朝ドラ『舞いあがれ!』に出演するなど、勢いに乗っている俳優の高杉真宙が“令和の”映画『ナニワ金融道』の主演を演じている。金融マンガの金字塔を令和版として新たに実写化した本作は、11月25日から3週にわたって全3話を1話ずつ公開。
主人公の灰原達之を演じた高杉に、役作りや見どころなど話を聞いた。

【写真】一癖も二癖もある帝國金融の面々【6点】

大阪を舞台に貸金業者、いわゆる“街金”の実態を描き大ヒットした『ナニワ金融道』。過去、テレビドラマでも人気を博した作品だが、高杉は「これまでの金融をテーマにした作品とはイメージが違った」と印象を語る。

「タイトルは知っていましたけど読んだことがなかったので、最初は“金融道”というだけあって、ちょっと重たい話なのかなと思っていたんです。もしかしたら、それは『闇金ウシジマくん』などの印象が強かったせいかもしれないんですけど。でも、『ナニワ金融道』は、コミカルな部分も多いし、お金に振り回されるけど人生にはちゃんと希望があって進んでいけるんだ、というお話が多かったので全然テイストが違うなと思いました」

高杉演じる主人公の灰原達之は奨学金の返還滞納のため信用情報に傷がつき、就職先が見つからず、貸金業者・帝國金融に勤務することになる、という役どころだ。


「最初は作品のなかで、どういった立ち振る舞いであれば軸として存在できるのかなということを考えながら台本を読んでいたんですけど、基本的に灰原が自発的に動くというよりも周りが話を動かしてくれる。受け芝居が多い役だなと。監督とも相談しつつ、どのくらいコミカルにやっていくのか、という部分は結構意識したかもしれません。皆さんとのやり取りのなかで軸を作っていきつつ、灰原の性格はこうかなと思いながら演じていきました」

灰原が入社する帝國金融の面々には、加藤雅也赤井英和宇崎竜童と役柄同様に一癖も二癖もあるベテランキャストがそろう。高杉は、先輩役者に囲まれる自分と演じる灰原というキャラクターがリンクしていたとも話す。

「入社したての若造が先輩方に振り回されている感じが重なるんですよね。
やっぱり撮影初日は言い方が悪いですけど、完全に凄みのある方々のなかに僕一人、入れられてる感じで(笑)。まずは挨拶にしにいかなくちゃっていうのが頭のなかにあったから、『はじめまして、高杉真宙です』って言いに行くのも怖いなって。でも、お会いしてお話していくと全然怖くない……っていうのも失礼かもしれないですけど、その凄みがかっこいい方々なんですよね。引っ張っていってくれる先輩方だったので、その背中を借りていこうと。心強かったです」

最近は同世代が多い現場が続いていたこともあり、改めて新鮮さも感じたという高杉。「役柄的なところもあるかもしれませんけど、居心地がよかったですね」と撮影を振り返る。


「『お前、こうした方がいいぞ』と教えてもらえることって、そんなに多くないので、それもありがたいなと思っていました。特に、加藤さんにはお芝居以外のこともいろいろとお話させていただいて、突然『最近、字書いてるか?』と言われたこともありましたね。『字は綺麗な方がいいぞ。練習しとけ。筆ペンがいいぞ』って、筆ペンを買った記憶があります。加藤さんも『俺も最近練習してるんだよ』とおっしゃっていて。
そういうところも含めて、これまで接してきた先輩方とはまた違うかっこよさがあるなと思っていました」

アクの強い人々の間でもまれながら奮闘する灰原の姿も、本作の見どころのひとつ。なかでも高杉は「取り立て」のシーンに注目してほしいと力を込める。

「お金を取り立てるシーンはスタッフさんの人数も多くて、そのなかで撮影するということに緊張していましたけど、灰原としては加藤さん演じる桑田さんっぽく取り立てたいなという気持ちがありました。桑田さんは灰原の直属の先輩。一緒に行動しているからこそ、その要素を取り入れたいなと。後半の取り立てシーンは、結構桑田さんに寄せていた気がします。
そういったところも含めて、現場での僕と加藤さん、役柄としての灰原と桑田さんの関係性は近いものがありました」

今回、令和版としてリバイバルされた本作は昭和、平成の名作主人公から今の時代を生きるヒントをもらおうと立ち上がった令和アウトローレーベルの第1弾。どちらかというとアウトローとは真逆の印象がある高杉に「最近、アウトローだなと感じたことは?」と尋ねてみた。

「僕にだってアウトローな部分はあるはずなんだよなぁ。……ありました! 2日間、外に出なかったこと。すごいアウトローじゃないですか(笑)。ゲーム、マンガ、寝るの3本立てでしたけど、家から一歩も出てやらないぜ!という感じが、もうめちゃくちゃアウトローですね(笑)」

また、本作では高杉以外ほぼ全ての登場人物が関西弁。
今年を振り返り、関西が舞台の作品が続いたという高杉は「『自分ずっと関西弁だよ』と思った記憶があります」と笑う。

「この『ナニワ金融道』もそうですけど、今年は作品にも恵まれたし、いろいろな新しいことにも慣れた1年だったので、楽しく過ごすことができて大満足ですね。あ、でも大満足はちょっと違うな、小満足ですね。まだ少し余白を残しておきたい感じもあるので(笑)。来年もいい作品に出会って満足できる1年にしていかなきゃいけないなと思います。プライベートなところでは、引っ越ししてずいぶん経つのに空いてないダンボールがあるので、それをちょっとずつ減らしていきたいですね。今年中にそれをなんとかしたいかな」

12月9日の3話まで公開が毎週続く映画『ナニワ金融道』。高杉は改めて本作の魅力を「お金の大事さとバカバカしさを教えてもらえる作品」だとアピールする。

「マンガの連載が始まった平成初期から令和に至るまで、長く愛される作品にはちゃんと理由があるんだなということに改めて気付かされた作品でもありました。そんな作品に関わることができて、僕自身すごくうれしく思っています。お金のことって自分で学ぶしかないものですけど、その学びを教えてくれる作品ですし、今回の令和版では時代とともに変化した部分をアップデートして、進化した『ナニワ金融道』を作りました。ぜひ楽しんで見ていただけたらうれしいです」


11月25日(金)公開 1発目『ナニワ金融道~灰原、帝国金融の門を叩く!~』
12月2日(金)公開 2発目『ナニワ金融道~銭と泪と権利と女~』
12月9日(金)公開 3発目『ナニワ金融道~大蛇市マネーウォーズ~』

(C)2022「ナニワ金融道」製作委員会

(取材・文/吉田光枝)

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