いよいよ明日からに迫ったTOKYO IDOL FESTIVAL 2019(8月2日~4日)。200組を超える出演アイドルの中に、今年も多くの初出場グループが名を連ねている。
中でも注目のグループ9組を、アイドルシーンに精通する音楽ライター・南波一海氏に聞いた『月刊エンタメ』7月号掲載の記事を特別公開。この中から令和のアイドル界を代表するアイドルが生まれる可能性も!

◆1 ZOC(ゾック)「曲者しかいない超個性派オールスター」

過去のTIFではアプガとコラボを果たしたりもしている超歌手・大森靖子を中心に結成されたグループ。メンバーは大森と生ハムと焼うどん(現在は断食=活動休止中)の西井万理那以外はミスiD出身者で構成されていて、少年院上がりの戦慄かなのをはじめ、強烈な個性の持ち主が名を連ねています。メンバーのSNSのフォロワー数の合計は100万を超えており、現時点で発表されている初出場組のなかでは突出したインフルエンサーぶり。曲者ぞろい、というか曲者しかいない超個性派オールスターといったところ。TIFのステージでも間違いなく大きな衝撃をもたらしてくれると思います。


◆2 鶯籠(とりかご)「今年の初出演枠、注目度ナンバーワン!」

そらく多くの人が今年の初出場組の注目株として名を挙げるのがこの鶯籠ではないでしょうか。鶯谷のライブハウスVALLEY×VALLEY×TOKYOを根城に活動するグループで、2018年に結成してすぐにシーンのなかでメキメキと頭角を現していきました。オルタナティヴロックを軸とした確かな音楽性とキュートかつ妖麗なビジュアルイメージ、そして太っ腹なフリーライヴを武器に怒涛の勢いで躍進し、現在は東京のみならず名古屋、大阪、仙台、沖縄と着実に活動の場を広げていっています。ノリに乗っている彼女たちをこのタイミングで目撃しておいて損はないはず!

◆3 BLACKNAZARENE(ブラックナザレ)「アンダーグラウンド×アイドルの融合」

2018年結成。美月リカプロデュースのレーベル「BABY TRACKS」からの刺客。「THUG×kawaii」をコンセプトに掲げるグループです。
相反しそうな2つの要素を掛け合わせているのがユニークですが、本当にサグくて(※ヒップホップ界でワルっぽい雰囲気の意)キュートなのでその名に偽りなし! ドーリーなルックスの村田実果子をはじめ、ビジュアル面の作り込みが唯一無二。楽曲はヘヴィーでダークなロックが軸で、グループ名の由来となっているブラックナザレ祭(黒いキリスト像を神輿のように担いで街を練り歩くというフィリピン・マニラの宗教行事)のような熱狂をこの夏巻き起こしてほしいと思います。

◆4 OBP「確かな実績の進化系モデルアイドル集団」

もともとのグループ名は「OBP☆オキナワ美少女プロジェクト」。沖縄発の美少女集団です。「“カッコイイ”と“可愛い”が両立した見た目と幅広いパフォーマンスで、積極的に笑いも取りにいく、まさに進化系モデルアイドル集団!」とのことで、昨年の汐留ロコドル甲子園で勝を果たした、確かな実績の持ち主。メンバーの年齢がかなり幅広く、バラエティに富んだパフォーマンスを見せられるのが大きな特徴。
電車のなかのマナー違反やつり革広告に疑問を投げかける問題作『あっち向いてホイ』はインパクト大なので、大きなステージで衝撃を与えてほしいです。

◆5 WT☆Egret(ホワイトイーグレット)「姫路市の由緒正しきご当地アイドル」

先に挙げたOBPもそうですが、ローカルアイドルを一挙に見られるのはTIFの大きな魅力の1つだと思っています(この原稿を書いている現時点では地方勢はまだまだ少ないのですが最終的にはかなりの数になると期待してます!)。兵庫県姫路市のKRD8の妹分がこのWT☆Egret。全国選抜LIVEの近畿ブロック優勝者で、グループ名の由来は白鷺城こと姫路城から。グループ名もさることながら、奇をてらわないオーソドックスでノリの良い楽曲と全力のパフォーマンスはこれぞ由緒正しきロコドル像という印象。僕は『カスケード』というファンキーな曲が好みです。


◆6 真っ白なキャンバス「青春ど真ん中のエモくて刹那なステージ」

グループのコンセプトは「重なり合ったそれぞれの色は、真っ白な光になる。そんなキャンバスに夢を描いてゆく」。エモーショナルな楽曲と懸命なパフォーマンスに刹那の輝き、つまり青春を強く感じさせるグループ。雰囲気を知るには丁寧に作り込まれたMVを観るのもいいのですが、おすすめはファンカム映像。もしやほぼすべてのライブが記録されているのでは……と思ってしまうほど膨大な数の映像がYouTubeに上がっているので、それをチェックするとメンバーの魅力とステージの熱狂の度合いが伝わるかも。予習してから本番に臨みましょう!

◆7 MELLOW MELLOW(メローメロー)「歌唱力とダンス力抜群、楽曲はどれも絶品」

SENA、MAMI、HINAによるトリオ。
SENAとMAMIはそれぞれさんみゅ~でも活躍する新原聖生野田真実。2017年冬に結成なのでグループとしては新人の範疇かもしれませんが、メンバーのキャリアで言えば2/3はベテランの域に達しているわけで、歌唱力とダンス力は言わずもがな。楽曲はどれも絶品。とりわけ、フィロソフィーのダンスでも辣腕をふるう宮野弦士が提供した『ガールズアワー』『マジックランデブー』『グレフル』『シュガシュガ』『アテンションガール』『Dear My Star』はどれもグルーヴィーで、これらがTIFのステージにどう映えるのかは楽しみです。

◆8 SKOOL GIRL BYE BYE(スクールガールバイバイ)「カルチャー色濃厚で音楽好きはハマる!?」

今年1月に活動を開始したばかりで、おそらくはナンバーガールのファーストアルバム『SCHOOL GIRL BYE BYE』から名前をつけた大胆不敵なグループ。曲名も『ザ・ワールドイズマイン』『ブレックファストクラブ』といった具合にカルチャー色濃厚。
オルタナ~シューゲイズな楽曲群、激しい曲調に比してクセの強過ぎないヴォーカル(≒不自然にシャウトしたりせずアイドルらしさを保っている)の組み合わせは好きな人にはたまらないものがあると思います。ズバリ全曲おすすめですが、強いて挙げるとすれば、曲名からはまるで想像つかないという意味で斬新な『カントリーロード』。

◆9 クマリデパート「人気、実力を誇るがまさかのTIF初出場」

個人的には「え? 初出場だったんだ!」と驚いてしまうくらい意外でした。人気、実力で言えばとっくに出ているものかと……。Maison book girlでおなじみのサクライケンタがプロデュースをしているのですが、音楽的には変拍子やアヴァンギャルドな要素は少なく、清く正しく可愛らしいアイドル像を真っ直ぐに追求しています。メンバー変遷は紆余曲折あったものの現在は4人組で抜群の安定感を誇り、初のアルバム『ココデパ!』をリリースして波に乗っている時期。念願のTIF出場で並々ならぬ気合いも入っているようなので、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれることでしょう。

▽南波一海(なんば・かずみ)
音楽ライター、音楽レーベルPENGUIN DISC主宰。著書に『ハロプロ スッペシャ~ル』『ヒロインたちのうた』(ともに音楽出版社)など。