【写真】デビュー20周年を迎え、さらに勢いを増すジャルジャルの撮り下ろしカット【8点】
渡辺直美やウーマンラッシュアワー・村本大輔ら、日本のお笑い芸人が本格的に海外進出する例は近年多いが、この夏ジャルジャルがチャレンジした単独ライブツアー「ARIGATO BY JARUJARU」もなかなかに尖った試みだ。約1カ月にわたるイベント、エディンバラコメディフェスティバル「Fringe」のプログラムとして、英語オンリーの即興コントライブを連日開催した。
後藤 8月はずっと、福徳と向こうで共同生活でした。さすがに1カ月ずっと一緒というのは初めてでしたね。ライブではお客さんからお題のワードをもらって、その設定で即興でコントをやりました。英語のレッスンとかは全く受けていなかったんで、もう絞り出して絞り出して、最小限の英単語で。
福徳 イベントの話を頂いた時から、「普通に考えたらスベるやろなあ」という気持ちはありましたね(苦笑)。英語力には自信ゼロでしたし。
後藤 会話で笑わせるのは難しいということで、設定の状況を何とかお客さんにも察してもらいながら、動きとかを駆使してやる感じでしたね。
福徳 「日本語でやったらこういうのも、ああいうのも思いつくのに!」っていう。
後藤 上手く行く時もあればそうでない時もある、それが面白かったしいい経験になりましたね。
実はこうしたその場その場でコントを作り上げるのは、ジャルジャルの普段のネタ作りおいてもスタンダードなスタイルだという。いちからカッチリした台本を作るようなことはせず、ある設定やキーワードをもとに即興的に一本のネタに仕立て上げる。その結果、圧倒的な本数のネタが出来上がり、そのうち単独ライブにかけないものに関しては、コント動画の毎日配信を続ける公式YouTube「ジャルジャルタワー」で披露されるのだ。
後藤 僕らも、もはや何本あるのかわかりません(笑)。YouTubeはネタを8000本上げるまで続ける、ということでやってますけど、その目標を立てたところからもさらに増えてますし。
福徳 2人で根詰めて話し合って作る、というのはほぼないですね。自然発生的な感じです。あんまり考え込まないからいっぱい作れる、というのはあるかもしれない。
すでにコンビとしての認知度も高い彼らが、傍目からはやもすれば「異常」と思えるほどストイックにネタ作りを続けるのか。その理由は極めて単純なものだ。
福徳 結局、単独ライブをやってるときが一番楽しいんです。正直に言うとテレビよりも楽しい。テレビは本当に人間的に面白い人が活躍できる場やと思うんです。で、例えば僕が番組で全然喋れなくて、それでも帰りにタクチケもらったりする罪悪感って半端じゃないんですよ。
後藤 仮に活躍できたとしても、企画を考えてるのは自分じゃないし、満足感を得られにくいと言うのはあったかもしれません。だから当時は、「単独さえきちんとやってれば何とかなる」っていう気持ちはありましたね。
福徳 やっぱり単独ライブって自分たちでしっかり準備して、なおかつお客さんがチケットを買ってくれて、時間を割いて劇場まで足を運んでくれる。それは言うたら。「両想い状態」みたいなもんじゃないですか。それがええなあって思いますね。
後藤 ピークで忙しかった時期でも、年2回の単独ライブはやっていて。「この状況でできるなら、今後もずっとやれるな」って。僕らが初めて単独をやったのが06年で、コロナでできなかった年はありましたけど、それ以外は欠かさずやってます。いまはちょうどいい感じに「ネタばっかりやってる人」っていうイメージもついてると思うんです。逆にネタ番組以外にはなかなかお声がかからない状態になってる気もしますが(笑)、僕ら的には過ごしやすい、やりたいことをやれる状況だとは思っています。
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