【写真】アイドルとプロレスの二刀流で活躍する荒井優希【9点】
2024年1月4日、後楽園ホールでインターナショナル・プリンセス王座に挑むことになった荒井優希。プロレスラー、そしてプロレスファンにとって元旦を意味するイッテンヨン。規格外の最凶モンスターを打ち砕くために荒井優希が考え出したお年玉級の初夢秘策とはいったいなんなのか?
「Finallyをクリーンヒットさせることができれば、きっとマックスに勝てます!」
意外にも正攻法。必殺技のFinally(かかと落とし)で巨体をマットに沈める、という正々堂々たる王座奪取の青写真を荒井優希は描いていた。
「ただ、ひとつだけ問題があって。マックスは大きいから、ひざまずかせないとFinallyを決めることができないんですよ。あんなに大きな身体をどうすればひざまずかせることができるのか……その方法がまだ、まったく思いついていなくて(苦笑)。それができないと勝てないんですよね。う~ん……」
勝利への方程式を組み立てていく最中で大きな壁にブチあたってしまった。
マックス・ジ・インペイラーがひざまずいた瞬間、初春の後楽園ホールは最高の盛りあがりを見せるに違いない。もし、荒井優希の必殺技がスープレックスだったら、100㎏超のマックスを抱え上げるのは至難の業だが、ある程度の距離があっても放てる打撃技を磨いてきたことで一発逆転を狙えるようになったのは大きい。
ちょうど1年前、タッグのベルトを手放して、はじめて気づいたことがある。
「プロレスラーって一度、チャンスを逃すと、なかなか次のチャンスが巡ってこないんだなって。実際、こうやってマックスと闘うチャンスが来るまで1年かかっちゃったわけじゃないですか? だから、ここでまた負けちゃったら、またチャンスが遠のいちゃうのかなっていう怖さはたしかにありますね」
ここには現在の東京女子プロレスの状況も深く関係してくる。若い選手たちが急成長して、リング上の景色が変わってきていることに加え、2023年にデビューしたルーキーたちもグングン伸びてきた。数年前とは比べ物にならないぐらい選手層が厚くなったのに、ベルトの本数は変わらないのだから、チャンスの争奪戦は当然、激しくなってくる。
2024年3月31日、東京女子プロレスは両国国技館でビッグマッチを開催する。もし、1・4後楽園ホールでベルトを巻くことができれば、国技館ではチャンピオンとして防衛戦が組まれることは必至。ただ、負けてしまった場合、注目カードから漏れてしまう可能性が高まってくる。たしかに負けられない一戦、なのである。
1年前は隣にパートナーの赤井沙希がいてくれたが、いまはひとりで闘わなくてはいけない。というよりも、引退した赤井沙希の分もしっかりと雪辱を果たさなくてはいけない。
「そうですよね。ベルトを持って、昨年のリベンジができましたって赤井さんに報告できたらいいですね。いまの私にはベルトもなければ、パートナーもいない。でも、これってポジティブに考えたら、なんにも失うものがないってことなんですよ。失うものがないからおもいきっていけるし、きっと、私はそういう立場のほうが試合で力を発揮できると思うんですよ。だから、1・4後楽園はおもいきっていきます、まだ作戦は固まっていないですけど(笑)」
2023年はプロレスラーとしてもアイドルとしても多忙な1年だった。特にSKE48にとって15周年イヤー、荒井優希が加入したドラフト1期生は10周年イヤーとなったため、下半期はコンサートやイベントが目白押し。そんな中で開催された『SKE48 リクエストアワー セットリストベスト100 2023』ではセンターを務める『あの頃のロッカー』が堂々の1位を獲得。
プロレスラーより先に、アイドルとして大きなタイトルを手に入れた。アイドルとプロレスの「二刀流」で活躍する荒井優希としては、やはりプロレスでもビッグタイトルを手に入れたいところ。
「本当にそうだと思います。いまからプロレスラーとしての私を見始めてもらっても、まだ全然、間に合うので、プロレスをやっている私を見たことがない、という方にもたくさん見ていただきたいですね。いまならまだ『あの試合から、ずっとプロレスラー・荒井優希を応援してきた』と自慢できると思います(笑)。私のデビュー戦って無観客試合だったから、最古参アピールできる人っていないんですよ。プロレスラーとして最高のスタートダッシュを切りたいと思っていますので、1月4日、ぜひ、応援よろしくお願いします!』
とはいえ攻略法は未完成のまま。妙案が浮かばなかったら、圧倒的な体格差で圧し潰されてしまうバッドエンドが濃厚だ。いや、正直、その可能性のほうが高い。ただ、悔しさばかりが残った2023年の闘いを通じて、本人が気づいていないだけでプロレスラーとしての力は相当、蓄積されている。
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