【写真】自伝エッセイを書き下ろしたEXITのりんたろー。
現在、EXITとしてレギュラー番組も多数。文字通り“売れっ子”のりんたろー。が、本書では「コンプレックスだらけだった」と、その胸のうちをすべてさらけ出している。なかでも印象的なのは、近年話題になることも多い容姿いじりへの想いだ。
「最初は顔が大きいとか、コンプレックスや嫌だなと思っていた部分が笑いになることを楽しめている自分がいたんです。でも、時代の流れでいろいろなものが変わっていくなかで、自分と同じような悩みを持つ人を救えると思って笑いのネタにしていたけど、その反面で嫌な思いをしている人がいるんじゃないかと思うようになったんですよね」
コンプレックスを笑いにする。その笑い声で自分の本当の声が聞こえなくなっていたのかもしれない、と振り返る。
「本当の気持ちを聞かないように、笑いでごまかしているだけなのかもしれないとも思えてきて、だったらコンプレックスを認めてそれを克服するまでを皆さんに見ていただく方が同じように悩んでいる人の勇気になれるのかなと。コンプレックスを持つ自分を受け入れ、認めてあげられるようになった過程で出会ったのが美容だったので、その思いをシェアしたい。その気持ちが今回の本には詰まっています」
本書では、今後のお笑い界を生き抜くには、という芸人としての考えにも言及している。
「時代の変化を敏感にキャッチしながら、感覚をアップデートしていくことが一番必要なことなのかなと。基本的に打席に立ってしまったら、その場で一生懸命頑張るということに尽きるんですけど、選べるんだったら容姿いじりだったり、誰かが傷つくかもしれない打席は選ばない。そういった選択をしていくことがEXITりんたろー。としては大事だと思うし、腕を試されている部分だなと感じています」
今後もEXITを客観視したときに違和感のない仕事を選んでいきたいというりんたろー。だが、そういった思いは相方である兼近の方が強いのでは、とも語る。
「僕はやっぱり喜ばせたいという思いで、周りからの要望に応えてしまうところがあるんですけど、彼はいい意味でも悪い意味でも頑固というか、自分を持っている人なので。EXITとしてやりたいもの、できるものをジャッジして、求められる役割を果たしながらうまくバランスを取っている気がします。僕も彼に相談することが多いですしね。コンビは仲が悪い方がカッコいいという風潮も昔はありましたけど、何をするにもやっぱり話し合った方が楽ですから。
自分たちの活動を通じて、芸人の裾野を広げたいという思いも持っている。
「自分たちはテレビを主戦場だと思っているんですけど、『24時間テレビ』で兼近くんがチャリティーマラソンをしたときに僕らのYouTubeの再生回数がぐっと上がったんです。テレビとYou Tubeってすごく分かれているような気がしたけど、実はちょっとつながっている部分があるのかなと思ったし、それをつなげられるのがEXITであるなら、そういった立ち位置も目指していきたいですね。YouTuberがテレビに出るときって、誰も説明書を持っていないから彼らのいい部分が伝わらずに終わってしまってもったいないなと思うときもあるんですよ。そういったところの架け橋みたいになれたらいいなという思いもありますね」
時代の寵児と呼ばれることも多いEXIT。今の自分は過去、想像もしていなかった場所にいると笑う。
「美容メディアで連載して、それが本になるなんて思ってもなかったし、そういう夢みたいなことが実現していることに驚きもありますけど、その分責任感も増えたなと思いますね。説得力も勝手に備わってきちゃったし、何かを発信するときにいろいろ考えるようになりました」
10年後の自分は?と未来予想図を尋ねると「46歳ですよね。難しいな……」と悩みつつも「美容に特化したキレイなヒロミさんですかね(笑)」と答えてくれた。
「美容も追求しつつ、趣味も楽しんでお笑いもちゃんとやる。それまでにはM-1も獲りたいし、やりたいこといっぱいあって困っちゃいますね!」
本書は、そんなりんたろー。がありのまま自分を認められるようになるまでの過程をまとめた一冊。
「すごくポジティブでハッピーな言葉だし、その考え方もすてきだと思うんですけど、必ずしもそれができる人間ばかりじゃないのかなと。自分もそうだったんですけど、『前向きになろうよ!』みたいな感じがハードルになって苦しくなる人もいるだろうし、嫌いな自分をそのまま愛するなんて難しいじゃないですか。だから、愛するというよりも現状を受け入れることが大切なのかなと。『自分なんて』と思って減点するんじゃなくて、加点していく感じになるといいですよね。僕はいろんな経験を積んでいくなかで肯定できるようになった人間なので、それも一つのやり方だと、この本を通して提示したいです。同じように悩んでいる人の背中を押せる一冊になったらうれしいです」
(取材・文/吉田光枝)
▽『自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと』
著者:りんたろー。
価格:1650円(税込)
発売日:2022年11月11日(金)
発行:講談社
自身の内面と向き合い続けた道程を赤裸々に書き下ろした自伝エッセイとともに、「美容は心を鍛えるための最強のツールだ」と語る著者が美容初心者に贈るセルフケア32のアイデアを収録。1日でも長く漫才師として活躍したい、と考えるひとりの芸人が紡ぐ「心を鍛える物語」。
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