乃木坂46の31stシングル『ここにはないもの』のアンダー曲『悪い成分』でセンターを担い、アンダーライブを座長として牽引した中村麗乃は、パフォーマンス面でのレベルアップがめざましい。乃木坂のライブスキルを支える彼女の歌やダンス、外部の舞台で伸ばしてきた演技のスキルに、改めてスポットを当ててみたい。


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3期生の中村は2016年に加入。加入時は15歳で久保史緒里阪口珠美と同じ2001年生まれの世代にあたり、3期生12人の中でも年下組。3期生だけでの舞台『3人のプリンシパル』(2017年)において、観客が投票して配役が決まる公開オーデイションのこの公演で、投票によりメインキャラクター3役全てを経験する。この頃からすでに舞台度胸を身に着けていたようだ。

2019年には舞台『逆転裁判~逆転のGOLD MEDAL~』で原作ゲームでもおなじみの綾里真宵として出演、2年後の同シリーズでも同じ役を演じた。

2020年からはミュージカルへの出演が続く。
2020年に『SUPERHEROISM』、2021年には『October Sky-遠い空の向こうに-』に出演、ソロナンバーも任される。

2022年10月23日放送の『乃木坂工事中』ではアドリブ企画「目指せ大女優!乃木ザカデミー賞」で、「初めて人間になった人魚の気分」というお題を、セリフ回しもミュージカル風になって表現。海辺でのロケだったが、役に入りきるスイッチの切り替えが巧みで、「海で泳いでいる友達にサメがいることを知らせる」というお題でも迫真の表情を見せていた。

これらの経験が乃木坂のライブや楽曲でも活かされ、また在籍年数とともに自身のポジションも上がっていく。2021年5月のアンダーライブでは齋藤飛鳥のソロ曲『硬い殻のように抱きしめたい』をカバーし、22年3月に3日間にわたって開催された29thアンダーライブ(横浜・ぴあアリーナMM)でも、自身の選曲で『何度目の青空か?』をソロで歌い、長い手足を活かしたダンスでも存在感を示した。好きな曲に挙げ、やはりミュージカル出演豊富な先輩・生田絵梨花のセンター曲を歌い上げ、少人数のアンダーライブならではのファンが歓喜するライブシーンになった。


今年2022年の『真夏の全国ツアー2022』では広島公演2日目に『羽根の記憶』カバーメンバーのセンターを担当。『硬い』『何度目の青空か?』『羽根の記憶』とバラード曲で歌声を響かせながら、ラテン調の激しいアンダー曲『Under`s love』でもメンバーに加わり、ダンス・歌ともに乃木坂に欠かせないバイプレイヤーぶりだ。

期別曲やアンダー曲以外で、中村が初のユニット曲入りを果たしたのが昨年の28th『君に叱られた』Type-B収録の『もしも心が透明なら』。梅澤美波(170cm)・中村(167cm)・早川聖来(164cm)・松尾美佑(167cm)と高身長メンバーが集まり、MVでの前衛的な映像美とともに中村のスタイルのよさも目にとまるようになった。

アンダーライブでの活躍もあっての『悪い成分』では1番出だしからのソロパートで澄んだ歌唱を聴かせ、MVの随所で見せる大人びた表情、映像ラストに見せた不敵な笑みもファンの脳裏に残り、スーツスタイルの黒い衣装も似合っている。加入時はまだ子どもっぽさもあった彼女もクールな中堅メンバーになり、6年間で卓越したライブスキルを体得、今回の10人という少数精鋭でのアンダーライブをリードするに至った。


31thでは『悪い成分』の他にも、Type-D収録の『甘いエビデンス』の歌唱メンバーに選ばれている。顔ぶれは中村のほか伊藤理々杏・久保・柴田柚菜・林瑠奈の5人。仲良しで中村と同じく舞台経験もある伊藤にグループ随一の歌姫の久保、やはり歌が得意な柴田に表現力にたけた林、という実力派ぞろいの中で、70~80年代洋楽風のファンキーなナンバーを華やかに彩った。サビでの5人のハーモニーも絶妙で、バックのコーラスとのハモり具合も決まっている良曲になった。

同期生では阪口・佐藤楓も近年アンダーセンターを務めた後に久々の選抜復帰をとげ、外仕事も少しずつ増えてきた。人数面でも4期生・5期生を引っ張っていく3期生への期待は尽きない。
アンダーライブを長年支えた和田まあやが卒業し、この期がライブをリードする立場でもある。中村個人のファンや、アンダーメンバーにも詳しいコアな乃木坂ファンなら彼女の実力は知るところだったが、ユニット曲やライブでの出番はさらに知名度を広げるチャンスでもある。この31thでの活動がさらなるブレイクにつながれば、初の選抜入りも夢ではないだろう。

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