8月21日(水)、NGT48の西村菜那子が出演する舞台「家族のはなし」の東京公演がスタートした。これは、2013年、信濃毎日新聞の企画で制作されたパラパラ漫画が原作で、手がけたのはパラパラ漫画家としても有名な鉄拳だ。

昨年、この作品は舞台化され、今回はその再演となる。長野県出身のよしみで声がかかった西村を初日公演の直前に直撃した。「舞台に出るのは初めて」と話すNGT48の1期生は、どんな思いで緊張の初舞台に臨むのか。

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──舞台のオファーがあったと聞いて、どう思いましたか?

西村 ビックリしました。でも、NGT48が厳しいご意見をいただいている中で声をかけていただいたのはすごく嬉しかったです。だからこそ、自分だけじゃなくて、NGT48の看板を意識してやらないといけないなと思いました。

──初めてのお芝居という面でも思うところがあったのでは?

西村 稽古が辛すぎました。演出家の方に注意していただけるのは嬉しいことなんですけど、自分のせいで他のキャストさんに練習を付き合わせてしまっているのが申し訳なくて。稽古で緊張したぶん、長野県大町市(鉄拳の故郷)での初日は緊張しなかったです(笑)。

──知らない人の中に入っていって、すぐ打ち解けられるほうですか?

西村 全然ダメです(笑)。私、人見知りなんですけど、バレてないと思っていたんです。だけど、とあるキャストの子に「写真撮ってくれますか?」と言われて撮ったら、それをツイッターに上げてくれて。
「菜那子ちゃんはいつも稽古場の隅にいる。でも、話したら面白い」って書かれて。「あっ、人見知りバレてた」と思って。

──なんで隅にいたんですか?

西村 みんなに迷惑をかけていると勝手に思ってしまっていて。こんな私でごめんなさいという気持ちになっていたんです。

──舞台で共演するチーム8の高橋彩香(※「高」は「はしごだか」が正式表記)さんとはどんな関係ですか?

西村 彩香ちゃんとは一度お仕事をご一緒したことがありまして。AKB48のアルバムが発売された時、全国各地でお渡し会をしたんですけど、長野県代表として2人で長野に行ったんです。そこで仲よくなって、連絡先も交換していました。彩香ちゃんは去年舞台を経験していることもあって、すごくお芝居が上手です。私がへこんでいた時、「私もキャストに迷惑をかけていると思っているんだ」と、お互い励まし合っています。

──家族がテーマの舞台ですが、どういう時に家族を思い出しますか?

西村 鏡が汚くなった時(笑)。一人暮らしを始めてから、洗面台の鏡が汚くなっていって。
お母さんってこんなところまで掃除をやってくれていたんだと気づいたんです。そう感じると会いたいなと思います。

──今、どういう気持ちで仕事というものに向き合っていますか?

西村 最近は後輩に何か残したいなと思うようになりました。もう22歳で、NGT48では上から2番目なので、先輩としての自覚が徐々に芽生えてきたんです。今、NGT48はこういう厳しい状況になったので、外仕事をいただいている身として、ここだけで終わらないように、私から枝が生えていくように、後輩につながっていったらいいなと思っています。私がこの舞台に立つことで、「じゃあ、来年はNGT48の他の子にしてみよう」というふうに、後輩に仕事が繋がったらいいなって。

──長野での初日では、お客さんの前に立つ喜びを感じたんじゃないですか?

西村 劇場公演もしばらくやっていなかったので、お客さんの前に立つのは本当に久しぶりでした。私はステージに立つことが好きなんだなと実感できました。その翌日、新潟での劇場公演が再開したんですけど、NGT48のメンバーLINEに、「ここを重点的にやろう」「ここを合わせよう」とか意見が頻繁に飛び交っている状況でした。メンバー間で高め合っているのが、舞台の稽古で新潟を離れている私にもわかったので、私も頑張らなきゃなと思いました。

──新公演はどうでした?

西村 まず再開したことが嬉しかったです。私たちを待っていてくださる方がいらっしゃるのも感動しました。
ありがたいことに新衣装を作ってくださったりもして、裏切っちゃダメだなと思いました。

──お客さんの雰囲気は?

西村 温かかったです。中には、「昨日、舞台の初日いたよね」っていう方もいらっしゃって(笑)。今後は、まずは劇場を大事にして、ゼロからスタートしていけたらなと思います。

東京公演は8月25日(日)まで行われる。会場は品川区の六行会ホール。最終日のチケットは完売となったが、その他の公演は当日券が出る。西村は主人公の同級生・吉村真紀役。AKB48チーム8長野県代表の高橋彩香(※「高」は「はしごだか」が正式表記)も矢野陽子役で出演する。

NGT48西村菜那子、舞台東京公演がスタート「芽生えた先輩の自覚、後輩に仕事をつなげたい」
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