先日発売された約7カ月ぶりとなる新曲『FRUSTRATION』は新センターに古畑奈和を迎え、これまでにないサウンドとダンスで新生SKE48を象徴するシングルとなった。選抜メンバーの中で、異なるアイドル道を歩みながら「歌唱力」という武器で心を通わせたのが、2期生の高柳明音と7期生の野島樺乃だ。
2人が考える“新しくなったSKE48”とは。(『月刊エンタメ』9月号掲載)
──2人の関係というと、今年1月の「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」と、4月の舞台「ハムレット」ですよね。

高柳 そうです。「歌唱力」の前から少しずつ話すようになって、一気に距離が縮まりました。SKE48は7人しか立候補してなくて参加者が少なかったので、「全員で決勝大会まで残ろう!」って。

──全参加者は155人だったのに、なぜそんなに少なかったんですか?

高柳 みんな考えすぎたんです。「恥をかいたらどうしよう」って。誘ったんですけどね。その割には好成績で、7人中4人が決勝大会に進出できて。

野島 それもうれしかったです。「みんなで残ろうね」と話していて、4人も残れたのが。

高柳 決勝の日は楽屋で4人並んで座って、思い思いに過ごしていました。


野島 私はとんこつラーメンを食べてから本番に臨みました。喉にいいって、May J.さんが言ってたから。

高柳 そうなんだ! それを言ったら、私がミルクティーを飲んでいたのは、三浦大知さんが飲んでるって聞いたからだよ(笑)。

──とんこつラーメンのおかげで、見事勝しましたね。

野島 想像していなかったです。

高柳 私は決勝の歌を聞いて、「かの、行ったな」と思ったよ。

野島 1曲目は楽しく歌えたんですけど、2曲目はあんまり……って感じだったんですよ。その後、放送を何度も観たんですけど、「うーん……」みたいな出来栄えで。

高柳 あの日の私は喉の調子が悪くて。曲順を変えたんですよね。でも、いい経験ができました。何位だったかは分からなかったけど、惜しかったみたいです。


──そして、「ハムレット」でさらに距離が縮まった。

高柳 そうですね。かほ(佐藤佳穂)と3人で時間を過ごしていました。

野島 3人のLINEグループがあって……。

高柳 くだらないことをね……(笑)。かほのやばいスクショを貼ったりして。すごく面白かった。

──高柳先輩はどんな人ですか?

野島 お姉ちゃんみたいな存在です。以前から好きだったんですけど、後輩にも気を遣わせないところがあって、同じ目線で話してくれる人です。以前、チームのことで悩んでいるとき、「最近どうなの?」と相談に乗ってくださったことがあって。よく見てくれている先輩だなと思います。

──年齢差は?

野島 私は17歳です。


高柳 うわー、10歳も違うんだー! えっ、17なんだ! わー、そっかー。私が入った年齢だー……。

──そんなに悲しい顔をしないでください(笑)。

高柳 私から見てかのは、負けず嫌いだなと。私がレギュラー番組『SKE48 ZERO POSITION』のライブのセットリストを組んだとき、かのを前の方のポジションに置いたことがあって。そのレッスンを見ていて、少し物足りなかったんです。そこで、「私はあなたたちに期待しているから、このポジションに置いたのよ、だから、もっと踊ってほしい」と言ったんです。「あー、嫌われたなー」と思ったんですけど、後日聞いてみたら、「あんなことを言ってもらえることはないから、うれしかったです!」と言ってくれて。

野島 言われなくなったら終わりですから。

──野島さんは初選抜を知ったときは?

野島 入ってから4年ちょっと経つんですけど、ずっと選抜を目指してきました。このタイミングで入れると思っていませんでした。

高柳 いいタイミングだと思うよ。
入れなかったらおかしい。私、今回珍しく初選抜の後輩たちにLINEしました。

野島 MV撮影で初めて海外に行きました。ちゅり(高柳)さんに必要なものを聞いて。

──「歌唱力」優勝のご褒美のソロ曲もあるそうで。

野島 『夢の在処へ』というタイトルです。卒業ソングかなと思うくらい、私のこれまでが詰まっているような歌詞で、いただくことができてうれしいです。

──今回の選抜メンバーの顔触れ、2期生の目にはどう映りますか?

高柳 新鮮味があります。若い子が一気に入ってきて。センターが替わったこともあって、見え方が違ってくるかな。衣装もこれまでとテイストが違うし、全体的に新しくなったなと思いました。SKE48をリセットというと大げさですけど。


──「新しくなった」というのは、このシングルだけじゃなく、空気として感じられることだと思います。運営会社も新しくなったし、平成から令和になって1発目ということもあって。

高柳 『意外にマンゴー』でセンターが替わったときが「第1章」の終わりで、今は「第2章」をしっかり固めている感じです。新しいものを積み上げて、形そのものを新しくしている……っていうイメージです。

野島 新曲が出る度、ライブをやる度、階段を上っている感覚はあります。

高柳 進化しているってことだね。

──今年は選抜総選挙が開催されませんでした。さらには指原莉乃さんもHKT48を卒業。そういったことからも、時代の変わり目だなと感じます。

高柳 総選挙がないんだなっていうのは、ふとした瞬間に気づくものなんです。自分の物語の軸に総選挙があったから、その物語が途切れてしまうという意味で寂しさはありました。でも、総選挙がない日々を過ごすみんなって、明るいんです。
総選挙期間中はどうしても他のメンバーのことが気になってしまうじゃないですか。だけど、そういったことを気にしなくてもよかったので、仲間としての団結が強くなりました。「あの子を褒めると、ファンの方が流れちゃうかも」とか考えなくてもいいわけですから(笑)。

野島 私としてはランクインしたことがなかったので、複雑です。なくなったと聞いたときは喪失感がありました。でも、総選挙がなくても自分の力で活躍できたら、という考えに変わりました。

──来年は開催された方がいいと思いますか?

高柳 難しいですね。今年開催されていたら、過去最高順位を目指して本気で頑張ろうと思っていました。来年もし開催されたとしても、1年空いてしまうと、ファンの方の気持ちを惹きつけるのは難しいということは、いろんなメンバーを見ていて分かっているので……。

野島 難しい問題ですね。

──最近の48グループは、自力で結果を残す方向にシフトしている気もしているんですよね。

高柳 総選挙で運命が変わる子もいれば、総選挙じゃないイベントで、かのみたいに自力で勝ち取る子もいるじゃないですか。私はかのをリスペクトしたいです。歌唱力決定戦のような、メンバーがチャンスをつかめる企画が増えるといいですね。

野島 私は歌うことしか特技がないんです。そんな私が大きなチャンスをいただけているのはとてもうれしいことだし、こうして特技をチャンスに変えることができたら、いろんなメンバーの励みになると思います。ファンの方も、自分の推しが自力で何かを勝ち取るのはうれしいと思うんですよね。

──「歌唱力」の後、ファンの人は美酒に酔ったんじゃないですかね。

野島 その報告は受けています(笑)。

高柳 ファンの方にとって、自分の推しの才能が世間に認められるっていうのはうれしいことだよね。かのはメンバーとファンの人に希望を与えたんだよ。

──歌唱力を活かして、「歌うま系」の番組に出たいとか思いませんか?

野島 出たいです! 小さい頃、応募したけど、通らなかったんです。

高柳 歌うま系のオーディションに受かるのは大変だよね。曲を完全に覚えて自分のモノにして挑まないといけないから。

野島 そうですよね。今後はミュージカルにも出てみたいです。

高柳 そうやって声に出した方がいいと思うよ。どんなスタッフさんの耳に届くか、分からないからね。

野島 積極的に声に出していきます!

(取材・文/犬飼華 撮影/武田敏将)
▽高柳明音(たかやなぎ・あかね)
1991年11月29日生まれ、愛知県出身。B型。2期生。チームKII所属。ニックネームは「ちゅり」。

▽野島樺乃(のじま・かの)
2001年9月6日生まれ、愛知県出身。O型。7期生。チームS所属。ニックネームは「かのちゃん」。
編集部おすすめ