10月20日から22日の3日間、AKB48が日本武道館でコンサートを開催した。初日には、第3期メンバーで17年間在籍している柏木由紀の卒業発表があり、最終日には、第19期オーディションの開催が発表されるなど、まさに、何度目かのAKB48の大きな節目、転換点となるようなコンサートだったのではないだろうか。


【写真】大好きな駅弁に舌鼓、満面の笑顔を見せる岩立沙穂【14点】

特に、今年は「異例の卒業ラッシュ」と言われ、柏木の卒業発表で35人目。エース本田仁美も来年1月での卒業を発表しており、AKB48の今後を心配する声も多く聞かれていた。しかし、そんな声をも吹き飛ばすような新たな試みが満載だった今回の武道館コンサート。3日間毎日異なるセットリストが組まれ、AKB48のこれまでの歴史とこれからの可能性を存分に感じられる内容となっていた。しかも、『ポニーテールとシュシュ』や『ヘビーローテーション』、『恋するフォーチュンクッキー』といったビッグヒット曲に頼ることなく、劇場での人気曲や隠れた名曲と言われるような楽曲が盛り込まれたセットリストに、新旧の多くのファンが歓喜した。

特に印象的だったのは、座長的な役割で、3日間立ち振る舞っていた小栗有以の姿だったが、選抜メンバーのみならず、全メンバーにスポットライトが当たるような構成と演出も注目すべきポイントだったと言っていいだろう。


17年間在籍していた3期生の柏木が卒業すると、次に歴が長いメンバーは12期生の最後の1人、佐々木優佳里まで一気に飛ぶ。柏木がどれほどの長い期間、AKB48の発展と成長に貢献し続けてきたのか、お分かりいただけるだろう。

12期生の佐々木の在籍期間は約12年半。次の13期生メンバーの在籍期間は約12年だ。13期生は、現在も3人のメンバーが在籍しており、武道館コンサートでも大いに存在感を放っていた。今回は、柏木が抜けた後のAKB48を、時に前から引っ張り、時には後ろで支えることになるであろう、そんな13期生の3人に注目してみたい。


まずは、村山彩希。何度も選抜メンバー入りしている村山は、3代目総監督の向井地美音、今年4月に卒業した岡田奈々、そして、既に卒業を発表している茂木忍との4人で、「ゆうなぁもぎおんチャンネル」というYouTubeチャンネルを展開。4人で企画し、撮影・編集もこなすなどのYouTuber的な活動もしつつ、「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」では、決勝の常連メンバーとして名を連ねるなど歌唱力にも定評があるメンバーだ。

さらには、TBS系の「SASUKE」にも出演。日々、ストイックにトレーニングに取り組んでいることでも知られている。そして、そんな村山を語る上で欠かせない一番のストロングポイントは、「シアターの女神」との異名を持ち、AKB48劇場への圧倒的な出演回数を誇っていることだろう。
シングル表題曲でのセンターこそないが、安定の選抜メンバーとして、総監督の向井地や小栗と共に、これからのAKB48の更なる飛躍には欠かせないベテランメンバーの1人。新体制移行後の劇場公演でも、後輩達をぐいぐい引っ張っていく姿に期待したい。

続いて、同じく13期生の岩立沙穂。かつて、チームBのキャプテンも務めた岩立は、現在、女優の武田玲奈らが所属する事務所TRUSTARに所属。個人での活動も精力的に行っており、「駅弁」好きが高じて連載を持つなど仕事の幅も拡げている。また、安定のトーク力も魅力で、ラジオなどでも活躍。
最新シングル『アイドルなんかじゃなかったら』のカップリング曲『君は僕を覚えてるかな?』で、浅井七海とWセンターを担当した岩立は、リリースタイミングに、全国ネットのラジオ番組にAKB48を代表して1人でのゲスト出演も果たしている。

さらに、今回の武道館コンサートの初日に、かつての「じゃんけん大会」企画が復活したのだが、50人以上のいるメンバーの中で、勝ち抜いて最後の1人となり、『チャンスの順番』のセンターを務めたほどの強運の持ち主でもある。

ぶりっ子キャラで人気の岩立も来年で30歳。事務所のホームページのアーティスト写真は、AKB48の衣装を纏ったそれとは異なり、とても大人っぽい印象だ。今後、個人活動もますます増えてくると思われるが、女優やラジオのパーソナリティなど、新たなステージでの活躍に期待しつつ、引き続き、劇場でも変わらぬぶりっ子キャラの自己紹介や客席への煽りで盛り上げていって欲しい。

そして、もう1人の13期生の篠崎彩奈は、既に舞台を中心に女優としても活躍中で、10作品以上の舞台への出演を果たしている。
今回の武道館コンサートでは、くじ引きでユニットを決めるコーナーがあったのだが、そこでは見事、4人組ユニットを引き当て、向井地らと一緒にパフォーマンスして注目を集めた。また、篠崎は食生活アドバイザー検定、ファイナンシャル・プランニング技能検定、実用毛筆書士認定試験など多くの資格も取得する努力家だ。着実に次のステージを狙いつつも、様々な経験を後輩に共有しながら、まだまだ現役メンバーとして活躍する姿を見続けていたい。

ちなみに、岡田奈々や西野未姫らが在籍した14期生は既に全員が卒業しているが、その次の15期生は、向井地美音、込山榛香谷口めぐ、福岡聖菜の4人が現在も活躍中だ。活動の開始時期はまちまちだが、そんな15期生達もデビューして約10年。総監督の向井地の活躍は言うまでもないが、込山、谷口、福岡も個人での活動とグループ活動を両立しながら、積極的に劇場にも立ち続けているメンバーである。


「異例の卒業ラッシュ」と言われてはいるが、改めてこうして見てみると、選抜入りしていなくとも、個の力で輝かしい活躍を見せるメンバーが多数在籍していることに驚かされる。そして、何かと全盛期のAKB48や他のグループと比較されがちだが、50人以上の現役メンバー1人1人がスポットライトを浴びながら、3日間全く異なる内容での日本武道館コンサートを成功させたAKB48には、まだまだパワーと勢い、そして、層の厚さと可能性を感じざるを得ない。

本田や柏木卒業後の来年のAKB48は、間違いなく今回紹介した13期生や15期生と小栗有以らチーム8組が中心になっていくことだろう。さらに、まだまだフレッシュな17期生や18期生、そして、新たに加わる19期生達が新たな歴史を刻んでゆく。かつて、「アイドル戦国時代」と呼ばれた2010年代以上に、アイドルグループが溢れる令和のこの時代。是非、新体制のAKB48に期待し、再注目して欲しい。

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