SKE48大場美奈が、直木賞作家・辻村深月原作「ハケンアニメ!」で舞台に初主演する。10月12日(土)から16日(水)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、10月31日(木)から11月14日(木)に東京・紀伊國屋ホールで上演される。

「ハケンアニメ!」は日本を代表するエンタメコンテンツでもあるアニメにスポットを当て、そこで働く熱い仕事人たちの活躍を描いた感動物語だ。ひとつのアニメ作品に携わるあらゆる登場人物がそれぞれの想いを胸に挫折や成功を繰り返すお仕事ストーリーになっている。今回、舞台初主演の大場美奈に「ハケンアニメ!」に懸ける思いを聞いた。

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──舞台初主演おめでとうございます。まずは今回の舞台の話を聞いた時の感想から伺いたいのですが。

大場 辻村深月さん原作、G2さんの脚本・演出、共演者の方々が大先輩、紀伊國屋ホール……もう全てのレベルが高すぎて、ただただ驚きました。紀伊國屋ホールは私も舞台を観に行ったことがあって。初めて観に行ったのが松井玲奈さんが出演されたつかこうへいさんの舞台で。玲奈さんの卒業後初主演の舞台だったんですけど、私もあんなすごい舞台に上がるんだ!と思ったのが最初の感想です。

──共演者は名だたる舞台役者の方々、大先輩ばかりです。

大場 私、大先輩たちの中に入ってお芝居したいっていうのが昔からの夢だったんです。主演というのは予想外で驚きましたが、その夢が叶ってよかったです。


──ストーリーはアニメ業界を舞台にしたお仕事モノです。大場さんの役柄は?

大場 私は入社したばかりの新米の制作進行、川島加菜美役です。原作小説にないオリジナルキャラクターで、プロデューサーや監督、原画アニメーターなどと触れ合い、いろいろ学びながら成長していく役です。それぞれのキャラクターが、それぞれこだわりが強く妥協しないでぶつかるんですが、制作進行はその人たちの間に挟まれて意見をまとめる役なんです。原作小説に登場する面々が、私が演じる川島加菜美とどう関わっていくのかも見どころです。

──原作の辻村深月さんは直木賞と本屋大賞をW受賞されている人気作家です。小説の「ハケンアニメ!」もファンが多い作品です。

大場 この間、辻村先生が稽古を観に来てくださったんです。その時に初めて少し通しで稽古をしたんです。共演者のみなさんと「まだ完成には程遠いけど、今出せる全てを出そう」って話をして。稽古後に辻村先生とお話させていただいたんですが、すごくウキウキされていて。辻村先生が本番を楽しみにされていることと、キャラクター一人ひとりをすごく大事にしていることが伝わってきて。
「キャラクターたちを愛してくださってありがとう」とおっしゃっていただいたんですが、より舞台への集中力が高まりました。

──キャストのみなさんと顔合わせはいかがでしたか?

大場 舞台を観に行かせていただいたことのある方もいるので、本物だー!って思いました(笑)。ただ、最初は、どこに座っていいのかも分からないので戸惑いました。

──座る場所ですか?

大場 初めての顔合わせの時、入り口に一番近いところに座ればいいのか、どこの席に座ればいいのか悩んだんです。ルール自体知らなかったですから。

──結局、どこに座ることにしたんですか?

大場 演出家さんの一番近くです。どこでもどうぞって言われたんですけど、主演の私が演出家さんから遠かったらおかしいかなと思って。それに、経験がほとんどない私が一番教えていただく立場なので、アドバイスを聞きやすい演出家さんの近くに座るべきかなと思ったんです。

──最初からキャストのみなさんの中にスッと入れました?

大場 人見知りなので……。

──やはり(笑)。

大場 元々人見知りなのにプラスして最初は不安でガチガチだったんです。何をしていいか分からない中で、とにかく自分にできること、台本を覚えることをやろうって。
最初の台本の読み合わせの時も、すごく読み込んで行ったんですけど、周りの皆さんはきっとそこも気付いていたと思うんです。「分かる分かる、君が読み込んできたのは」という微笑ましい目線でガチガチの私を見守ってくださって、話しかけるタイミングを伺っていたと思うんです。

──いつ緊張を研ぎほぐしてあげようと思って?

大場 きっとそうだと思います。それで話しかけてくださった時に、ここに来るのは夢だったんですけど、何をしたらいいのか分からないんですっていう話をしたら、「俺たちだって最初はそんなもんだよ。ここまで来るのに時間がかかったから、そんなすぐに来られても困るよ(笑)」って言われて気持ちが少し楽になりました。

──今はだいぶ打ち解けましたか?

大場 はい。皆さんがすごく話しかけて和ませてくれるので。今、一番面倒を見てくださっているのは澤田和己役の山内圭哉さん。あと、今、マイブームは菅原(永二)さん見ることです。菅原さんはキャストの中で唯一天然で、三上(市朗)さんと山内さんにずっとツッコまれているんです。そのツッコまれているのを見てこの間、私、稽古場で初めて笑ったんですよ。それまでは、できないヤツが笑っちゃいけないし、できないヤツが私語なんてしちゃいけないって思っていたんです。
今まで育ってきた環境がそうだったし。でも、お芝居する人たちはコミュニケーションがどれだけ大切で、息抜きがどれだけ大切かを考えていて。私はできないなんておかしい、っていう世界で10年やってきたので、「芝居ができないなんてヤバい!」っていうプレッシャーを抱えたまま稽古に入っていたんです。でも、「人との会話は普段できているんだから、それを実際にお芝居に出せばいい。だけど、いざお芝居ってなったら変に力が入ったりして不自然になってしまうだけ」というのを教えてもらってから、ちょっとずつ肩の力が抜けてきて、自然にいろいろ吸収できるようになったんです。まずは楽しんでやることが大事だなと。

──やはり初めての舞台はやる前に持っていたイメージとだいぶ違いますか?

大場 まったく違います。稽古に入る前は、「セリフが覚えられなかったどうしよう……」という不安が大きかったんです。今回、特にセリフ量が多いらしくて。アニメ業界の内情を伝えないとダメなので、どうしても情報量が多くなるみたいで。ただ、やってみたらセリフは入ったんです。まだ細かい部分は詰めきれていないんですけど。
もちろん、その細かい部分を疎かにしちゃうと伝わらないこともあると思うので、そこはちゃんとやらなきゃいけないと思うんですが、そこが全てじゃないぞと。

──と言いますと?

大場 他のキャストのみなさんは自由に動かれるんです。それこそ毎回違う動きをされる。SKE48だと毎回、同じ動きをしてきたので、それが新鮮で。相手が動いたことにどう合わせるか、しかもそれをいかにも自然に合わせる。それが今回のお芝居で掴みたいと思っているところなんです。だから、稽古前にセリフが入るかどうか不安に思っていた自分に教えてあげたいです。不安になるポイントが間違っていると。

──なるほど(笑)。既に学んだことが多そうです。

大場 はい。G2さんからは「稽古場では怒られて欲しい」と言われました。
「本番できればいいわけだから、稽古場でいろいろ言われなかったら他にどこで言われるの?」と。あと、私がアドバイスをもらっているとき、周りの方々もそれを聞いていているんです。それも怒られているのを聞いているわけではなくて、「一緒にお芝居をやる上で、君が言われている指摘を一緒に理解していかないとできない。君がどういう気持でそのセリフを言っているかが分かっているか分かっていないかで芝居のやりやすさは全然違う」って教えていただいて、それがすごく腑に落ちたんです。それから私も他の方が指摘されていることを聞くようにしたら、その方がどういう気持でセリフを言っているかが少しずつ分かるようになってきて。山内さんからは「芝居はみんな線でつながっているんだ」って言われたんですけど、それもすごく理解できたんです。

──この舞台を通して大場さんはすごくレベルアップしそうです。

大場 そうなるよう頑張ります。今は本当に舞台のことしか考えてないので。寝る、食べる、以外は本当に舞台のことしか考えていない生活をしています。今はそれぐらいこの舞台に懸けたいなって思っています。

──SKE48の後輩たちにもいい刺激になるかもしれませんね。

大場 SKE48にいるうちこの舞台に出られてよかったなって思います。外の仕事で活躍して後輩たちに憧れられる先輩を見ていて私もそうなりたいなと思っていたので。後輩たちに背中で見せられたらいいなって思いますね。

──10月12日には大阪公演が開幕し、10月31日からは東京公演がスタートします。最後に意気込みをお願いします。

大場 原作ファンからすると天才アニメ監督・王子千晴とプロデューサー・有科香屋子の関係性も見どころだし、それぞれの役柄にそれぞれの見せ場があって、とにかく全員が熱い舞台になっています。私も初主演ですが、熱い思いで演じますので、みなさん、ぜひ観にきてください!
SKE48大場美奈、舞台初主演「食べる寝る以外は舞台のことしか考えてない。それぐらい懸けています」

▽舞台『ハケンアニメ!』
◆公演日程:
<大阪公演&gt;
COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
2019年10月12日(土)~16日(水)
<東京公演>
紀伊國屋ホール
2019年10月31日(木)~11月14日(木)
◆チケット:7,500円(税込・全席指定)
※未就学児入場不可
◆原作:辻村深月
◆脚本・演出:G2
◆出演
大場美奈(SKE48)
小越勇輝
市川しんぺー
三上市朗
菅原永二
町田マリー
幸田尚子
山内圭哉
小須田康人
◆主催:吉本興業
◆公式サイト:https://hakenanime.yoshimoto.co.jp
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