陸上自衛官だった経験を生かし、元自衛官タレントとして自衛隊の広報活動を行っているかざりさん。2023年には「防衛省広報アドバイザー」に就任し、自身のYouTubeチャンネル「かざりぷろじぇくと」では、戦車や戦闘機、航空機などに乗る姿を配信している。
コスプレイヤーとしても活動しており「コミックマーケット」(以下、コミケ)にて、武装メイドやJKといったオリジナルコスプレを披露して話題を呼んだ。インタビューでは、かざりさんがコスプレに興味を持つことになったルーツから、現在のコスプレスタイルに行き着いた理由などを聞いてみた。(前後編の前編)

【写真】かざりさんの私服撮り下ろし&コスプレカット【10点】

――元自衛官タレントとして活動されていますが、大学時代は日本大学芸術学部(以下、日芸)でデザインについて学ばれていたとか。

かざりさん 昔からアニメや漫画、絵を描くのが好きで、デザインにも興味があったので、三重県にあるデザイン系の高校に通っていたんです。その高校では、美大に進学する学生が多かったため、悩んだ結果いろいろなことが学べる日芸を選びました。ただ、三重県なので京都や大阪、名古屋の大学に行く人がほとんどで、私の学年で東京の大学に行ったのは私ひとりしかいませんでした(笑)。

――ご両親からの反対はなかったんですか?

かざりさん 全然なかったです。「東京に行きたい」と伝えたら、「どんどんやってみな」という感じでしたし。むしろ「デザインや美術系のことを学ぶのであれば、1番情報量が多い東京に行くのがいい」と言ってくれたので上京しました。

――それにしてもたったひとりで上京を選ぶとは……。

かざりさん 高校生の時からあまり周りを気にしないタイプではあったんですよね。「自分がやりたいことをとにかくやる」というタイプだったので、それが後々自衛隊に入ることにもつながってくるんですけど、昔から割りとマイペースでした。


――上京当時の印象に残っている思い出があれば教えてください。

かざりさん 父が厳しかったので、実家ではほとんどテレビを観ずに過ごしていたんです。ご飯を食べる時間、お風呂に入る時間も全部決められていました。だらしない性格だったという自負はあるので、今はすごくありがたいことだなと思うんですけど、上京後は自分のペースで生活できたので「ひとり暮らしって楽だな」と感じました。

――テレビが見られなかったんですね。同級生との会話についていけなかったんじゃないですか?

かざりさん 唯一視聴ができたのはNHKだけだったので、テレビの話題がわからない時もありました。ただ、実家に本がたくさんあって、自分でも本や漫画を昔からたくさん持っていたので、特に退屈だと感じたことはありませんでしたね。それに、パソコンは使っていいという家庭だったので、中学生の時はニコニコ動画(以下、ニコ動)にすごくハマりました。イラストレーターを目指していた時期もあったので、ニコ動を見ながら絵を描いたりもしていました。それで余計にオタクの世界にハマっていきました。

――その影響もあって、コスプレも始められたと。

かざりさん コスプレを始めたのは高校3年生の頃からで、最初は男装のコスプレをしていました。
今でも大好きなんですけど、当時は『テニスの王子様』という作品にハマっていたので、テニプリ(『テニスの王子様』の略称)のキャラクターのコスプレをしたことが、コスプレを始めたきっかけです。コミケには、大学1年生の頃に初めて参加して以来、今もずっと参加しています。

――自衛官としてコミケに参加することは大丈夫だったんですか?

かざりさん 「自衛官はコミケに参加してはいけない」というルールはもちろんありません。コミケは趣味の世界ですので(笑)。ただ、自衛官の時はWAC隊舎という女子寮に住んでいて、そこには自分のロッカーが1個しかないので衣装を置けるスペースがなかったんです。そのため、自衛官時代は、コスプレ衣装は実家に置いていました。自分がコスプレしていることを、周りの先輩は知っていたのですが「コスプレしてるんだ。すごいね」という感じで、批判的な人はいませんでしたね。

――コミケでは武装メイドやJKというオリジナルコスプレを披露されていますが、この発想はどこから生まれたのでしょう?

かざりさん メイドさんや制服、女の子が好きなので、自分の好きなものを全て組み合わせた結果です(笑)。女性キャラクターが武器を持って戦うという作品が昔から好きでした。 強い女性キャラクターも好きです。それを体現したくて、武装メイドや武装JKのコスプレに行き着いたという形です。


――メイド好きということですが、メイド喫茶に行かれたことは?

かざりさん クラシカルなメイドさんが紅茶を淹れてくれる池袋の「ワンダーパーラーカフェ」というお店には行ったことがあります。萌え萌えキュンみたいなこともやってみたいんですけどね。

――そして、女の子も好きだと。どんな人が好きなんですか?

かざりさん かわいい子も好きですし、ボーイッシュな子も好きです。大学1、2年生の時にロリータ(ロリータファッション)で学校に通っていたこともあって、お姫様みたいな女の子もすごく好きですね。二次元でも三次元でも「かわいくて強い!」に憧れます。それを体現したいと思っています。

――実家にいる時はロリータを着ることができなかったから、ひとり暮らしで弾けたという感じだったんですかね。

かざりさん 弾けましたね。18歳で上京したんですけど「絶対にロリータを着て原宿に行こう!」と思っていたくらいでした。実家にいた頃から『KERA』『Zipper』という雑誌をずっと見ていたので、高校生の時からロリータが好きでしたね。

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【後編はこちらから】元自衛官コスプレイヤー・かざり、美大生が自衛隊を目指した理由「愛があればいける」
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