとか、メリーゴーランドの馬があるようなカフェがいっぱいできてるから、そこに連れて行って可愛い写真を撮りまくりたい。あとは飼っている猫と怜音のツーショットを撮って待ち受けにしたい(笑)。
──AKB48の10期生は入山杏奈さんがメキシコ、伊豆田莉奈さんがバンコク、阿部マリアさんが台北と、それぞれ海外で活躍中です。共通するところはあるのでしょうか。
阿部 高橋みなみさんの卒業コンサート(2016年)で海外に姉妹グループができると発表されてから私は移籍したいとスタッフさんにずっと話をしていたんです。メンバーには誰にも言わなかったんですけど、莉奈は同期だから話してもいいかなと思って莉奈とスタッフさんと話し始めたら、莉奈が「え? 莉奈も海外移籍考えてたりするんだけど……」ってまさかの答えが返ってきて。自分たち10期生はもともと9期生がフィーチャーされたときに9期の妹分みたいだったから、あまり自己主張せず、「自分から行く」というタイプではなかったんです。だからAKB48全体の中で10期生の印象は薄いかと思うんですけど、芯は真面目でやる気のある子たちが多いんです。「このままじゃやりきったって言えない」という思いもあったんだと思います。
──海外メンバーあるあるを1つ教えてください。
阿部 ちょっと言葉が分かってきたけど、まだ上手くしゃべれない時期、(通訳さんに)代わりに言ってもらうんですけど、聞くことはできるので、「私の言いたいことはそうじゃない!」ってことがあって、言葉を伝えられない悔しさがありましたね。仲川遥香さんも、あんにん(入山)も莉奈もみんなそれを経験してるみたいで。言葉の壁は自分で越えるしかないんですけどね。
──同期の海外メンバーとは連絡を取り合ってますか?
阿部 莉奈とは、AKB48にいたメンバーにしか分からない悩みを共有できるから、お互いに頑張ろうって話をします。あんにんはLINEで「どう? 台湾」「どう? メキシコ」みたいな会話をして、住んでいる場所は違うけど、同期として育ってきた環境が同じだから昔の気持ちを思い出しつつお互い頑張ろうね、って話になります。
(『月刊ENTAME』2019年4月号掲載)
よこやま・ゆい
1992年12月8日生まれ。京都府出身。ニックネームは「ゆいはん」。AKB48、9期生。現在AKB48の総監督だが、AKB48結成13周年特別公演で向井地美音を総監督の後継者に指名している。
あべ・まりあ
1995年11月29日生まれ。神奈川県出身。AKB48、10期生。ニックネームは「あべまる」。2017年にTPE48への移籍を発表し、AKB48としての活動を終了。現在は、AKB48 Team TPの正規メンバーとして台湾を中心に活躍中。
『AKB48 SHOW!』
2019年3月3日(日)[BSプレミアム]22時50分~