俳優・松下洸平の勢いが止まらない。そのあまりの絶好調っぷりに、ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)ではまさかの理由で“黒幕説”が浮上していたほどだ。


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同ドラマで松下が演じていたのは、主人公・九条里奈(松岡茉優)の夫役。物語序盤はドラマの本筋にほとんど関わらないキャラクターだったため、「松下洸平にしてはチョイ役すぎる」などの声が相次いでいた。

そこで視聴者が考えたのが、実は松下が黒幕なのではないか……とする説。「松下が演じるキャラがただのチョイ役で終わるわけがない」という、いわゆる“メタ読み”に近い強引な予想だが、つまりはそれほど松下が人気だということなのだろう。

確かに最近の松下はドラマや映画に引っ張りだこなので、「物語上の重要なキャラクターに抜擢されるはず」といったイメージが持たれるのも頷ける。

10月からはフジテレビ系の新ドラマ『いちばんすきな花』での主演が決まっているほか、9月5日には松下が本人役を演じる『TVer』初のオリジナルドラマ『潜入捜査官 松下洸平』の配信も始まった。
他にも現在公開中の映画『ミステリと言う勿れ』に出演するなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を見せている。

しかしそんな彼にも、本当に“チョイ役”を演じていた下積み時代があった。むしろこれまでの活動を振り返ってみると、どちらかと言えば遅咲きの俳優に分類されるだろう。

例えば2015年1月期の月9ドラマ『デート~恋とはどんなものかしら』(フジテレビ系)では、第3話で描かれたカップリングパーティーのいち参加者として出演。公式サイトの登場人物欄やあらすじにも載っていない、いわゆる“モブ”に近い役どころで、出演時間も1分だけチラッと出てきた程度だ。

ちなみに同ドラマの主演である杏とは、その後『世にも奇妙な物語 ’20夏の特別編』(フジテレビ系)にて姉弟役で再共演を果たしている。
ただドラマ『デート』があまりにチョイ役だったため、松下は再共演の際、杏に「ご無沙汰しております」と言う勇気が出なかったそうだ。

また2022年に放送された『ボクらの時代』(フジテレビ系)では、それより以前の下積み時代について明かしている。松下はもともとシンガーソングライターとして活動していたのだが、デビューしてからはつらい時期が続いたという。その後「俳優やってみないか?」と誘われる形で、10年ほど舞台をメインに活動。決してトントン拍子に人気が出たわけではないようだが、彼は番組の中で「紆余曲折あっての今だから」と前向きに語っていた。

そんな松下の名前が世間に広まったきっかけの一つに挙げられるのは、やはり2019年放送のNHK連続テレビ小説『スカーレット』だろう。
同ドラマで松下は、主人公である川原喜美子(戸田恵梨香)と結婚する誠実な青年・十代田八郎役を熱演。しかし八郎役で朝ドラ初出演を果たすまでにも紆余曲折があったようで、それまでに何度もオーディションに挑戦するもことごとく落選していたそうだ。

とはいえ苦労して役を掴んだ朝ドラの効果は凄まじい。実は竹野内豊主演のドラマ『素敵な選TAXI』(フジテレビ系)では、第2話に警察官役として出演していたが、2014年に放送された当初は、そこまで彼に注目する視聴者はいなかったように思える。

ところが『スカーレット』で八郎役を演じた後、2020年4月にドラマ『素敵な選TAXI』が再放送された際には、「八郎だ!」とネット上が大盛り上がり。『スカーレット』で“八郎沼”に沈んだ視聴者たちが味方になり、より知名度を広げていった印象だ。


そして長い下積み生活に裏打ちされた演技力もあり、今や押しも押されぬ人気俳優に。昔はチョイ役ばかり演じてきた松下が「松下洸平がチョイ役を演じるわけない!」と黒幕にされてしまうのは、少し感慨深いものがある。

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