格闘家・朝倉未来のYouTube動画「高級車で見知らぬ人を無料タクシーしてみた」への出演をきっかけに注目されるようになった、まさに現代のシンデレラ・ストーリーを持つモデル・美月が、初写真集『lxxe myself(ラブ マイセルフ)』(宝島社)を発売する。「今の自分にできることはすべて出し切りました」と胸を張る写真集撮影の裏側と、いまだに謎のベールに包まれる素顔についてディープに語ってもらった。


【写真】朝倉未来が発掘した話題の美女・美月の撮りおろしカット【10点】

動画では、運転手となった朝倉がダメ元で金髪美女に声をかけたところ、ピックアップに成功。早稲田近辺から表参道まで送迎する間、「え? もともとモデルやっていたの?」「俺がプロデュースするので、自分のYouTube始めてみたらどうですか?」と話はトントン拍子に進んでいく。そして降車する頃には朝倉のアパレルブランド・Matin Avenirでモデルをやることが決定するというドラマがあった。

そもそも、朝倉に出会う以前の美月はどんな人生を送っていたのか?

「モデルになった理由は軽いんですよね。学校の5教科が嫌いだったので、勉強しなくてもいい仕事はないかなと考えているうちにモデルを目指すようになりました(笑)。中学生のときは『Seventeen』(集英社)と『Popteen』(角川春樹事務所)が愛読書だったので、両方のオーディションを受けたんです。『Popteen』はファイナルまで進んだんですけど、ダメでしたね。ただ、その過程で前の事務所にスカウトされてモデルになったという感じです」

一方で学校生活には馴染めないまま、教師という立場から理不尽に物事を押し付けられるたびに疑問と怒りを感じていた。中学卒業後はデザイン系の高校に進んだものの、授業中は基本寝ているだけ、学校外でOBや当時の仲間たちと青春を謳歌しているような日々だった。

「芸能活動を本格的に開始したのは、高校卒業後です。ECモデル、テレビドラマの端役、番組レポーター……来る仕事は全力でやらせていただきました。ただ、そんなときにバイク事故を起こしてしまったんですよ。
恥骨、長骨、左手の中指と薬指が折れる結構な大怪我でした。病院へ向かう救急車の中で考えたのは、『明日の撮影に穴を開けては絶対いけない』ということ。這ってでも現場に行くつもりでしたが、とてもじゃないけど無理でしたね。事故はアクシデントだから仕方ないのかもしれないけど、事務所にはバイクに乗っていたこと自体を伝えていなかったから『どういうこと?』って冷静に詰められました(苦笑)」

ここは美月にとって大きな人生の分岐点だった。高校卒業後に夢を抱いて上京したはいいが、芸能の仕事だけで生活できるわけではなく、飲食やフィットネスジムなどのアルバイトを2~3個掛け持ちする毎日。こうなると、演技のレッスンも受けながらも「これが私の本当にやりたいことなのかな?」と迷いが出てくる。美月は事故をきっかけに意を決して、事務所を辞めることにした。

「まだ21歳になったばかりだから、今ならまだ別の道でやり直しが効くんじゃないかと思ったんです。知り合いが業界にいたこともあって、デザインを仕事にしようと実際に動き始めていました。そんなタイミングだったんですよ、未来さんにYouTubeの撮影で声を掛けられたのは。

今思うと大変な“事件”だと思うんですけど、そのときは目の前で起きていることがピンと来ていなかったというのが正直なところですね。だから緊張もしなかったし、動揺することもなかった。
未来さんのブランドでモデルをやることが決まっても、正直、そこに責任感みたいなものはなかったかもしれない。もちろんやるからには頑張るという気持ちはありましたが……」

そこからは人生が一気に花開き始めた。Instagramのフォロワーは5日で10万人を突破し(現在は20万人超)、YouTubeやTikTokでもすさまじい数字を記録。関西コレクション出演や雑誌でのグラビアも含め、八面六臂の活躍を繰り広げていったのである。

「応援してくれる方がいるということは、アンチも増えるということ。『朝倉未来がいないと何もできないくせに』とか言われることはしょっちゅうです。こういう立場で言うのもおかしな話ですが、本来は私、目立ちたがり屋ではないんですよね。芸能のお仕事をやっていなかったら、SNSなんて絶対やらなかっただろうし。そのへんは裏方志向が強い未来さんと似ているかもしれない。ただ、やっぱり未来さんの顔を潰したくないという気持ちはすごく強いです。『朝倉未来も見る目がないな』と言われたら、私だけの問題じゃなくなりますから」

RIZINで圧倒的なKO劇を量産し、「路上の伝説」と称される朝倉だが、美月の前に立つと顔が緩むのはファンにお馴染みの光景。ときには熱愛説が囁かれることもあるが、「それだけはない」と美月本人は首を横に振る。


「好きな男性のタイプですか? 自分の目標をしっかり持っていて、本当の意味で優しい人がいいかな。私、つき合い始めると長いんですよ。高校時代も3年間ずっと同じ彼氏でしたし。でもその人は相当なレベルのダメ男だったので、それ以来、恋愛することに臆病になっている面はあるかもしれない(笑)。いずれにせよ、今はお仕事が忙しくて恋愛どころじゃないです!」

出版社から写真集の話が持ち込まれたとき、まず心に浮かんだのは「私の身体に需要なんてあるの?」という不安だった。しかし世の中にモデルはごまんといるが、写真集を出せるのはほんの一握りの存在。これが大きなチャンスであることは間違いない。相談を受けた朝倉はいつものように「やりたければ、やれば?」というスタンスだったが、美月本人の挑戦する気持ちは抑えられなくなった。

「まずは自分磨きをしなきゃと思い、トライフォース赤坂(朝倉の所属ジム)を含めて3つのジムに通いまくりました。水着になる以上、ボディメイクを頑張るのは当然のこと。特にヒップを重点的に鍛えたので、そこは注目していただきたいですね。YouTubeでもモデル活動でも見せたことがない“素の美月”が、ページをめくるたびに出ているんじゃないかな。
恥ずかしさもあるけど、それよりも1人でも多くの方に見ていただきたいという気持ちでいっぱいです!」

今後はデザインの仕事や商品プロデュースにもチャレンジしたいと目を輝かせる美月。シンデレラの可能性は無限大だ。

(取材・文/小野田衛)
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